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C型慢性肝炎の新薬、1錠8万円で登場

2015年08月27日 14時08分15秒 | 医科・歯科・介護
類似薬効方式に問題あり、中医協はルール見直しへ

m3.com 2015年8月26日(水 )配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授長)は8月26日、新薬の薬価収載について議論、C型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変の治療薬、ハーボニー配合錠(レジパスビル/ソホスブビル)の1日薬価(1錠)を8万171.3円とすることで了承した(資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。5月のソバルディ錠(ソホスブビル)に続く、C型慢性肝炎に高い有用性を示す新薬の登場だ(『C型慢性肝炎の画期的新薬、「高効果、高薬価」』を参照)。ソバルディ錠と同様に、14日という新薬の処方日数の制限が外れ、28日となった。
 もっとも、ハーボニー配合錠の薬価については、主に診療方側から疑義が呈せられ、薬価の算定のやり直しを求める意見も出た。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「この時代遅れで、問題の極めて大きい30年以上も前の(類似薬効方式の)算定ルールに基づき、患者が注目している薬に対して、高い薬価を付けるのは大問題。ぜひルール自体を見直すべき」と述べ、ルール見直し後に、改めてハーボニー配合錠の薬価を決めるべきと強く主張した。
 さまざまな意見が出たものの、最終的には、現行ルールに基づき算定する必要性、さらには患者ニーズが高い薬であり、早期の薬価収載が求められていることから、ハーボニー配合錠の薬価を了承、類似薬効方式の見直し、市場拡大再算定のルールを早急に見直すことで、議論が収束した。
 8月26日の中医協総会では、ハーボニー配合錠を含め、10成分(内用薬4、注射薬6)、16品目(内用薬6、注射薬10)の薬価を了承した。薬価収載は、8月31日の予定。

■1クールの期間、半分なら1日薬価は2倍
 中川氏が指摘した「30年以上も前の算定ルール」とは、1982年の中医協総会で了承した類似薬効方式で薬価を算定する際のルール。
 ハーボニー配合錠は、ソホスブビルとレジパスビルの配合剤で、1クール12週間投与するため、「一定期間の使用が設定されている医薬品」に当たる。類似薬効方式で対照薬として用いられたのは、ソバルディ錠(ソホスブビル、1日薬価6万1799.3円)と、ダクルインザ錠(ダクラタスビル塩酸塩、1日薬価9186円)の2剤。投与期間は、ソバルディ錠の12週間。これに対し、ダクルインザ錠は24週間であるため、12週間で投与したと仮定した薬価で算定、結果的にダクルインザ錠相当分の1日薬価は、2倍の1万8372円とされた。「6万1799.3円プラス1万8372円」、つまり8万171.3円、ハーボニー配合錠の薬価となった。
 ハーボニー配合錠の薬価をめぐる議論で口火を切ったのは、中川氏。「ソバルディ錠は、患者が待ち望んでいた画期的な薬。薬価が高いという批判的な見方があるが、有効性や生涯医療費から見ると、決して高くはない。しかし、今回の配合錠の薬価算定には疑問がある。(1クール)12週で済むのに、(ダクルインザ錠相当分の薬価を)2倍にするのは、いったいどんな根拠なのか。不明な薬価算定方法で、高薬価を付けるには、明確な説明責任が必要」と、厚労省に説明を求めた。
 厚労省が根拠として示したのが、1982年の「新医薬品の薬価算定に関する懇談会報告書」。この報告書は後に、中医協総会で了承された。
 中川氏は、このルールを見直した上で、ハーボニー配合錠の薬価を改めて算定するよう求めた。日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏や、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏も、中川氏の意見を支持。これに対し、あくまで現行ルールで算定し、ルールの見直しは2016年度薬価改定に向けて議論するよう求める厚労省と、何度か意見のやり取りが続いた。
 ルールを見直し、改めて中医協総会で薬価承認を行うには、時間がかかることから、中川氏の考え方を支持しつつも、「議論をやり直すことができないくらい、患者が待っている。今日何時間かかっても決着したい」と発言したのは、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の花井十伍氏。
 最終的には、厚労省保険局医療課長の宮嵜雅則氏が、「少なくとも、現在適用されているルールで算定している。これを否定するのは、ルールに基づく薬価算定そのものを否定することになる。今後、ルールを見直して、それ以降に適用することはあり得るが、(ルール見直し後に、ハーボニー配合錠の薬価を算定するのは)制度そのものを否定する話になる」と発言、議論は収束した。

新薬開発へ患者情報集約、
政府が製薬会社に提供

読売新聞 2015年8月26日(水) 配信

 政府は来年度、新薬開発に必要な臨床試験(治験)の迅速化を目指し、国内患者の情報集約に乗り出す。
 日本では新薬の承認が海外より遅れる「ドラッグ・ラグ」が問題となっており、一因として、製薬会社が治験患者を探す難しさが指摘されている。政府は、医療拠点を通じ製薬会社に患者情報を速やかに提供することで、新薬実用化までの時間をできるだけ短くしたい考えだ。製薬部門の研究投資を呼び込み、国際競争力を高める狙いもある。
 厚生労働省の構想では、国立がん研究センター(東京都)など国内6か所の国立高度専門医療研究センター(NC)にそれぞれ治験連携事務局を新設し、各NCが全国約440の病院を通じ、患者情報を集める。情報は年齢、性別、病名、治療歴などで、患者本人の同意を得られた場合に限り、提供される。各NCは、希少がんやパーキンソン病など専門領域に応じて蓄積された情報を、製薬会社に伝える。

新専門医制度2017年開始の課題
専門医、「標榜」と将来は連動

私の医歴書◆高久史麿・日本医学会会長 ◆Vol.26 より

m3.com 2015年8月26日(水) 配信 橋本佳子(m3.com編集長)

――高久氏は厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」の座長を務め、2013年4月に報告書をまとめ、2017年度からの新専門医制度の基礎を作った(『最大の成果は「総合診療医」の創設 - 高久史麿・日本医学会会長に聞く◆Vol.1』などを参照)。
 検討会ではいろいろな議論がありました。専門医とは何かという点では、「スーパードクター」ではなく、「安全で標準的な医療ができる」「患者さんに信頼される」という形で定義しました。医師にとっては、患者さんの信頼を得るために専門医が必要になるでしょうし、専門医を取得するというプライドもあるでしょう。それにやはり、学会に出席して判子だけを押してもらって帰るというのは、やめるべきだと思っています。そうではなく、きちんとトレーニングを受け、勉強した上で資格を取得する制度が必要です。
 今、日本では医師全員が専門医を取得しているわけではありません。アメリカでは、レジデンシーを修了しないと、その科を標榜できない。「標榜の自由」は、専門医制度と関係してくる問題で、いずれ日本も、専門医の資格を持たないと、標榜を出せない時代になってくるかもしれません。その方が、患者さんにとっても、どこを受診すればいいかが分かりやすい。
 ただ、専門医制度については検討課題も多い。まず移行措置。私は内科の認定医制度を作る時に、日本内科学会の理事長をやっていました。その際も、「既に開業されている人はどうするのか」といった議論があり、長年開業されている人は、短期間の講習で認定するという措置で、乗り切りました。今回の専門医制度についても、例えば、今、開業されている先生に対しては、総合診療専門医の講習か何かを受けてもらい、総合診療専門医の看板を出せるようにしたりする。内科では、認定内科医を取得している人が多いと思う。そうした医師を専門医にするとか……。移行措置をあまり厳しくすると、大変じゃないかと思います。
 2年の初期研修、プラス3年の専門医研修。合計で5年間。ただ、専攻医の研修を行う施設が大病院に限られてくるようになれば、中小病院からは、「若い医者が来なくなる」との懸念も出てくるでしょう。大きな病院を中心に、ネットワークを組むなど工夫が必要ですね。
 さらに組織体制の問題もあります。今回の専門医制度改革に当たって、従来の日本専門医制評価・認定機構が改組され、日本専門医機構が発足しました。その社員として基本領域の学会を認めるかどうかで、もめました。しかし、学会の協力がないと、機構だけでは専門医制度は運営できず、結局、学会を社員として認めることになりました。
 新しい専門医制度は、2017年度からスタートします。極めて重要だけれど、難しい問題がたくさんあります。初めからあまり厳しい形で制度で運営すると大変。皆がある程度満足するような形でスタートして、だんだん整えていけばいいと思います。一通り完成するには、やはり10年ぐらいはかかるでしょう。しかし、10年って、あっと言う間に経ってしまうでしょうね。

新専門医制度2017年開始の課題
専門医、「標榜」と将来は連動

私の医歴書◆高久史麿・日本医学会会長 ◆Vol.26 より

m3.com 2015年8月26日(水) 配信 橋本佳子(m3.com編集長)

――高久氏は厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」の座長を務め、2013年4月に報告書をまとめ、2017年度からの新専門医制度の基礎を作った(『最大の成果は「総合診療医」の創設 - 高久史麿・日本医学会会長に聞く◆Vol.1』などを参照)。
 検討会ではいろいろな議論がありました。専門医とは何かという点では、「スーパードクター」ではなく、「安全で標準的な医療ができる」「患者さんに信頼される」という形で定義しました。医師にとっては、患者さんの信頼を得るために専門医が必要になるでしょうし、専門医を取得するというプライドもあるでしょう。それにやはり、学会に出席して判子だけを押してもらって帰るというのは、やめるべきだと思っています。そうではなく、きちんとトレーニングを受け、勉強した上で資格を取得する制度が必要です。
 今、日本では医師全員が専門医を取得しているわけではありません。アメリカでは、レジデンシーを修了しないと、その科を標榜できない。「標榜の自由」は、専門医制度と関係してくる問題で、いずれ日本も、専門医の資格を持たないと、標榜を出せない時代になってくるかもしれません。その方が、患者さんにとっても、どこを受診すればいいかが分かりやすい。
 ただ、専門医制度については検討課題も多い。まず移行措置。私は内科の認定医制度を作る時に、日本内科学会の理事長をやっていました。その際も、「既に開業されている人はどうするのか」といった議論があり、長年開業されている人は、短期間の講習で認定するという措置で、乗り切りました。今回の専門医制度についても、例えば、今、開業されている先生に対しては、総合診療専門医の講習か何かを受けてもらい、総合診療専門医の看板を出せるようにしたりする。内科では、認定内科医を取得している人が多いと思う。そうした医師を専門医にするとか……。移行措置をあまり厳しくすると、大変じゃないかと思います。
 2年の初期研修、プラス3年の専門医研修。合計で5年間。ただ、専攻医の研修を行う施設が大病院に限られてくるようになれば、中小病院からは、「若い医者が来なくなる」との懸念も出てくるでしょう。大きな病院を中心に、ネットワークを組むなど工夫が必要ですね。
 さらに組織体制の問題もあります。今回の専門医制度改革に当たって、従来の日本専門医制評価・認定機構が改組され、日本専門医機構が発足しました。その社員として基本領域の学会を認めるかどうかで、もめました。しかし、学会の協力がないと、機構だけでは専門医制度は運営できず、結局、学会を社員として認めることになりました。
 新しい専門医制度は、2017年度からスタートします。極めて重要だけれど、難しい問題がたくさんあります。初めからあまり厳しい形で制度で運営すると大変。皆がある程度満足するような形でスタートして、だんだん整えていけばいいと思います。一通り完成するには、やはり10年ぐらいはかかるでしょう。しかし、10年って、あっと言う間に経ってしまうでしょうね。

新専門医制度2017年開始の課題
専門医、「標榜」と将来は連動

私の医歴書◆高久史麿・日本医学会会長 ◆Vol.26 より

m3.com 2015年8月26日(水) 配信 橋本佳子(m3.com編集長)

――高久氏は厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」の座長を務め、2013年4月に報告書をまとめ、2017年度からの新専門医制度の基礎を作った(『最大の成果は「総合診療医」の創設 - 高久史麿・日本医学会会長に聞く◆Vol.1』などを参照)。
 検討会ではいろいろな議論がありました。専門医とは何かという点では、「スーパードクター」ではなく、「安全で標準的な医療ができる」「患者さんに信頼される」という形で定義しました。医師にとっては、患者さんの信頼を得るために専門医が必要になるでしょうし、専門医を取得するというプライドもあるでしょう。それにやはり、学会に出席して判子だけを押してもらって帰るというのは、やめるべきだと思っています。そうではなく、きちんとトレーニングを受け、勉強した上で資格を取得する制度が必要です。
 今、日本では医師全員が専門医を取得しているわけではありません。アメリカでは、レジデンシーを修了しないと、その科を標榜できない。「標榜の自由」は、専門医制度と関係してくる問題で、いずれ日本も、専門医の資格を持たないと、標榜を出せない時代になってくるかもしれません。その方が、患者さんにとっても、どこを受診すればいいかが分かりやすい。
 ただ、専門医制度については検討課題も多い。まず移行措置。私は内科の認定医制度を作る時に、日本内科学会の理事長をやっていました。その際も、「既に開業されている人はどうするのか」といった議論があり、長年開業されている人は、短期間の講習で認定するという措置で、乗り切りました。今回の専門医制度についても、例えば、今、開業されている先生に対しては、総合診療専門医の講習か何かを受けてもらい、総合診療専門医の看板を出せるようにしたりする。内科では、認定内科医を取得している人が多いと思う。そうした医師を専門医にするとか……。移行措置をあまり厳しくすると、大変じゃないかと思います。
 2年の初期研修、プラス3年の専門医研修。合計で5年間。ただ、専攻医の研修を行う施設が大病院に限られてくるようになれば、中小病院からは、「若い医者が来なくなる」との懸念も出てくるでしょう。大きな病院を中心に、ネットワークを組むなど工夫が必要ですね。
 さらに組織体制の問題もあります。今回の専門医制度改革に当たって、従来の日本専門医制評価・認定機構が改組され、日本専門医機構が発足しました。その社員として基本領域の学会を認めるかどうかで、もめました。しかし、学会の協力がないと、機構だけでは専門医制度は運営できず、結局、学会を社員として認めることになりました。
 新しい専門医制度は、2017年度からスタートします。極めて重要だけれど、難しい問題がたくさんあります。初めからあまり厳しい形で制度で運営すると大変。皆がある程度満足するような形でスタートして、だんだん整えていけばいいと思います。一通り完成するには、やはり10年ぐらいはかかるでしょう。しかし、10年って、あっと言う間に経ってしまうでしょうね。

ピークは22歳?「妊娠しやすい年齢」
保健教育の副読本に誤り 
高校向け、国が確認怠る

共同通信社 2015年8月26日(水) 配信

 全国の高校に配布中の保健教育用の副読本で、年齢と妊娠しやすさの関係を示す折れ線グラフが誤っていることが25日、分かった。米国の研究論文を基に作成した際、データ入力を誤り、確認作業もしていなかったのが原因という。すでに約130万部をほぼ配り終えており、文科省は各校に誤りを伝える文書と正しいグラフを掲載した正誤表を送る。
 副読本は、妊娠や出産に関する正しい知識を伝え、少子化対策につなげようと文部科学省が7年ぶりに本格改訂し、妊娠、出産に関するページを倍増させた。グラフは22歳をピークに妊娠しやすさが下がっていくよう示しているが、基になった米国の学者の研究論文によると、22~25歳はほぼ横ばいだった。グラフは国内の有識者から提供を受け、原典との照らし合わせなどをしていなかったという。

被ばく医療で26億円要求へ 
原発再稼働で内閣府

共同通信社 2015年8月26日(水) 配信

 原子力防災を担当する内閣府は25日、原発事故時の被ばく医療を担う新たな体制の整備に向け、2016年度予算の概算要求に26億円を盛り込む方針を自民党部会に示した。
 各地域で被ばく医療の中核を担う「原子力災害拠点病院」や、汚染検査などで拠点病院を支援する「原子力災害医療協力機関」による体制の構築に向け、内部被ばくを検査するホールボディーカウンターなど設備の購入費を補助する。原子力規制庁も関連費用として5億円を求める。
 また内閣府は、事故時の急な避難で死亡リスクが高まりかねない入院患者ら要援護者が一時的に避難するシェルター施設の整備に向け、120億円を要求する方針。これまでは被ばくリスクが高い半径5キロ圏、10キロ圏と優先順位を付けて整備してきたが、30キロ圏でも半島など事故時に孤立する恐れのある地域の施設を対象に含める。

甲状腺がん 北茨城市、3人 
原発事故の関連「薄い」
毎日新聞社 2015年8月26日(水) 配信 
 東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている北茨城市は25日、2014年度に実施した甲状腺の超音波検査で3人が甲状腺がんと診断されたと発表した。原因については「放射線の影響は考えにくい」としている。
 検査は14年7月~15年1月に実施。事故発生当時に0~18歳だった市民6151人(0~4歳は13年度の未受診者)が対象で、3593人(58・4%)が受診した。
 検査結果によると、異常なし1746人(48・6%)▽経過観察1773人(49・3%)▽要精密検査72人(2・0%)▽至急要精密検査2人(0・0%未満)――と判定された。このうち至急要精密検査2人と要精密検査のうちの1人の計3人が甲状腺がんと診断された。0~4歳の1184人が受診した13年度の検査で、甲状腺がんと診断された子どもはいなかった。
 専門家や医師らで構成する市の検討協議会は、チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんが見つかったのは発生から4~5年以降というデータや、健康診断と同じように一定の頻度で「がん」と診断されることがあることなどから、放射線との関連は薄いとみている。【佐藤則夫】
起業・独立する保健師 「まちの保健室」めざす 
元大津市職員ら協会設立 需要増加予想、支援へ

毎日新聞社 2015年8月26日(水)配信 現場から記者リポート/滋賀
 自治体の保健所や大企業で住民や社員の健康相談などに携わるのが一般的だった保健師に、起業・独立の動きが出ている。2013年には元大津市職員の保健師らが中心となって「日本開業保健師協会」(東京都港区)を設立。「まちの保健室」としての役割に期待が集まっている。【石川勝義】
 保健師は国家資格で、保健指導を通じて病気の予防や健康増進などに当たるのが役割。日本開業保健師協会によると、全国約4万7000人の保健師のうち7割は自治体、3割は大企業や病院に勤務しているが、最近は起業したり独立したりして活躍するケースも増えているという。
 元病院勤務の保健師、渡邉玲子さん(54)は2月に「イマココ・クリエイト」(東京都江東区)を設立して社長に就任した。平日午後にレストランを貸し切り、母親たちが食事を楽しみながら子供のあやし方などについて相談できる「赤ちゃんとランチ」を続けている。
 6月にあった「赤ちゃんとランチ」に参加した2児の母親(36)は「私も夫も親が離れて暮らしているので、子育て相談ができて助かる。保健師という資格を持っていることも安心できる」と話す。ランチは母親同士が知り合うきっかけとなり、コミュニティーが成立しにくい高層マンションや転入者が多い地域で特に需要があるという。渡邉さんは「赤ちゃんのかわいさや、一緒に遊ぶ楽しさを伝えたい」と語る。
 「会社の保健室」(大阪市北区)を始めた徳永京子さん(55)は元大阪府の保健師。現在、中小企業と契約して従業員の健康を管理し、カウンセリングもしている。本人の同意があればパワーハラスメントなど職場問題について会社に助言し、「相談者が元気になり表情が変わるのがうれしい」と話す。
 日本開業保健師協会の発足には、元大津市職員の保健師で、女性支援NPO「マイママ・セラピー」(大津市)の代表を務める押栗泰代さん(56)らがかかわった。市職員を辞めて大学院の研究で開業保健師にインタビューした際、困った人たちが駆け込める「まちの保健室」を作りたいと考えたという。
 開業保健師は現在、全国で100人程度しかいないが、子育てに悩む母親や中小企業の労働者など、協会では将来、需要が増えると予想。今後は能力の高い保健師の認定制度を導入し、独立を支援することも検討している。
 村田陽子会長(57)は「開業した保健師は社会の小さな困りごとに気付いて対応している。既存制度から漏れた人たちの心身を支えていきたい」と話している。

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