創作 ジェシカ

2024年06月16日 04時36分09秒 | 創作欄

その店に入ったのは、ほんの偶然であった。

交差点で信号待ちをしていたら、女が脇に立っていた。

人見知りする質の私であるが、この時は視線を合わせる。

「コンニチハ」女がほほ笑むのだ。

相手は容姿から明らかに日本の女性ではなかった。

「わたしといしょ、しませんか?」思いもかけない女からの誘いであった。

浅草橋駅から、徒歩1分のビル地下1Fのフィリピンパブに誘われる。

午後5時30分、客が3人いて、それぞれの席に二人のホステスが同席していた。

女性歌手の一人が英語で慕情を歌っていた。

私を誘った女性は、着替えてジーパン姿からにボディコン姿に変身していた。

「ワタシ、ジェシカです」頭下げてから私の脇に座り身を寄せる。

そして、「同伴でいいですか?」と聞くのだ。

やってきたのはアグネスであった。

実は、同伴とは勘違いで、同伴出勤だと1000円加算されるのだ、さらに指名だと1000円の追加される。

私は賞与が出たばかりで、いずれにも応じた。

ジェシカはスペイン系の血が流れ、アグネスはアメリカ系の血が流れていた。

ジェシカは歌手で、アグネスはダンサーとして来日。

こんな世界が、職場の地元にあったのか?

私にとって、異世界そのものに思われた。

 

 

 

 

 

 

 

 


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