A1肺炎は、日本人の死因の第3位を占めています。
その原因菌として最も多いのが肺炎球菌です。
その他、中耳炎や副鼻腔炎(ふくびくうえん)、細菌性髄膜炎においても、肺炎球菌は最も原因となることの多い細菌です。
無症状のまま鼻やのどに定着していることも多いのですが、免疫力の低下など何かをきっかけとして、肺炎、敗血症、髄膜炎など重篤な感染症を引き起こすことがあります。
免疫機能が低下した状態では、肺炎球菌による感染症を起こしやすくなりますので注意が必要です。
Q2 | がんの患者でも、肺炎球菌ワクチン接種を受けることができますか? |
A2できます。肺炎球菌ワクチンは不活化ワクチンですので、接種自体で肺炎球菌感染症を発症することはありません。
そのため安全性の面では、がんではない方と変わりません。
一方で効果の面では、高度に免疫機能が低下した状態の間は、ワクチンの効果が十分得られないことがありますので、がんの症状や全身状態によってワクチン接種の時期などを検討する必要があります。まずはがん治療の担当医に相談してください。
Q3 | がんの治療中に肺炎球菌ワクチン接種は勧められますか? |
A3勧められます。がん種やがん治療により、がんの治療中の方の多くは、がんではない方と比べると、免疫機能が低下する傾向があります。
免疫とは、感染症から自分の体を守る仕組みで、体内に入ってきた微生物を攻撃したり、一度かかった感染症にかかりにくくしたりする働きがあります。
このように免疫が弱ってしまう中であっても肺炎球菌への抵抗力を高めるために、がんの治療中の方には、がんではない方以上に肺炎球菌ワクチン接種が勧められています。
また、インフルエンザ予防接種と併用することで、より高い肺炎予防効果が期待できます。
Q4 | 免疫機能が低下する治療は何ですか? |
また、造血幹細胞移植を受けた場合、造血機能が回復するまで個人差はありますが1年から2年かかります。
その他に、免疫器官として重要な役割を担っている脾臓(ひぞう)を摘出または放射線治療した場合に免疫機能が低下することがあります。実際に免疫が低下しているかどうかは、血液検査などにより、がん治療の担当医の判断が必要です。
Q5 | 肺炎球菌ワクチン接種はどのタイミングですればよいですか? |
A5肺炎球菌感染症は、インフルエンザと異なり一年を通じて発生するため、季節にかかわらず接種が可能です。ただし、免疫機能が低下している状態では、ワクチンを接種しても免疫が十分にできない可能性があります。
すでに治療中、治療後の方は免疫機能の状態をみて接種のタイミングを検討する必要がありますので、がん治療の担当医とよく相談されることをお勧めします。
ワクチンの予防効果は、時間の経過とともに低下していきます。そのため特に感染リスクの高い、血液やリンパのがんの方、脾臓を摘出した方はワクチンの再接種が勧められています。
ワクチンの予防効果は、時間の経過とともに低下していきます。そのため特に感染リスクの高い、血液やリンパのがんの方、脾臓を摘出した方はワクチンの再接種が勧められています。
ただし、5年以内に再接種をすると、注射部位の痛みなどが強く出ることがあることから、一度接種したら5年以上の間隔をあけることが勧められています。肺炎球菌ワクチンを接種したことがある場合には、必ず担当医に伝えることが大切です。
Q6 | 肺炎球菌ワクチンの接種に保険適用や公費補助はありますか? |
A6ワクチンには、23価肺炎球菌莢膜(きょうまく)ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックスNP)以外に、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(商品名:プレベナー13)など複数の種類があります。
このうち、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックスNP)は、脾臓を摘出した方への接種が保険適用になっています。
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックスNP)は、平成26年10月から高齢者の方を対象とする定期接種にもなっています。
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックスNP)は、平成26年10月から高齢者の方を対象とする定期接種にもなっています。
接種費用の一部が公費で賄われますが、その補助額は市区町村によって異なります。詳しくはお住まいの市区町村へお問い合わせください。ただし、一部の方を除き、定期接種対象者は年度によって限定されます。
●平成27年度から平成30年度までの定期接種の対象となる方
- その年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方
- 60歳から65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害がある方
- 60歳から65歳未満の方で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方
また、すでに23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックスNP)の接種歴がある方は定期接種の対象にはなりません。
Q7 | 肺炎球菌ワクチンの副反応は大丈夫ですか? |
A7ワクチン接種後の反応で、免疫ができる以外のものを副反応といいます。
肺炎球菌ワクチン接種では、接種部位の痛み・赤み・腫れ、筋肉痛、だるさ、発熱、頭痛などの副反応がみられることがあります。
これまでのデータでは、これらの副反応の起こり方はがんであるかどうかとは関係がありません。
がんであるかどうかにかかわらず、過去に予防接種で強い副反応が出たことがある方、肺炎球菌ワクチン接種歴がある方は接種前に医師に伝えることが大切です。
ワクチン接種後は安静にして様子をみましょう。気になる症状が出た場合は接種した医療機関に連絡をしてください。
Q8 | ワクチン以外に肺炎球菌感染症予防として大切なことは何ですか? |
A8肺炎球菌感染症は、風邪などちょっとした体調の崩れをきっかけとして発症することも多く、手洗い、うがいなど一般的な感染症予防策や、睡眠や食事など規則正しい生活を送ることが大切です。
また、同居のご家族など周囲の方にも、体調が悪い時には、十分な手洗いのほかマスクをするなどして、がんの治療中の方に風邪などをうつさないよう気をつけていただくことが重要です。
さらに、高齢者などでは、鼻や口の中に定着した細菌を吸いこむことによって肺炎を発症することがありますので、口の中を清潔に保つことも大切です。
肺炎球菌には90種類以上の型(莢膜血清型と呼ばれます)があります。
肺炎球菌には90種類以上の型(莢膜血清型と呼ばれます)があります。
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックスNP)は、そのうちの感染症を起こすことが多い23種類の型に絞って作られていますが、すべての型を網羅しているわけではありませんので、完全に肺炎球菌感染症を予防することはできません。
そのため、ワクチン接種を受けた方であっても日頃の予防策を心がけることが必要なのです。
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