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いじめは「人権侵害」

2025年04月03日 09時50分21秒 | その気になる言葉

「いじめ」をなくすために



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法務省人権擁護局・全国人権擁護委員連合会
させない 見逃さない
「いじめ」
@JINKEN01 @MOJ_JINKEN HumanRightsBureau.MOJ
法務省人権擁護局・全国人権擁護委員連合会

文部科学省が行った令和元年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば,小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は,61万2,496件となり,いじめによる重大な被害が生じた事案も引き続き発生しているなど,教育上の大きな課題となっています。
 いじめの根底には,相手に対する「思いやり」や「優しさ」といった基本的な人権意識の希薄さがあり,いじめ問題の解決には人権意識を育むことが不可欠です。
 平成 25 年 9 月には「いじめ防止対策推進法」が施行され,いじめの問題について,発生した場合の対処のみならず,防止や早期発見についても,平素からの実効性ある取組を促すよう基本的な理念や制度的な枠組みが整備されました。
 こうした中,法務省の人権擁護機関では,「子どもの人権を守ろう」を啓発活動のテーマに掲げ,学校その他の関係機関と協力するなどして,いじめをさせないよう,そして見逃さないように,子ども自身のほか,家庭や地域社会に対しても,粘り強く人権意識を高めてもらうよう呼び掛けています。
 保護者や関係者の皆様の御理解と御協力を心からお願いいたします。
令和3年7月
法 務 省 人 権 擁 護 局
全国人権擁護委員連合会
は し が き
いじめとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
今日のいじめの特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
トピック いじめとLGBT ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
いじめの現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
いじめはなぜ許されないのか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
いじめをさせないためには ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
いじめを見逃さないためには ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
いじめ問題に関する人権擁護機関の取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
子どもの人権SOSミニレター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
いじめの人権侵犯事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
児童の権利に関する条約と子どもの人権 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
も く じ

 平成 25 年 9 月に施行された「いじめ防止対策推進法」(平成 25 年法律第71 号)においては,いじめを「児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。」と定義しています。
 同法に基づき,同年 10 月に文部科学大臣が決定した「いじめの防止等のための基本的な方針」
( 平成 29 年 3 月改定)では,同法にいう「一定の人的関係」とは,学校の内外を問わず,同じ学校・学級や部活動の児童生徒や,塾やスポーツクラブなど当該児童生徒が関わっている仲間や集団
(グループ)など,当該児童生徒と何らかの人的関係を指すとされ,また,個々の行為がいじめに当たるか否かの判断は,表面的・形式的にすることなく,いじめられた児童生徒の立場に立って行う必要があるとされています。
 いじめには,いろいろな態様のものがありますが,大きくは次のように分類できます。
 なお,いじめの中には,犯罪行為として取り扱われるべきと認められ,早期に警察に相談することが必要なものや,児童生徒の生命,身体又は財産に重大な被害が生じるような,直ちに警察に通報することが必要なものもあります。
いじめとは
いじめの定義
いじめの態様
「いじめ」 させない 見逃さない

❶ 相手が嫌がることをする,させる
 いじめの中で最も多くみられるのが,からかったり冷やかしたり,相手をバカにして笑いものにしたり,悪口や脅し文句や相手にとって嫌なことを言ったりするなどの言葉によるいじめです。
 このほか,物を隠したり,汚したり壊したりして使えないようにしたり,捨てたりする行為や,金品をたかる,仕事や責任を押しつけたり万引きを強要したり,別の誰かへのいじめを強制するなど,嫌なことや恥ずかしいこと,危険なことをさせる,といったいじめがあります。
❷ 仲間外れ・集団による無視(シカト)
 標的になった相手と「口をきかない」, 「一緒に遊ばない」,「いない者として扱う」といった行為です。相手が教室に入ってくると,みんなでジロッとにらんだり,急に話をやめて席を立って離れたりして,「仲間外れ」にしていることを強く印象づけることで,その子どもに心理的ダメージを与えようとすることもあります。
❸ 身体への直接攻撃
 叩いたり蹴ったり,わざとぶつかるといった,暴力によって肉体的な苦痛を与える行為です。髪の毛を引っ張る,頭から水をかける,物を投げつけるなど,暴力によって肉体的な苦痛を与えるものです。
❹ ネットいじめ
 スマートフォンや携帯電話を所持し,インターネットを利用する子どもたちが増えたことで,インターネット上のいじめも増えています。
 SNS に悪口や相手を笑いものにするような書き込みをしたり,友達同士でメッセージをやり取りする無料通話アプリのグループから外したりする,といった行為が多く見られます。他の嫌がらせや仲間外れに比べて,インターネット上に書き込まれた
誹謗中傷はすぐに広まってしまう一方で,周りの大人には発覚しにくく,深刻な事態となることもあります。

 いじめは,特定の子どもだけに関わる問題ではありません。
 特に,仲間外れや無視,悪口といった暴力を伴わないいじめの場合,小学校4年生から中学校3年生までの6年間で,子どもたちのほとんどが被害経験を持つと同時に,加害経験も持っているとの調査結果もあり,多くの子どもが入れ替わりながらいじめに巻き込まれている実態が明らかとなっています。
いじめは誰にでも起こりうるものなのです。
 いじめの多くは,周りから見えにくく,気付かれにくい形で行われます。
 中でも,「ネットいじめ」の場合には,スマートフォンなどを使い,子ども同士でやり取りしているため,深刻な事態になるまで周りの大人が気付くことができないこともあります。
 また,「心配をかけたくない」「仕返しが怖い」などという気持ちから,いじめを受けている子ども自身がいじめを否定する場合もあります。
からかったり悪口を言うなどの暴力を伴わないいじめの場合,いじめを受けた子どもは大きな精神的苦痛を感じる一方で,いじめを行う側は遊び半分であったり,罪の意識が低いことが多くあります。
 特にインターネット上では顕著で,軽い気持ちで書き込んだ悪口が広まり,多くの人を巻き込んで,被害者を追い込む深刻ないじめへとエスカレートすることもあります。また,友だち同士のちょっとしたトラブルが拡散された結果,複数人で 1 人の子どもを責めるような空気が作られ,いじめにつながることもあります。
今日のいじめの
特徴
あらゆる子が対象
周りから見えにくい
ささいなきっかけで始まり,エスカレートしやすい
「いじめ」 させない 見逃さない

 いじめは,一見すると,いじめを行う子どもといじめを受ける子どもとの対立構造のように見えることがあります。しかし,多くの場合には,いじめは,いじめを行う子ども,いじめを受ける子どものほか,これらを取り巻く「観衆」や「傍観者」という子どもの集団が存在し,全体として四重構造(重層構造)から成っているといわれています。
 「観衆」とは,いじめの行為を面白がって見ていたり,はやしたてたりする子どもたちのことです。
 「傍観者」とは,それらを見て見ぬふりをしている子どもたちのことです。口出しをすると今度は自分がいじめのターゲットにされるかもしれないとの恐れや,かかわりたくないといった気持ちなどから,無関心な態度をとります。
 いじめ解消の対策を立てる場合においては,これら「観衆」や「傍観者」の役割を演ずる子どもに対しても,いじめが許されないことや,いじめの防止の必要性について強力に働きかけ,子どもの集団全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるようにすることが大切です。
いじめを行う子ども いじめを受ける子ども
いじめの「観衆」
いじめの「傍観者」
「観衆」と「傍観者」が存在

 LGBTという言葉を知っていますか?
 LGBTとは,レズビアン(Lesbian:女性の同性愛者(心の性が女性で恋愛対象も女性)),ゲイ(Gay:男性の同性愛者(心の性が男性で恋愛対象も男性)),バイセクシュアル(Bisexual:両性愛者(恋愛対象が女性にも男性にも向いている)),トランスジェンダー(Transgender:「身体の性」と「心の性」が一致しないため,「身体の性」に違和感を持つ人)の頭文字から作られた言葉で,性的少数者(セクシュアルマイノリティ)を表す言葉の一つとして使われています。
 LGBTのうち,「L」「G」「B」の三者は性的指向,つまり,恋愛・性愛がどういう対象に向かうのか(どのような性別の人を好きになるのか)に関わる類型であり,「T」は性自認(性同一性),つまり,自分の性をどのように認識しているか(「心の性」と言われることもある)に関する類型です。
 LGBTの子どもたちは,人とちょっと違っているとみられて,いじめの対象になりやすいと言われています。
 侮蔑的な言葉を投げかけられたり,からかわれるなどして,不登校につながるケースもあります。また,自分自身がからかいの対象ではない場合でも,LGBTをやゆするような発言や否定的な言葉を周囲から聞くことで深く傷ついたり,自分自身に嫌悪感を持ってしまったり,誰にも相談できないと悩み,生きづらさを感じる子どもが多いのです。
 こうした子どもたちの生きづらさを解消するためには,まず周りの大人が性の多様性について正しい知識を持ち,子どもたちが性の多様性について受け入れる環境を整えていくことが大切です。
 法務省の人権擁護機関では,性的指向・性自認(性同一性)を理由とする偏見や差別をなくすための各種啓発活動を行っており,その一つとして,LGBTに関する特設サイト「多様な性について考えよう!~性的指向と性自認~」を法務省ホームページで公開しています。子どもたちと一緒に,性の多様性について学んでみませんか。
(参考URL)http://www.moj.go.jp/JINKEN/LGBT/index.html
トピック いじめとLGBT
「いじめ」 させない 見逃さない

 文部科学省調査によると,いじめの認知件数は,令和元年度は約 61 万 2,000件となっており、学年別いじめの認知件数は以下の図のとおりとなっています。
 これによると,令和元年度におけるいじめの認知件数は,小学校 48 万 4,545 件,中学校 10 万 6,524 件,高等学校 1 万 8,352 件,特別支援学校 3,075 件です。

我が国の憲法には,表現の自由や生存権などの様々な人権が掲げられていますが,これらは全て根本においてつながっています。それは,これらの権利は,全ての人々が,社会において幸福な生活を営むために必要不可欠なものだということです。自由に話ができなかったり,身体の安全が保障されなかったりするような毎日では,人間らしく幸福に生きていくことなどできません。
 子どもの場合にも,一人の人間として,生命や身体の安全を脅かされることなく,家族や友人との触れ合いを通じて自由に成長していく権利があります。また,社会人として幸福に生きていくための基本的な教育を受ける権利も有しています。
 しかし,いじめを受けた子どもにとって,学校生活はつらく苦しいものに違いなく,友人との触れ合いを通じて自由に成長していく権利が侵害されています。さらに,不登校にまで至れば,教育を受ける権利まで侵されてしまうことになります。
 子どもは,子ども同士の互いの衝突や接触の中で成長していくものです。しかし,現代のいじめは,そうした子ども同士の成長過程に伴う衝突や接触の程度を逸脱し,いじめられる子どもの人権を侵害する行為です。
いじめはなぜ許されないのか
「いじめ」 させない 見逃さない

 いじめの根底には,他人に対する思いやり,いたわりといった人権意識の希薄さがあります。相手が受ける痛みを考えることなく,不登校や自殺に至るまで徹底的に痛めつける場合さえありす。また,いじめを行う子どもは,「のろいから『のろま』と言っただけ」などと言い逃れをすることがありますが,そういった他人の弱い点を思いやるのではなく,逆にいじめの口実にしてしまう点も,人権意識の希薄さによるものといえます。
 人権意識というと大げさなようですが,結局は,他人の心の痛みが分かるということにほかなりません。
 いじめは,動きが鈍いとか目立つといった集団の中の異質なものを標的に,ただ異質であるというそれだけの理由で行われることが多いものです。このような構造は,不合理な差別と軌を一にするもので,そのまま放置すれば差別の芽となる危険性をはらんでいます。差別をなくすためにも,いじめをなくすためにも,お互いの異なる点を個性として尊重する人権意識を養っていくことが重要です。
いじめは人権意識の希薄さによるもの
いじめは差別の芽

 いじめの背景には,ストレスやその原因となる要因(ストレッサー)が存在するといわれています。
 いじめを生み出す心理的な理由としては,欲求不満の解消,劣等感の補償,注意獲得行動など様々なことが考えられますが,基本的には,欲求不満の解消,それも存在感や自尊感情の欲求不満の解消を求める心理があると思われます。存在感や自尊感情の満たされない子どもが,他者を攻撃することによって,他で満たされない欲求を代償的に満たし,一時的な心理的満足感を得ようとするのです。
 いじめを行う子どもの一般的な特徴をみると,彼らが何らかの欲求不満や劣等感を抱えているほかに,次のものを挙げることができます。
1 多数派に安易に同調するなど,自主的な責任のある行動がとれない。
2 不満に耐える力が弱く,欲求不満を抑制する精神力が弱い。
3 集団の中で自己顕示欲が強い。
4 自己中心的な行動をとり,他人に迷惑をかけることなどについて,無関心である傾向が強い。
5 相手の立場や気持ちを思いやるという意識がない。
 このように,いじめを行う子どもたちには,他人に対する思いやりや弱者に対するいたわりがみられず,人権意識の未熟さ,希薄さがみられるのもその特徴です。
いじめをさせないためには欲求不満や劣等感が生む
人権意識の未熟・希薄さ「いじめ」 させない 見逃さない

 いじめをする子どもは,いじめを受ける子どもが,相談相手もないまま,来る日も来る日も一人で深刻に悩み続け,学校へ登校して皆と顔を合わせることさえ恐ろしくなり,孤独感を感じて行き場を失い,将来にわたる深刻な被害を受けることについて,考えが及ばないようです。相手の立場になって考えさせ,いじめが,大変に残酷で,取返しがつかない重大な人権侵害であることを十分に理解させることが最も大切です。同時に,いじめをした子どもが,とりわけ中学生以上の場合で,そのような重大な事態になるかもしれないことを認識しながら,あえていじめを繰り返したような悪質な事件については,年齢に応じた,法的・社会的に厳しい責任を負わなければならないことも,徹底して教育すべきです。単に,見守るだけが,子どもに対する正しい教育ではありません。
 いじめは,いじめを行う子どもの存在感や自尊感情の欲求不満の代償行動としてなされることが
多いので,いじめをなくすためには,根本的にはいじめを行う子どもの存在感や自尊感情を満足さ
せるように,彼らとのコミュニケーションを深め,彼らの悩みを解消していく指導が必要となります。
 さらに,いじめは他人に対する思いやり,人権意識の希薄さによる行為ですから,子どもたちの中に互いの人権を尊重し合う豊かな心を育てることが大切です。
心の痛みと責任を自覚させることが大切
人権意識を育てることが大切

 

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