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中国恒大集団の問題は氷山の一角…世界経済が直面しているリスクはもっと大きい

2021年10月06日 16時41分09秒 | 社会・文化・政治・経済

10/6(水) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

中国恒大集団は中国第2位の不動産デベロッパーだ。

中国恒大集団が市場を不安に陥れているが、世界経済はその他にも回復を妨げるさまざまな脅威に直面している。

エネルギー価格の高騰が製造業を混乱させており、その背景にはアメリカと中国の緊張関係がある。

成長が鈍化し、物価が数年来の高水準に達していることから、経済学者らは「スタグフレーション(景気停滞とインフレの同時進行)」という言葉を口にしはじめている。

2021年、「中国恒大集団」という会社は2008年のリーマン・ブラザーズと同じくらい有名になった。この巨大な中国の不動産デベロッパーは、現在非常に不安定な状態にあり、中国国外の市場まで脅かしている。しかし、同社が約33兆円もの巨額の負債を抱えてデフォルト(債務不履行)に陥る可能性は、世界経済が抱えるリスクのごく一部に過ぎないかもしれない。

世界経済は今、価格の上昇、出荷の遅れ、品不足の広がりに苦しんでいる。それらがさらに重なると大きな苦境に立たされることになるだろう。

以下に示す4つの主要な指標が危険な状態を示しており、それによって状況はさらに悪化することもあり得る。

(1)世界市場を揺るがす「恒大危機」
2008年、それまでほとんど注目されていなかったアメリカのサブプライム・ローンの証券市場が崩壊し、リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)が破綻して世界の金融システムを危機に陥れた。それ以来、経済学者たちは「ブラックスワン」(めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象)と呼ばれる金融リスクと、それに似た「灰色のサイ」(高い確率で大きな問題を引き起こすと考えられるにも関わらず、軽視されがちな材料)を警戒してきた。

恒大集団は、まさにその「灰色のサイ」になる可能性がある。つまり、危険な存在だと分かっていたのに、その角が迫ってくるまで深刻に考えていなかったのだ。

巨額の借入をしながら急成長の波に乗ってきた恒大は、約33兆円以上の負債を抱えてデフォルトに陥る可能性があり、中国政府が介入して救済することもないと見られている。

わずか数週間の間に恒大は、信用格付けの低下、投資家からの抗議、土壇場での資金調達、利息の未払いなどに苦しめられてきた。この騒動は世界の市場を瞬く間に混乱に陥れ、恒大のデフォルトにより中国経済が打撃を受け、世界の成長まで鈍化するのではないかという懸念から、株価が急落した。

恒大が遅れていた支払いを済ませ、デフォルトを避けるために残された時間は1カ月を切っている。同社が資金調達に奔走している間にも支払い期限は迫っており、世界は「サイの大暴走」が回避されるのか、固唾を飲んで見守っている。

(2)デカップリングに発展する恐れのある米中の緊張関係
中国政府の恒大に対する厳しい姿勢は、同国の企業に対する方針を象徴しており、このことが中国やアメリカなどの株式市場を混乱させている。

中国政府の取り締まりにより、配車アプリ「Didi(滴滴出行)」などのアメリカで上場している主要なハイテク企業が影響を受け、ビリオネアのジャック・マー(馬雲)率いるアント・グループの史上最大のIPOも阻止された。これを受けて、アメリカは自国の上場規則を強化している。

アメリカは近々、中国との貿易政策を発表する予定であり、キャサリン・タイ(Katherine Tai)通商代表は、中国からの輸入品に対して数十億ドルに相当する関税を「上乗せ」するとPoliticoに語っている。

「中国とのより深い経済関係を盲目的に追求する時代は終わった。それは二度と戻ってくることはないだろう」と、調査会社パンテオン・マクロエコノミクス(Pantheon Macroeconomics)のチーフエコノミスト、イアン・シェパードソン(Ian Shepherdson)は述べている。

米中のデカップリング(経済的に密接な関係の解消)により、トランプ前大統領が中国に課したような制裁的な関税が復活する可能性があり、そうなると、企業がそのコストをアメリカ国民に転嫁し、中国からの輸入品の価格が高騰するだろう。あるいはグローバル化したサプライチェーンを大幅に再構築しなければならないかもしれない。また、中国は何十年もの間、アメリカの企業に安価な労働力を提供してきたが、これらの企業が中国以外の場所で製造を行わなければならなくなると、コストの上昇により、製品価格はさらに上昇するだろう。

(3)エネルギー価格の高騰が経済を不安定にする
デカップリングは、あらゆるものの価格が上昇することを意味する。さらに、新型コロナウイルスのパンデミックと行動規制の導入でもたらされた変化で日用品が高くなり、今後どうなるのか予測することも困難になっている。

主要国がCOVID-19関連の規制を解除した後、エネルギー需要が急増したが、生産者がそれに対応できず、2021年に入ってから世界のエネルギー価格は高騰している。ヨーロッパでは天然ガスの価格が昨年1年間で500%以上上昇し、過去最高を記録した。さらに天然ガスや石炭離れが起こって、原油価格が急騰し、ブレント原油は昨年1年間で約90%上昇した。

エネルギー価格の高騰は、先進国のインフレ率を数年ぶりの高水準に押し上げ、各国の中央銀行に景気刺激策の見直しを迫る要因となっている。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)とイギリスの中央銀行であるイングランド銀行(Bank of England)は、金融政策を早急に引き締める可能性があると発言し、市場を動揺させた。

また、中国でもエネルギー不足により生産活動が妨げられており、世界第2位の経済大国の成長の足かせとなっているだけでなく、アップル(Apple)など巨大企業のサプライチェーンにも影響が出ている。

(4)スタグフレーションの亡霊
専門家は、供給のボトルネックが経済成長の停滞、高い失業率、そして価格上昇の抑制という危険なカクテルを生み出すのではないかと懸念している。それが世界経済への最大のリスクをもたらすからだ。それは「スタグフレーション」で、前回は1970年代に発生し、この時は成長の停滞とインフレが相まって、何百万人もの人々が苦しめられた。

政策立案者がインフレを抑制しようとすると失業率を高める危険があり、低金利政策で雇用を促進しようとするとインフレを引き起こす可能性がある。このような状況はすでに専門家を困惑させている。FRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は9月30日の下院金融サービス委員会で、物価上昇は「供給側のボトルネックが原因となっており、我々がコントロールできるものではない」と述べた。

また9月28日に行われた上院の公聴会では「このままでは、供給のボトルネックや雇用問題、その他の制約が予想以上に大きく、より長く続くことが証明され、インフレ率の上昇リスクとなる可能性がある」と述べている。

これらのことをふまえると、恒大危機は世界経済が直面しているリスクのごく一部が露わになっているだけに過ぎないことがわかるだろう。経済の回復を阻む氷山は、見た目以上に大きい。エネルギー危機、米中のデカップリング、そしてスタグフレーションの亡霊は、波のすぐ下に潜むモンスターだと言える。

[原文:Evergrande may just be the tip of the iceberg. It's one of 4 major warning signs flashing for the global economy.]

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

Ben Winck,Harry Robertson

 


勝利に飢えた大谷をニューヨークは待っている 片思いのヤンキースが笑う日

2021年10月06日 16時30分04秒 | 野球

10/5(火) 17:54配信

ニューズウィーク日本版
<4年前にヤンキースからの誘いを断った大谷が、ピンストライプの二刀流でニューヨークのファンを沸かせる日は来るのか? 2年後のFAを前に、大谷獲得についてヤ軍幹部が本誌に明かした本音とは>

2年後のFAを前に、世紀のスーパースター大谷の決断に注目が集まる JOE CAMPOREALEーUSA TODAY SPORTSーREUTERS

ニューヨーク・ヤンキースのファンの多くにとって、背筋がぞくぞくする瞬間だった。ロサンゼルス・エンゼルスの「二刀流」天才プレーヤー、大谷翔平が先日、記者会見で移籍について聞かれて興味深い発言をしたのだ。【リサ・オルソン(スポーツジャーナリスト)】

【動画】NBAの大スターもオオタニサンを生観戦

2017年にMLBへの挑戦を表明した際、熱心に獲得に動いたヤンキースの名前を、大谷が口にしたわけではない。そんなことをすれば、23年まで契約を結ぶ所属チームに対して失礼に当たる。

それでも一部の見方によれば、今や大谷は心変わりを示唆している可能性がある。ニューヨークほど要求が多くない米西海岸の球団でプレーしたい、というMLB挑戦時の考えに変化が生まれているのだろうか。

エンゼルスは00年代に大成功を収めたが、15年以降はポストシーズン進出を逃し続け、今年も駄目だった。大谷が再来年に予定されるフリーエージェント(FA)権取得を見据えて、脱出に向けた「外交活動」を始めたとしても不思議ではない。

「エンゼルスに残留したい気持ちは?」。9月26日、対シアトル・マリナーズ戦での敗北の後、大谷はそう問われると、こう答えた。「もちろんファンの人も好きだし、球団の雰囲気も好き。ただそれ以上に勝ちたいという気持ちのほうが強い。プレーヤーとしては、それのほうが正しいんじゃないかなとは思っている」

現代のベーブ・ルースがついに、運命に導かれてニューヨークに向かうのでは――大谷は再び、そんなヤンキースファンの夢に火を付けた。

思い出してほしい。ヤンキースはかつて、日本人スター選手の本命球団と見なされていた。だからこそ、大谷がエンゼルスと契約したときには球界に衝撃が走ったのだ。

「常勝軍団」ヤンキースは例年どおり、プレーオフ進出に王手をかけているものの、左の強打者が恒常的に不足している。左打ちのスラッガーで右腕投手の大谷が、その素晴らしい存在感をマウンドでも発揮してくれるなら......。ロック歌手ブルース・スプリングスティーンが言ったとおり、あらゆる偉大なパフォーマーがブロードウェイの舞台に立つのには、それなりのわけがある。

松井秀喜や田中将大はいずれも、名野球選手になる運命をヤンキースで実現した。大谷が彼らの後に続くなら、球場には衛星中継用トラックが詰め掛けることになりそうだ。

「ビートルズが(ニューヨークにあった)シェイ・スタジアムにやって来るようなものだ」。ヤンキースの試合を長年実況するアナウンサーのマイケル・ケイは筆者にそう語った。

<「スターはブロードウェイで最も輝く」>

仮にヤンキースに移籍することになったとして、大谷は二刀流を続けられるのだろうか GARY A. VASQUEZーUSA TODAY SPORTSーREUTERS

「大谷の多元的な魅力を考えると、取材陣の規模は松井や田中のときすらも上回るだろう。大谷は日本人有名選手というより、有名選手そのものだ。スターはブロードウェイで最も輝く。才能にあふれ、ルックスがよく、カリスマ性のある大谷は大舞台に欠かせない逸材だ」

大谷獲得への期待が高まり過ぎるのを前に、ヤンキース関係者は、コロナ禍で全てが一変したとクギを刺した。巨額を投じて超大物FA選手を獲得してきたチームの資金力も、その1つ。大谷が本塁打王を争い、今年のMLBオールスターゲームでアメリカンリーグの先発投手を務め、左打者に有利なヤンキー・スタジアムにぴったりのスイングをしようが、ヤンキースの懐事情は変わらない。

いずれ大谷獲得を目指す球団は、年俸総額の高騰を抑制するMLBの新たな包括的労働協約を考慮に入れる必要もある。大谷の今季年俸は300万ドルで、来シーズンは550万ドルに跳ね上がる。今後も体調良好で、スプリングスティーン級の動員数を維持するなら、相応の報酬が支払われるべきだ。

MLBは、他チーム所属選手の潜在的な獲得可能性や契約について公言することを禁じている。あるヤンキース幹部はオフレコで、2年先のことではあるが、球団は大谷の今後の行動に強い関心を持っていると筆者に明かした。ただし、彼は数時間後に再度電話をくれ「この史上最高の選手が何を考え、何を望んでいるかを知りたいファンの1人として」大谷を見守っていると言い直した。

ヤンキースと日本人選手の過去のロマンスが参考になるなら、ピンストライプのユニフォームに着替えた大谷は「スペシャル」以上の存在になる可能性がある。

特に予見しやすい例が、松井のヤンキース時代だ。「ゴジラ」松井は09年のワールドシリーズ制覇に貢献した(MVPにも輝いた)だけではない。球団に勢ぞろいするメガ級スターにも、時に注目から逃れる瞬間を提供することになった。

「ヒデキがいるのは大歓迎だ」。ヤンキースの伝説的名選手、デレク・ジーターは日本の取材陣でごった返すクラブハウスを見回して、筆者にそう言ったことがある。田中でもイチローでも、日本人有名選手が加わるたびに同様のことが起きた。

「ヤンキースが大谷と契約したら、彼らの誰よりも大きな事件になるだろう」と、ニューヨークのスポーツ専門ラジオ局WFANで、20年にわたってヤンキース担当記者を務めるスウィーニー・マーティは話す。

<1度はフラれたヤンキース>

MLBの名門ヤンキースには、かつて日本人選手の田中やイチロー、松井(写真)も在籍 RAY STUBBLEBINEーREUTERS

大谷の体が持つ限り、ヤンキースは二刀流を認めるだろうと、マーティはみる。とはいえニューヨークに誘うには、巨額の10年契約が必要になるのか? 球団は2年後も複数選手との大型契約を消化中のはずだ。

しかし、獲得に当たって最も手ごわいハードルは今も、大谷自身の心の内にあるのかもしれない。

「大谷は4年前、ヤンキースに行きたくない、ニューヨークではプレーしたくないと明言した。最大の問題はその点にある」とマーティは言う。「最も重要な彼の心の中で、何か変化があったのか。ヤンキースは入札合戦で争うことは避けたいはずだ」

もちろん、12年から大谷に目を付けてきたヤンキースにとって、これは既に来た道だ。17年には、ゼネラルマネジャー(GM)のブライアン・キャッシュマンと、日本球界との連絡窓口を務めるアシスタントGMのジーン・アフターマンが札幌と東京を訪れて大谷のプレーを視察し、松井の力も借りて入団を説得しようとした。それでも、大谷は西海岸のエンゼルスを選んだ。

「できることは全部やった」と、キャッシュマンは当時を振り返る。「持てる全てを投じ、ファンと地元ニューヨークの情熱を伝えたが、人には好き嫌いがある。彼はわくわくするような才能を持つ若者だ。どこであろうと、彼を迎えるチームとそのファンは本当にラッキーだ」

大谷とヤンキースは今も最高の組み合わせか。その問いを再び考え始めるのに、早過ぎることはない。

大谷は勝利を求めている。ブロードウェイは、彼を待っている。

(筆者は1998年より19年間、ニューヨーク・デイリー・ニューズ紙コラムニスト等としてヤンキースを取材し、98年より全米野球記者協会会員。現在はアリゾナ州立大学客員教授〔ジャーナリズム学〕)

▼本誌10月12日号「アメリカが愛する大谷翔平」特集では、アメリカを熱狂させた二刀流について、MLBを知り尽くしたアメリカのMLB専門スポーツジャーナリスト陣がさまざまな角度でリポートする。100年後も語り継がれるであろうこの新たな歴史の始まりを、アメリカはどう見ているのか――。

リサ・オルソン(スポーツジャーナリスト)

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勝利に飢えた大谷をニューヨークは待っている 片思いのヤンキースが笑う日

2021年10月06日 16時16分32秒 | 野球

10/5(火) 17:54配信

ニューズウィーク日本版
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ニューヨーク・ヤンキースのファンの多くにとって、背筋がぞくぞくする瞬間だった。ロサンゼルス・エンゼルスの「二刀流」天才プレーヤー、大谷翔平が先日、記者会見で移籍について聞かれて興味深い発言をしたのだ。【リサ・オルソン(スポーツジャーナリスト)】

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2017年にMLBへの挑戦を表明した際、熱心に獲得に動いたヤンキースの名前を、大谷が口にしたわけではない。そんなことをすれば、23年まで契約を結ぶ所属チームに対して失礼に当たる。

それでも一部の見方によれば、今や大谷は心変わりを示唆している可能性がある。ニューヨークほど要求が多くない米西海岸の球団でプレーしたい、というMLB挑戦時の考えに変化が生まれているのだろうか。

エンゼルスは00年代に大成功を収めたが、15年以降はポストシーズン進出を逃し続け、今年も駄目だった。大谷が再来年に予定されるフリーエージェント(FA)権取得を見据えて、脱出に向けた「外交活動」を始めたとしても不思議ではない。

「エンゼルスに残留したい気持ちは?」。9月26日、対シアトル・マリナーズ戦での敗北の後、大谷はそう問われると、こう答えた。「もちろんファンの人も好きだし、球団の雰囲気も好き。ただそれ以上に勝ちたいという気持ちのほうが強い。プレーヤーとしては、それのほうが正しいんじゃないかなとは思っている」

現代のベーブ・ルースがついに、運命に導かれてニューヨークに向かうのでは――大谷は再び、そんなヤンキースファンの夢に火を付けた。

思い出してほしい。ヤンキースはかつて、日本人スター選手の本命球団と見なされていた。だからこそ、大谷がエンゼルスと契約したときには球界に衝撃が走ったのだ。

「常勝軍団」ヤンキースは例年どおり、プレーオフ進出に王手をかけているものの、左の強打者が恒常的に不足している。左打ちのスラッガーで右腕投手の大谷が、その素晴らしい存在感をマウンドでも発揮してくれるなら......。ロック歌手ブルース・スプリングスティーンが言ったとおり、あらゆる偉大なパフォーマーがブロードウェイの舞台に立つのには、それなりのわけがある。

松井秀喜や田中将大はいずれも、名野球選手になる運命をヤンキースで実現した。大谷が彼らの後に続くなら、球場には衛星中継用トラックが詰め掛けることになりそうだ。

「ビートルズが(ニューヨークにあった)シェイ・スタジアムにやって来るようなものだ」。ヤンキースの試合を長年実況するアナウンサーのマイケル・ケイは筆者にそう語った。

<「スターはブロードウェイで最も輝く」>

仮にヤンキースに移籍することになったとして、大谷は二刀流を続けられるのだろうか GARY A. VASQUEZーUSA TODAY SPORTSーREUTERS

「大谷の多元的な魅力を考えると、取材陣の規模は松井や田中のときすらも上回るだろう。大谷は日本人有名選手というより、有名選手そのものだ。スターはブロードウェイで最も輝く。才能にあふれ、ルックスがよく、カリスマ性のある大谷は大舞台に欠かせない逸材だ」

大谷獲得への期待が高まり過ぎるのを前に、ヤンキース関係者は、コロナ禍で全てが一変したとクギを刺した。巨額を投じて超大物FA選手を獲得してきたチームの資金力も、その1つ。大谷が本塁打王を争い、今年のMLBオールスターゲームでアメリカンリーグの先発投手を務め、左打者に有利なヤンキー・スタジアムにぴったりのスイングをしようが、ヤンキースの懐事情は変わらない。

いずれ大谷獲得を目指す球団は、年俸総額の高騰を抑制するMLBの新たな包括的労働協約を考慮に入れる必要もある。大谷の今季年俸は300万ドルで、来シーズンは550万ドルに跳ね上がる。今後も体調良好で、スプリングスティーン級の動員数を維持するなら、相応の報酬が支払われるべきだ。

MLBは、他チーム所属選手の潜在的な獲得可能性や契約について公言することを禁じている。あるヤンキース幹部はオフレコで、2年先のことではあるが、球団は大谷の今後の行動に強い関心を持っていると筆者に明かした。ただし、彼は数時間後に再度電話をくれ「この史上最高の選手が何を考え、何を望んでいるかを知りたいファンの1人として」大谷を見守っていると言い直した。

ヤンキースと日本人選手の過去のロマンスが参考になるなら、ピンストライプのユニフォームに着替えた大谷は「スペシャル」以上の存在になる可能性がある。

特に予見しやすい例が、松井のヤンキース時代だ。「ゴジラ」松井は09年のワールドシリーズ制覇に貢献した(MVPにも輝いた)だけではない。球団に勢ぞろいするメガ級スターにも、時に注目から逃れる瞬間を提供することになった。

「ヒデキがいるのは大歓迎だ」。ヤンキースの伝説的名選手、デレク・ジーターは日本の取材陣でごった返すクラブハウスを見回して、筆者にそう言ったことがある。田中でもイチローでも、日本人有名選手が加わるたびに同様のことが起きた。

「ヤンキースが大谷と契約したら、彼らの誰よりも大きな事件になるだろう」と、ニューヨークのスポーツ専門ラジオ局WFANで、20年にわたってヤンキース担当記者を務めるスウィーニー・マーティは話す。

 

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大谷はエンゼルスとの契約延長に前向き リーグMVP受賞なら「8年350億円」の超巨額オファーに

2021年10月06日 16時12分42秒 | 野球

10/6(水) 9:06配信

日刊ゲンダイDIGITAL

再来年以降もエンゼルスで世界一を目指すのか(C)ロイター/USA TODAY Sports

 今季、全米を魅了した二刀流の去就に早くも注目が集まっている。

 日本時間4日のマリナーズとのレギュラーシーズン最終戦を前に、今季の総括会見をしたエンゼルス・大谷翔平(27)は「より多く試合に出られたというのは単純に楽しかったですし、それだけ試合に貢献できる頻度が高いということは選手としてもやりがいがあると思うので、すごく楽しい1年だった」と満足そうに振り返った。

大谷のユニホームの下に隠された筋骨隆々のヒミツ 平然と「暇つぶしに練習してます」

 今季の活躍から、シーズン終盤には複数の米メディアが大谷の去就に注目。今季最終登板となった先月27日のマリナーズ戦後、低迷するチームに対して「このままでは(来季も)勝てない」と不満を表し、エンゼルスへの思いを口にしながらも「それ以上に勝ちたいって気持ちの方が強いですし、プレーヤーとしてはその方が正しいんじゃないかと思います」と移籍願望とも取れる言葉を口にした。それだけに、エンゼルスは大谷がFA権を取得する2023年オフまでに二刀流と長期契約を交わすと予想する記事も少なくなった。

 この日、大谷はエ軍との契約延長について聞かれると「この4年間、一番近くで支えてもらった球団ではあるので、オープンな気持ちで話すと思います」と前向きに話し、さらに「(今オフは)いろんな補強があると思うんですけど、来年一年、どういう選手とできるのかな、というのも楽しみにしています」と球団への愛着も口にした。

 今季は1918年のベーブ・ルース以来103年ぶりの「2ケタ勝利と2ケタ本塁打」こそ逃したが、ルースにも引けを取らない働きを見せた。投げては23試合、計130回3分の1で9勝2敗、防御率3.18。打っては155試合で537打数138安打の打率.257、46本塁打、100打点、26盗塁。本塁打王を獲得したロイヤルズ・ぺレス、ブルージェイズ・ゲレロ(ともに48本塁打)の2人と最後まで熾烈なタイトル争いを繰り広げた。二刀流としてのチームへの貢献度の高さから本塁打王を争ったライバル2人を抑えてア・リーグMVPの最有力候補に挙げられている。リアル二刀流で結果を残し、有力視されるMVP受賞なら大谷の市場価値が高騰するのは必至だ。

FA前の囲い込みは可能性十分

投手としての評価は出来高(C)ロイター/USA TODAY Sports

「エンゼルスは資金力が豊富な球団だけに早ければ今オフ、遅くとも来季途中までには大谷サイドに契約延長をオファーするでしょう」とスポーツライターの友成那智氏がこう続ける。

「今年2月に2年総額約8億9000万円で新たに契約を交わしましたが、今や大谷はメジャーリーグどころか米プロスポーツを代表するスーパースター。戦力としてはもちろん、集客や球団ビジネスの目玉になる二刀流をFA前に囲い込むことは十分に考えられます。過去にMVPを受賞した選手の提示内容を見ると、ベッツ(ドジャース)が12年総額約390億円、ハーパー(フィリーズ)が13年総額約368億円と300億円を超える金額で合意しています。仮に今オフ、大谷が契約延長すれば、年俸4000万ドル(約44億円)の8年総額3億2000万ドル(約350億円)規模の条件になるのではないか」

 大谷は来年の7月5日で28回目の誕生日を迎える。今年2月に14年総額約360億円の長期契約を結んだパドレス・タティス内野手(22)ら20代前半の選手とは異なり、10年を超える長期契約は望めない。フィジカル面の負担が大きく故障のリスクも高い二刀流だけに、エ軍は大谷との契約に「保険」をかけるという。

■故障リスクを考慮し投手は出来高に

「大谷が肩、肘を故障して投げられなくなることを考慮して、投手としての年俸は1500万ドル(約16億6000万円)ほどに抑えて、先発試合数、投球イニング数に応じた出来高払いを盛り込んだ契約になると思います。16年に前田(現ツインズ)がドジャースと交わした出来高契約のように、インセンティブをすべてクリアすれば満額を手にできる内容になるとみられます」(友成那智氏)

 かつてルースを宿敵ヤンキースに放出したレッドソックスは「ルースの呪い」にかかり、長らく世界一から遠ざかった。エ軍が大谷の流出を許せば、二刀流の呪縛に苦しむことにもなりかねない。

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阪神・青柳が11勝目!「優勝&投手2冠」なら年俸爆上げ3倍増の“バラ色のオフ”

2021年10月06日 16時10分48秒 | 野球

10/6(水) 11:00配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「数字」が気になる青柳(C)共同通信社

 トンネルを抜けた。5試合、白星から遠ざかっていた阪神右腕の青柳晃洋(27)が、DeNA打線を6回2失点に抑え、リーグトップタイの11勝目を挙げた。

阪神サイドスロー右腕・青柳晃洋は90年代の川尻哲郎かも

「初回から援護をしてくれた野手の方々に感謝です。2失点をしてしまいましたが、なんとか粘りの投球ができました」

 9月に足踏みしていた青柳だが勝率(.688)もリーグトップ。防御率(2.69)は同2位だ。ドラフト制以後、阪神で最多勝と最優秀防御率のタイトルを同時に獲得したのは2003年の井川慶(20勝5敗、防御率2.80)しかいない。当時の井川はすでに1億円プレーヤー。18年ぶりの優勝に貢献したことで、翌年は2倍超の2億1000万円にアップした。

 年俸5000万円の青柳は3冠の可能性がある。実現すれば年俸更改が楽しみだろう。

 参考になるのは10年の広島・前田健太だ。当時、高卒4年目の前田は球団史上初、セでは11年ぶりとなる投手3冠(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振)に輝き、4800万円の年俸は1億5000万円まで跳ね上がった。

 阪神OBが言う。

「10年のマエケンは15勝8敗、防御率2.21、174奪三振で沢村賞も獲得。見事な活躍を見せたが、チームは5位と低迷した。青柳は投げてもあと3試合。タイトル取りには、投手4冠(勝率・667、10勝5敗、防御率2.17、161奪三振)を視野に入れる中日の柳がライバルです。今季の柳の出来からすると、防御率は厳しいかもしれないが、2冠で終えても16年ぶりにチームが優勝すれば貢献度は大きい。1億5000万円には届くと思う」

 東京五輪では金メダルを獲得、約1000万円の報奨金をもらった。その上、チームが優勝で投手3冠なら、まさにバラ色のオフが待っている。

 

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入管でスリランカ人女性死亡 遺族ら“全映像の開示が必要”

2021年10月06日 13時07分10秒 | 新聞を読もう
<iframe class="video-player" src="https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20211005/movie/3000018711_20211005183504.html?movie=false" width="360" height="202" allowfullscreen="allowfullscreen"></iframe>

名古屋市にある入管施設に収容されていたスリランカ人の女性が死亡した問題で、遺族と代理人の弁護士が記者会見を開き、10月、施設内での女性の映像の一部を見ることができたとしたうえで「真相解明のためにすべての映像の開示が必要だ」などと訴えました。

名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人の女性、ウィシュマ・サンダマリさん(33)は体調不良を訴えて、ことし3月に亡くなり、出入国在留管理庁は8月、適切な治療を行う体制が不十分だったなどとする最終報告を公表しました。
その後、施設内で過ごすウィシュマさんの様子を写した2週間におよぶ映像のうちおよそ2時間に編集されたものの一部が来日していた遺族に開示されましたが、遺族は代理人の弁護士の立ち会いのもとですべての映像を開示するよう求めています。
遺族と弁護士らは東京で記者会見を開き、ウィシュマさんが亡くなった責任は入管側にあるとして国に損害賠償を求める訴えを起こす考えを示した上で、これに向けた証拠保全の手続きのなかで今月1日、弁護士の立ち会いのもとでウィシュマさんの映像の一部を確認できたと明かしました。
映像は、ことし2月下旬の2日間と亡くなる3月6日までの5日間の映像のうちの一部で、このうち3月3日の映像には、ご飯を食べさせようとして吐いてしまったウィシュマさんに対し、職員がうがいをさせないまま再びスプーンを口にはこび食べさせようとする様子などがうつっていたということです。
妹のポールニマさんは、「映像を見て最終報告書には書かれていないことがたくさんあると確信しました。すべての映像の開示を求めます」と話しました。
代理人の駒井知会弁護士は、「このようなやり方で食べさせようとするのは極めて残酷で、最終報告からはまったく読み取れず、すべての映像の開示が必要だ」と述べました。


入管施設スリランカ人女性死亡 遺族らが国を提訴へ

2021年10月06日 13時04分32秒 | 事件・事故
<iframe class="video-player" src="https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20211004/movie/3000018687_20211004191743.html?movie=false" width="360" height="202" allowfullscreen="allowfullscreen"></iframe>

名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人の女性が死亡した問題で、女性が亡くなった責任は入管側にあるとして遺族らが国に対し損害賠償を求める訴えを名古屋地方裁判所に起こす方針を固めました。
名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人の女性、ウィシュマ・サンダマリさん(33)が体調不良を訴えて亡くなった問題で、出入国在留管理庁はことし8月、適切な治療を行う体制が不十分だったなどとする最終報告を公表しました。
その後、施設内でのウィシュマさんの様子を写した映像を2時間ほどに編集したものの一部が来日していた遺族に開示されましたが、遺族は弁護士の立ち会いのもとですべての映像を開示するよう求めてきました。
この問題で遺族らはウィシュマさんが亡くなった責任は入管側にあるとして国に対し損害賠償を求める訴えを名古屋地方裁判所に起こす方針を固めました。
また代理人の弁護士によりますと提訴に先立って弁護団が裁判所に申し立てていたすべての映像の証拠保全が先月認められ、今月1日には弁護士が初めて映像の一部を確認できたということです。
弁護団は今後、裁判の中ですべての映像が開示される可能性が高いとしていて、代理人の駒井知会弁護士は、「映像の一部を見て、むごいと感じた。ご遺族が適切な賠償をうけることは当然だと思います。入管は、やったことを反省して自主的に資料やデータを開示するべきだ」と話しました。
遺族と弁護団は5日、記者会見をして裁判や、確認できた映像の内容などについて説明するということです。


名古屋入管・スリランカ人女性死亡事件「これは殺人なんです」死の間際の映像を見た遺族が涙の訴え

2021年10月06日 12時56分22秒 | 事件・事故

9/9(木) 6:04配信

SmartFLASH

ウィシュマ・サンダマリさん(享年33)

《部屋にはベッドが一つだけで、その奥にトイレと洗面所がある。ベッドと壁の間はやっと通れるくらいの狭さだ》

【遺族が絵で再現】「担当さーん」と23回叫んでやっと職員が現れ……ウィシュマさん “死の間際の映像”

 スリランカ女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)は、この「密室」に半年余りも閉じ込められていた。

 オーバーステイ(超過滞在)で、名古屋出入国管理局に収容されていたウィシュマさんは、今年1月中ごろから嘔吐や食欲不振を訴え、「仮放免」を求めたが認められず、3月6日、搬送先の病院で死亡した。

 8月12日、入管は部屋の天井に設置した監視カメラの映像を、ウィシュマさんの亡くなる最後の13日間ぶんを2時間に編集して遺族にだけ開示。

 今回、映像を見た妹のワヨミさんと従妹のマンジャリさんが、苦しみを抱えつつも日本の人々に事件を知ってほしいという思いから、本誌の求めに応じてウィシュマさんの “死の間際” をイラストに起こし、真実を語ってくれた。《 》の部分は、2人が入管で映像を見ながら記したメモである。

《2月23日19:37~19:39。ベッドに横たわるウィシュマ。そばには女性職員。ウィシュマが「病院に連れて行って」と頼み、職員が「私たちがずっと見とるからね」と答えると、彼女は「ご飯も食べられないし歩けない」と訴える。

 ウィシュマは「セーライン(点滴)」と4回繰り返したが、職員は「わからない」と答える。ウィシュマは「OS1(経口補水液)みたいなやつ」と言いながら点滴のジェスチャーをする。職員は「医師なしでは与えられない」と拒んだ》

《2月26日5:14~5:36。ウィシュマは起き上がろうとしてベッドから床に転げ落ちた。助けを求めると「すぐには行けないから、一人で起きてベッドで待っていなさい」という職員の声。ウィシュマは「一人じゃ無理」と言い、「担当さーん」と、23回も呼び続けた。

 約10分後に2人の職員が部屋に入ってきて、床に倒れたウィシュマを無理やり引っ張る。ウィシュマは「痛い、痛い」と叫んだ。職員は「起き上がれないなら、朝まで床で頑張ってね」と言い残し、一人の職員はウィシュマを跨いで部屋を出て行った》

《3月1日21:32~21:37。一人の職員がコーヒー飲料を渡す。ウィシュマが「コーヒーなら飲める」と言ったからだ。ウィシュマの鼻からコーヒー飲料が出ているのに気づいた職員が「鼻から牛乳だ」と叫んだ。2人ともおかしそうに笑っていた》

 この場面を見たとき、ワヨミさんは映像を止めさせ、「どうして笑ったのか」と、同席の職員に聞いた。職員は「これは日本のブラックジョーク。フレンドリーになるための冗談です」と言い逃れたという。

《3月3日16:58~17:10。ウィシュマはべッドに横たわったまま疲れ果てた様子。看護師がウィシュマの手を取って、開いたり閉じたりさせようとしたが反応はない。

 翌日は精神科の病院に行く予定で、看護師は医師に報告するためにウィシュマの症状をリストアップしている。「足が痛い、眠れない、食べられない、耳鳴りがする、頭の中が工場みたい」と、ウィシュマ自身でも医師に伝えるように指示する。

 するとウィシュマは「死にたい」とつぶやく。看護師は「死んだらハンサムで金持ちの日本人と結婚できなくなるんじゃないの?」と軽口を叩いた》

 ウィシュマさんが死亡したのは、この3日後だった。8月10日、出入国在留管理庁が公開した最終報告書は、「ウィシュマさんの死因特定は困難」と結論づけた。しかし、遺族の代理人である指宿昭一弁護士は強く反論する。

「報告書は、今回の事件の原因を入管の体制や職員の意識の問題にすり替えていますが、明らかな犯罪。死ぬ可能性を知りながら放置したのなら、“未必の故意” の殺人です」

 ワヨミさんは入管職員にこう聞いた。「私たちがアメリカ人なら同じことをしましたか?」。職員は無言だった。

「貧しい国の人間だから、こんな仕打ちを受けたのかと聞きたかったんです。姉は『日本は素晴らしい国』『日本人はとても優しい』といつも言っていました。でも、入管の人たちによって、日本のイメージは悪くなってしまいました」

 一人の外国人の死によって日本が失ったものはあまりに大きい。

(週刊FLASH 2021年9月21日号)

※現在、事件の真相究明のためにカンパと署名が募られており、ご賛同者は下記の#からの文言でインターネットで検索してください。#JusticeForWishma 名古屋入管死亡事件の真相究明のためのビデオ開示、再発防止徹底を求めます

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入管が明かさない不都合 スリランカ女性死亡事件

2021年10月06日 12時56分22秒 | 新聞を読もう

安田菜津紀・フォトジャーナリスト

2021年10月3日 毎日新聞

スリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが死亡した問題で、ビデオの視聴に代理人の立ち合いが認められず、法務省前で取材に応じる妹ワユミさん(左)とポールニマさん=東京都千代田区で2021年9月10日、長谷川直亮撮影

名古屋出入国在留管理局で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの妹であり、次女のワユミさんが9月23日、日本からスリランカへと帰国した。5月1日に来日をしてから、すでに5カ月近くがたとうとしていた。当初は1カ月ほどの滞在の予定が、「真実が分からなければ、スリランカで待つ母に何も報告できない」と、真相究明のために日本にとどまっていた。
 8月10日に入管庁が公表した「最終報告書」は、死因について「病死と考えられる」としているものの、「複数の要因が影響した可能性があり、具体的な経過の特定は困難」と曖昧にされており、収容との因果関係にも踏み込まない表面的なものにとどまった。
ビデオ開示が残した心の傷
 さらに8月12日、入管庁はウィシュマさんが亡くなるまでいたとされる居室の監視カメラのビデオ約2週間分を、わずか約2時間分に切り縮め、遺族のみに見せた。姉が苦しみ亡くなる映像を見ること自体、あまりに精神的負荷が大きいことだろう。ところが代理人弁護士の同席は、「特別の人道上の対応としてご遺族にご覧いただく」と最後まで認められなかった。結局、遺族は1時間10分ほどの映像を見進めた時点で中断し、ビデオを見たワユミさんは、涙が止まらず、嘔吐(おうと)してしまう場面もあったという。
 法務省の建物から出てきたワユミさんは、声を震わせながら語った。「人権なんてここに全くありません。すべての外国人の皆さんに伝えたいです。明日はあなたの番かもしれません」
 このビデオ開示が心に残した傷は深かった。ワユミさんは浴室などの小さな部屋に入ると、「たんとうさーん、たんとうさーん」と、映像の中でウィシュマさんが助けを求めていた声が響いてくる感覚に襲われるようになったという。
 そして9月23日、ワユミさんは一人スリランカで待ち続ける母の元に戻り、三女のポールニマさんが引き続き日本にとどまり真相究明を続けることを選んだ。
 ビデオ開示を認めてこなかったことや、遺族代理人の同席を認めなかったことの理由について入管庁側は、「(施設の)保安上の理由」「ご本人(ウィシュマさん)の名誉・尊厳」を掲げてきたが、ウィシュマさんの尊厳のあり方を決めるのは、その死の責任がある側ではないはずだ。そもそも「名誉・尊厳」を理由に掲げながら、なぜ最終報告の調査に加わった「有識者」には、遺族の了解を得ずにビデオを全て見せているのだろうか。「保安上の理由」というと、ビデオ開示がさも前例のないことのように聞こえるが、これまで裁判やその手続きなどを通し、内部の映像が公開されたことは何度もあることだ。
恣意的に編集される証拠
 2014年3月、茨城県牛久市にある「東日本入国管理センター」の収容施設で、カメルーン人男性が体調不良を訴えるも放置され亡くなった事件が起きた。「I'm dying」「みず、みず」と叫び、床をのたうち回るほどの苦痛を7時間近く訴え続けていたにもかかわらず、入管職員は対処するどころか、監視カメラでその様子を観察し、動静日誌に「異常なし」と書き込んでいた。


スリランカ人女性死亡事件に見る「入管の闇」の深さ【コメントライナー】

2021年10月06日 12時53分27秒 | 新聞を読もう

2021年08月29日09時00分


 死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・・サンダマリさんの映像を確認後、取材に応じる妹ワヨミさん(右)ら。遺族側は「動物のように扱っていた」と批判した=2021年8月12日、東京都千代田区【時事通信社】

死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・・サンダマリさんの映像を確認後、取材に応じる妹ワヨミさん(右)ら。遺族側は「動物のように扱っていた」と批判した=2021年8月12日、東京都千代田区【時事通信社】

 死に瀕した人間を助けるどころか、からかう。この冷酷さは何だろう。名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが3月6日に死亡した事件。出入国在留管理庁は「最終報告書」を公表した。同時に入管局長ら4人を訓戒と厳重注意処分にし、幕を引こうとうしている。(文 時事総合研究所客員研究員・北原 斗紀彦)


 ◆「フレンドリーな軽口」と弁解
 昨年8月、名古屋入管に収容されたサンダマリさんは、今年1月中旬から急速に健康状態が悪化。食事が満足にできない状態になり、2月15日の尿検査の数値は「飢餓状態」を示し、会話をまともに交わすこともできなくなった。
 報告書は対応した看守の言動について具体性のある記述が乏しい。看守が発した言葉の引用は全文96ページ中、わずか数カ所だ。
 その一つ、死の5日前には、カフェオレをうまく飲み込めず、鼻から噴出させてしまい、見ていた看守は「鼻から牛乳や」とからかった記述がある。これは「チャラリ~」で始まるお笑いシンガーソングライターのヒット作のワンフレーズであることは言うまでもない。
 死の前日には、かすかに発した言葉尻をとらえて、接着剤のアロンアルファが食べたいのかなどと聞き返している。
 報告書は「フレンドリーに接したいなどの思いからこのような軽口を叩いた」という看守の弁解をそのまま載せている。
 およそ社会的に受け入れられるとは思えないが、報告書への引用は看守だけでなく組織としての入管が、このような弁解が通用する余地があると考えていることをうかがわせる。
 ◆特高体質受け継ぐ
 「フレンドリーな軽口」と言ってはばからない組織。報告書は看守の対応の理由を「仮釈放が目的の詐病と疑ったため」と説明している。その背景にあるのは外国人を潜在的犯罪者とみる体質だ。
 戦前戦後の入管の歴史を研究した大沼保昭「単一民族社会の神話を超えて」によれば、戦前の外国人管理を担当したのは思想弾圧に猛威を振るった特高警察で、戦後も「特高の少なからぬ部分は公職追放を免れ、出入国管理に携わる部署の一員として生き延びた」。
 彼らは旧植民地出身者である「在日朝鮮人に対する強い偏見、差別観を持ち、在日朝鮮人を常に公安的な発想から眺める」と同書は指摘しており、今回の事件はこのようなDNAが戦後76年を経て脈々と受け継がれていることを示している。
 国内外の治安情報を収集する公安調査庁 がオウム真理教事件後 、行革対象になり、入管への統合が検討されたことが一時あったが、これも同様の発想と言えよう。
 ◆これは刑事事件
 報告書は、事件の主な原因を「医療的対応の不備」に求めている。だがその背後の外国人の人権軽視体質こそがまず問題にされなければならない。
 ここで想起するのが、ナチスによるユダヤ人虐殺の責任者の裁判について記したハンナ・アーレントの「エルサレムのアイヒマン」である。
 「悪の陳腐さについての報告」という副題が付いた同書は、「アイヒマンという人物の厄介なところはまさに、実に多くの人々が彼に似ていたし、しかもその多くの者が倒錯してもいず、サディストでもなく、恐ろしいほどノーマルだったし、今でもノーマルということなのだ」と書く。
 報告書にあるような言動をした看守は、根っから血も涙もない人間というわけではないだろう。ノーマルな人間が組織の一員になった時、個人では行わないような犯罪に手を染める。
 これが組織による犯罪の恐ろしい点だ。アイヒマン裁判はこのことを浮き彫りにした。今回の事件の解明には、上位者を含め関与が疑われる職員各自の刑事責任を追及することが必要である。
 検討すべき罪名は、保護責任者遺棄致死罪、特別公務員暴行陵虐致死罪、業務上過失致死罪などいくつかある。職員に「死んでもかまわない」という未必の故意が認められれば、殺人罪も成立し得る事件なのだ。
 (時事通信社「コメントライナー」2021年8月26日号の記事を一部加筆・修正しました)
 【筆者紹介】
 北原 斗紀彦(きたはら・ときひこ) 1975年時事通信社入社。ジュネーブ特派員、社会部長、解説委員、横浜総局長、編集特報本部長を経て、時事通信出版局代表取締役、時事総合研究所代表取締役。2016年10月より現職。ジャーナリストとして社会問題やメディア状況をウオッチ。共著にドキュメント「破防法 日本を揺るがした400日」、「世界王室マップ」。


国、上告断念の方針 強制送還「違憲」判決確定へ

2021年10月06日 12時50分46秒 | 事件・事故

スリランカ女性死亡 入管問題

  (10月05日 09:31) 時事ドットコム

東京高裁が入る裁判所合同庁舎=2020年4月、東京都千代田区

 難民不認定処分を受けたスリランカ人男性2人に対し、入管が裁判を受けさせず強制送還したことを違憲と判断した東京高裁判決について、国が上告を断念する方針を固めたことが4日、政府関係者への取材で分かった。

スリランカ女性の妹帰国へ 入管ビデオ視聴で体調不良(09月21日 16:49)

ウィシュマさんの遺影と並んで記者会見に臨む妹のワヨミさん=21日午後、東京都千代田区

 名古屋出入国在留管理局の施設で3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡した問題で、来日していた妹のワヨミさん(28)が21日、東京都内で記者会見し、収容中の映像を視聴したことにより精神的な不調を訴え、23日にスリランカへ帰国すると明らかにした。


名古屋入管・スリランカ人女性死亡問題に見える「外国人嫌悪」という日本の闇

2021年10月06日 12時48分37秒 | 事件・事故

小川たまか:編集・ライター

2021.9.17 3:35 ダイアモンド

 名古屋入管・スリランカ人女性死亡問題に見える「外国人嫌悪」という日本の闇
築地本願寺で行われたウィシュマさんのお別れ会(著者提供)
2021年3月6日に、名古屋入国管理局の施設で、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が亡くなった。遺族や支援者が真相解明を求める一方で、ネット上では心ない虚偽の内容も出回っている。一体なぜ、死者が出た事実の背景を知るための行動が、一部から批判されるのだろうか。(フリーライター 小川たまか)

“飢餓状態“のウィシュマさんに
点滴はほどこされなかった

「報告書では、入管施設は幾度もウィシュマさんに病院で治療を受けさせたことが記載されています。入管側もそれなりに努力したのではないでしょうか」

 9月10日、日本記者クラブで行われた記者会見で、新聞記者からこんな質問が上がった。これに対して、指宿昭一弁護士は淡々と、しかしはっきりとこう答えた。


「幾度も?2回しか外部院(*)には見せていません。まずですね、点滴を一度も打っていない。何度も本人や支援者から点滴を打ってくれと、痩せて飢餓状態になっていたから水分と栄養分を補充する必要があった。この肝心のことをやっていない。そのことを全く評価できないと思います」(*外部の病院という意味と思われる)

 指宿弁護士ら遺族代理人や支援者が真相究明を求めているが、明らかになっていない部分は多い。

 8月に公表された最終報告書で初めて、2月15日に行われたウィシュマさんの尿検査数値が「飢餓状態」を示すものであり、それを少なくとも医療関係者のうち一人が確認していたことはわかった。その時点でなぜ救急車が呼ばれなかったのか。救急車が呼ばれたのは亡くなった当日の3月6日で、病院に着いた時点でウィシュマさんの息はすでになかった。
記者会見では他の記者から、入管の行為は保護責任者遺棄致死や、未必の故意による殺人罪に当たるのではないかという質問も上がった。

 2007年以降、ウィシュマさんを含め17人の収容者が入管で亡くなっている。理由は、病死、自死、餓死など。これらについて、入管職員が責任を追及され起訴されたなどという報道は見当たらない。

 指宿弁護士は「ウィシュマさんの件は、刑法上の問題が成立すると思う。殺人罪の可能性もありますし、保護責任者遺棄致死の可能性もあると思う」と語った上で、「名古屋地検で捜査が進められている。検事が法律家としての良心に基づいて調査するなら、必ず起訴されると思う。起訴されなければならない、と思います」と重ねた。


メディアを含め、
外国人嫌悪があるのではないか

 会見があった10日、指宿弁護士らはウィシュマさんの妹のワヨミさん、ポールニマさんとともに、ウィシュマさんの入管での生前の様子が記録されたビデオ映像の後半を確認するために法務省を訪れた。代理人弁護士を立ち会わせるように繰り返し求めていたが、入管側はこの日も立ち会いを認めなかったため、映像の確認を取りやめたという。

 収容者の措置や仮放免も入管の裁量なら、記録の開示も、映像確認にあたっての立ち会いも入管側の裁量…。入管内で人命が失われたことの真相解明を求めているのに、入管側のルールに則ってそれを行えと言われている状況だ。

 さらに、指宿弁護士は会見で何度か、「ゼノフォビア(外国人嫌悪)」という言葉を口にした。

 簡単にいえば、マスコミ側のこの問題に対する勝手な思い込みや偏見を突いたのだ。例えば、「外国人の問題は読者からの反発が強いから…」とか、「外国人に関する問題は慎重にやらないといけないから、強く書けない」などというような考えが根底にあるのではないかということだ。マスコミだけではなく、現在の入管の問題点の背景にもゼノフォビアがあるとも指摘した。


[ 民音がめざすもの ]

2021年10月06日 12時17分34秒 | 社会・文化・政治・経済

わたしたちは、音楽芸術を享受する喜びと感動を、より多くの人々と分かちあうために、
民衆を主体とした多角的な音楽文化運動を目指しています。

わたしたちは、各地域における音楽文化の更なる活性化や、
青少年の情操を豊かにする音楽活動等のさまざまな運動を通して、
新しい時代における音楽芸術の興隆に寄与したいと願っています。

わたしたちは、国家・民族・言語等の文化の相違を超えて、
グローバルな音楽文化の交流を推進し、
各国間における相互理解と友情を深めていくことを望んでいます。

ごあいさつ
真実の世界平和の基盤となるのは、民族や国家、イデオロギーを超えた、人間と人間の交流による相互理解です。そのために必要なのは、芸術、文化の交流ではないだろうか――。

この構想のもと、創立者池田大作先生の提唱により、1963年10月18日、民主音楽協会(以下、民音)は、音楽などの芸術の交流を推進する音楽文化団体として設立いたしました。

以来、半世紀にわたり、演奏会事業はじめ、音楽博物館事業、音楽普及事業を幅広く展開し、日本各地に古今東西の音楽、芸術に触れる「文化の広場」を創出してまいりました。

とりわけ、世界の優れた音楽芸術を紹介する海外との文化交流を地道に積み重ねて、これまでに100を超える国・地域を結びゆく「平和」と「友好」のネットワークを広げることができました。

これもひとえに、民音の賛助会員ならびに推進委員の皆さまをはじめ、民音を支えてくださる多くの方々のご支援とご協力の賜物と、深く感謝を申し上げる次第です。

これからも、音楽芸術で"世界"を結び、"地域"を結び、"世代"を結び、友好の輪を広げながら、音楽を「平和の力」に、感動を「生きる力」に、希望あふれる人間文化の交流の場を提供してまいります。

代表理事 伊藤一人


民音は第19回東京国際音楽コンクール〈指揮〉本選

2021年10月06日 12時02分51秒 | 社会・文化・政治・経済

第19回東京国際音楽コンクール〈指揮〉入賞者

 第1位:Jos? SOARES / ジョゼ・ソアーレス (ブラジル)

 第2位 :Samy RACHID / サミー・ラシッド (フランス)

 第3位 :Bertie BAIGENT / バーティー・ベイジェント (イギリス)

 入選・奨励賞:Satoshi YONEDA / 米田 覚士 (日本)

 特別賞・齋藤秀雄賞:Bertie BAIGENT / バーティー・ベイジェント (イギリス)

 聴衆賞:Jos? SOARES / ジョゼ・ソアーレス (ブラジル)

 オーケストラ賞(新設):Bertie BAIGENT / バーティー・ベイジェント (イギリス)

 本選のライブ映像は、アーカイブ配信として以下の通りご視聴いただくことができます。

 【本選ライブ 無料配信】※事前申込みが必要です。

 10月3日(日) 13:00 配信開始

 視聴のお申し込みは 、 以下のサイトへ アクセスしてください 。

 https://www.kipz.fun/mall/event/1223

 公式サイト:https://www.conductingtokyo.org/

 Twitter:https://twitter.com/conductingtokyo/

 Facebook:https://www.facebook.com/ConductingCompetition/

 東京国際音楽コンクール<指揮> : https://www.conductingtokyo.org/

 画像 : https://newscast.jp/attachments/Jw4p6dHEzgT9GDuITD3Q.png

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