大川原化工機えん罪事件 警視庁が検証結果公表へ 幹部ら処分も
NHK
横浜市の「大川原化工機」の社長など3人が逮捕され、その後、無実が明らかになったえん罪事件で、警視庁が、公安部の当時の幹部らが捜査指揮の責任を果たしていなかったなどとする内容の検証結果を近く、公表する方向で調整していることが関係者への取材で分かりました。警察当局は退職者を含む歴代の幹部らを処分、または処分相当とする方針です。
横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長など幹部3人は5年前、軍事転用が可能な機械を不正に輸出したとして逮捕・起訴されましたが、その後、起訴が取り消され無実が明らかになりました。
社長などは「違法な捜査で苦痛を受けた」として訴えを起こし、東京高等裁判所はことし5月、警視庁公安部と東京地検の捜査の違法性を認めて都と国にあわせて1億6600万円余りの賠償を命じ、この判決が確定しました。
これを受けて、警視庁は副総監をトップとする検証チームを立ち上げ、一連の捜査の問題点について検証を進めていますが、その結果を近く公表する方向で調整していることが関係者への取材で分かりました。
検証報告書は、公安部長ら幹部への捜査状況の報告が形骸化し、幹部らが捜査指揮の責任を果たしていなかったなどとする内容になるということです。
検証の結果を踏まえて、警察当局は退職者を含む歴代の幹部らを処分、または処分相当とする方針です。
また、警視庁は再発防止に向けて、重要事件については公安部長が取りしきる捜査会議を導入するほか、公安総務課に捜査の監督・指導を行う部署を新たに設けるといった対策を打ち出す方針だということです。
関係者によりますと、警察庁も不正輸出事件の一部について取り調べの録音・録画を実施するなどの対策を取るよう、全国の警察に指示することにしています。
このえん罪事件については、最高検察庁も東京地検の当時の捜査について検証を進めていて、近く結果を取りまとめ公表するものとみられます。