アキラ君ちに遊びに行って、借りていたファミコンのカセットを返した。
「あれ?ロックマンは?」
しまった。ロックマン、差しっぱなしにしてた。
「いいよ今度で。そのかわり、桃鉄貸しといて」
アキラ君はやさしい。アキラ君は五つ年上で中学生で、その頃のボクにはオトナっぽく見えたしオトナだと思ってた。
アキラ君の本棚には女の子がちょっとエッチなコミックがあって、アキラ君がいない時に盗み見したっけ。
あの時の心臓のバクバク!息がつまってしまいそうな興奮!
桜が満開の頃だった。母さんに連れられて初めてアキラ君ちに来たのは。
人見知りで目を伏せたままのボクに、アキラ君は黙ってコントローラーを渡した。
そうしてボクたちは一言も話さないまま友だちになった。
以来、毎週末のようにアキラ君ちに遊びに来てゲームしたり漫画読んだり。
アキラ君の部屋に寝そべってジャンプを読ませてもらっていると、隣でマガジンを読んでたアキラ君がボソッと言った。
「父さんとヒロ君の母さん、結婚するのかなぁ」
ボクはジャンプを投げ出して身体を起こした。結婚?母さんとアキラ君のお父さんが?
ボクのあまりの驚きようにアキラ君が慌てた。
「イヤごめん。なんとなくそう思っただけだから」
結婚・・・そうなんだ。そういうことだったんだ。
ボクの父さんはボクが小さい頃に病気で死んでしまったし、アキラ君の母さんはずいぶん昔に出てってしまったとか。
母さんとアキラ君の父さんならお似合いだし、そういえば母さん、悲しい顔でいることが少なくなったし、キレイになった。
そうか。そういうことだったんだ。でもそれならそうと、ちゃんと相談してくれたらいいのに。
「ヒロ君、ホントごめん。忘れて」
アキラ君が気まずそうにボクの顔色をうかがった。
その様子があまりにもオトナが困ってるときみたいで、むしょうに可笑しくなってボクは笑った。
アキラ君のお父さんがお父さんで、アキラ君がお兄さん?いきなり家族?そんなのぜんぜん実感がわかない。
アキラ君の持っているファミコン全部、いつでもできるようになる・・・
エッチなコミックをいつでもこっそり見ることができる・・・
そう思うとなんだかワクワクした。
そのとき以来、ボクの中で心の準備はできていた。
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そういう小さいことで気持ちが動くんですよね。
私子供のころ、いつもお菓子くれるおばさんの家の子供になってもいい、って本気で思ってました(笑)
だって、家の前がお菓子屋さんだったから。
あ、それと銭湯に行きたかった。
お母さんは家のお風呂に入りなさいって。
私は銭湯に行くお金もないほど家は貧乏なんだっておもってました。
大人より残酷な時があります。
ボクもできるだけ子供心(小5の夏休み程度)の子供の気持ちで今まで生きてきている感は、あるんです。
そりゃあ、子供のころよりリアルスケベになってますけど。。。
大人二人は何してたんでしょうね。
こらー!
ボクの隣の家の子は、スパイ手帳やら大回転ロボやら発売されるとすぐ買ってもらってました。
真剣に隣の家の子になりたかったなぁ(笑)
銭湯って憧れでしたねぇ。
風呂釜が壊れて、銭湯に通っていた間ってワクワクしました。
でも、同じクラスの女の子がお父さんに連れられて入ってきたときにはお互い気まずかったなぁ~
日活ポルノのポスターを盗み見たり、
散髪屋でドッキリ仮面をこっそり見たり、
ああいう時のエロい心臓バクバクは、もう味わえないなぁ。
昔、ホテルの新聞広告にご休憩、商談って書いてありました。あの手の商談ではないでしょうか(商)