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脊髄

2008-12-28 20:21:10 | 解剖生理学(脳神経系)
脊髄は、脊椎動物のもつ神経幹。脊椎の脊髄腔の中を通り、全身に枝を出す。脳と脊髄を合わせて、中枢神経と呼ぶ。脊椎の中を通って脳につづき延髄とともに中枢神経系を構成する長い器官である。

構造
ヒトの脊髄は、延髄の尾側に始まり、第一腰椎と第二腰椎の間の高位で脊髄円錐となって終わり、終糸と呼ばれるひも状の繊維につながっている。

脊髄から直接出ている神経は神経根と呼ばれ、神経根が脊髄腔から出る高位によって、頸髄、胸髄、腰髄、仙髄、尾髄に分けられる。ただし人間では、尾髄は退化的である。脊髄は脊椎より短いため、脊髄の高位と脊椎のそれとは一致しておらず、脊髄の末端より下位の脊髄腔には神経根のみが伸びており、馬尾と呼ばれる。


脊髄の断面
脊髄の断面は、縦走する神経細胞で構成される白質が、神経核(神経細胞体の集まり)である灰白質を囲む構造となっている。これは脳における白質、灰白質の関係と逆転する。中央には第4脳室の続きである中心管がみられ、脳脊髄液で満たされる。灰白質部分は、(図6下側より)前角、側角、後角に分かれ、脳から降りてきた運動に関わる神経は脊髄前角で運動ニューロンにシナプスを作って連絡する。この連絡箇所は上肢・下肢に向かうニューロンが出る際に多くなり、頚部には頚膨大、腰部には腰膨大の膨らみとして肉眼でも観察できる。

灰白質は、存在する神経細胞の性質によって分類される。前角には遠心性神経の細胞体があり、脳から降りてきた運動に関わる神経は脊髄前角で下位運動ニューロンにシナプスを作って連絡する。後角には末梢から入る求心性神経とシナプスを形成する神経細胞体がある。また腰髄・胸髄だけに側角があり、ここには交感神経の神経細胞体がある。灰白質はさらに組織学的に幾つかの部分に分類される。さまざまな分類方法があるが、最も広く用いられているのは、スウェーデンのレクセド (Bror Rexed) による層分類である。彼はネコの脊髄を使って灰白質をⅠからⅩまでの10層に分類した[1][2][3]。

白質は大きく前索、側索、後索に分けられるが、前索には上行路として前脊髄視床路、下行路として内側縦束、前皮質脊髄路、視蓋脊髄路、橋網様体脊髄路、前庭脊髄路、延髄網様体脊髄路がある。側索には上行路として脊髄視蓋路、脊髄オリーブ路、外側脊髄視床路、前脊髄小脳路、後脊髄小脳路が、下行路として赤核脊髄路、外側皮質脊髄路がある。後索には上行路として薄束、楔状束が、下行路として半円束、中間縁束がある。また、前索、側索、後索のいずれの部分でも、灰白質と接した部位は脊髄内の上下の連絡を行う神経線維の通る部分で、ここを固有束という。(主な伝導路については後述する)

脊髄は髄膜と呼ばれる三層の膜に包まれており、外側から硬膜(脊髄硬膜)、クモ膜(脊髄クモ膜)、軟膜(脊髄軟膜)と呼ぶ。すべての髄膜は大脳半球および脳幹を包むそれぞれの膜と一体になっている。脳と同様、クモ膜下腔には脳脊髄液が存在する。神経根の間の軟膜の外側は歯状靱帯となって硬膜に付着し、脊髄を固定している。硬膜は第二仙髄の高位で閉じている。


脊髄の分節
ヒトの脊髄は30の分節に分かれており(これを髄節と呼ぶ)、それぞれの髄節の左右の腹側から運動神経根が、背側から感覚神経根が末梢に出ている。腹側神経根と背側神経根はやがて合わさって脊髄神経となる。

30対の脊髄髄節はヒトでは以下に分類される。
・7対の頸髄(第一頸神経は後頭骨と第一頸椎(環椎)の間から、第二頸神経以下はそれぞれ一つ上の高位の頸椎の下(椎間孔)から出る)
・12対の胸髄(第一~第十二胸神経は、それぞれ第一胸椎~第十二胸椎の下から出る)
・5対の腰髄(第一~第五腰神経は、それぞれ第一腰椎~第五腰椎の下から出る)
・5対の仙髄(第一~第五仙骨神経は、それぞれ第一仙椎~第五仙椎の下から出る)
・1対の尾髄(尾骨神経は尾椎から出る)
ただし、第一頸髄と尾髄では、背側神経根はなく運動神経根だけが出る。
脊椎は脊髄に比べて成長が早く、最終的に長くなるため、成人では下位の脊髄髄節になるほど、対応する高位の脊椎骨に比べて高い位置にある。発生のはじめ(胎生3ヶ月まで)では脊椎と脊髄の高さは一致しているが、成人の脊髄の終わり(脊髄円錐)はだいたい第一腰椎と第二腰椎の間になる。腰仙髄は第九胸椎から第二腰椎の間にあり、例えば第四仙髄の神経根は胸腰椎移行部のあたりで脊髄から出て脊柱管内を下行し、第四仙椎の下から出る。脊髄円錐より下は馬尾と呼ばれる。

脊髄の径は、次の二つの部位で大きくなっている。
・頸膨大 - 大体腕神経叢を構成する神経が出る髄節に一致し、上肢を支配する。第四頸髄から第一胸髄であり、椎骨の高さもほぼ一致している。
・腰膨大 - 腰仙骨神経叢(腰神経叢、仙骨神経叢)を構成する神経が出る髄節に一致し、第二腰髄から第三仙髄にあたる。脊椎高位は第九から第十二胸椎の高さである。



腰椎


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