カウンセラーのコラム

山梨県甲府市でカウンセリングルームを開業している心理カウンセラーの雑文です。

サポーター

2010年06月25日 | 日記 ・ 雑文
表題の“サポーター”とは、サッカーチームを熱烈に応援する人たちのことを指す。日本代表がワールドカップで一次リーグを突破したので、「我が家にもすばらしいサポーターが1名存在する」ということを紹介したいと思う。そのサポーターとは息子(6歳)だ。今日も起こしたわけでもないのに朝5時に目を覚まし(たぶん、隣の部屋のテレビの音がうるさかったのだろう)、試合終了までの残り30分を一緒に観戦した。

息子は週1回、近所のサッカースクールに通っている。通わせているのは母親だが、かなり熱心に取り組んでいるようだ。練習後、毎回集まった子どもたちで2チームに分かれてミニゲームを行なうのだが、帰宅した際に今日は勝ったか負けたかが一目でわかる。勝った日は上機嫌だが、負けた日は不機嫌になり、手が付けられない状態になるからだ(苦笑)。
ある日のミニゲームで負けた息子は、試合終了後、悔しさのあまりワンワン泣きじゃくったという。それを見たコーチが「今は同年代の他の子より下手でも、こういう子のほうが将来はずっと伸びますよ」と母親に伝えたらしい。そんなわけで、ここのコーチ(元ジェフ千葉の関係者らしい)に息子はずいぶん気に入られているようだ。こういった理解ある指導者に巡り合えたことが、息子にとっては何よりも幸運だったと思う。

いつ頃のことだったか、日本代表が韓国代表にボロ負けしたことがあった(ワールドカップ直前に0-2で負けたが、その数ヵ月前に行なわれた韓国戦のこと。スコアは忘れた)。この試合を息子とともに家族三人で観戦したのだが、試合終了と同時に何を思ったのか、息子がテレビの電源ボタンをパチリと切った。「何をするんだ!」。私はとっさに怒って電源を入れ直した。息子の顔を見ると目から大粒の涙があふれていた。この試合結果を見るのは耐え難かったらしく、その後は隣の部屋の布団に伏せたまましばらく泣き続けていた。その姿を見て、私はなんとも言えない複雑な切ない気持ちになった。私はこのとき、初めて「日本代表が負けると悔しさのあまり涙する人間の存在」を知ったのだった。
その後は、なるべく息子の前で日本代表の試合を見ないように心がけた。観戦したいときは別の部屋の小さなテレビで我慢した。理由は言うまでもなく「日本が勝つ可能性は低いだろう」と予想していたからだ。そしてこの工夫は功を奏した。したがって息子はワールドカップ直前の4連敗を知らない。

日本は一次リーグを突破して“歴史的な偉業”を達成した(フランスもイタリアも敗退したのだから)が、それを陰で支えているのはサポーターの存在であることを忘れてはなるまい。選手や監督やスタッフたちに「日本が負けると本気で涙を流す人たちがたくさんいるんですよ。息子もその一人なんですよ」と伝えたいと思うのが、せめてもの親心である。

ところで冒頭の場面の続きだが、我が家で日本の勝利に歓喜したのは大人二人だけで、息子のほうは結果に対する特別な反応を示すことなく、まるで「当然のことですよ」とでも言いたげな淡々とした表情だった。内心で「次の試合があるんだから、喜んでばかりじゃダメだよ」とでも思っていたのだろうか?
たぶん、息子は日本代表の実力を知らないので「勝つのが当たり前だ」と思っているのだろう。仮にそうだったとしても“大喜びしない”という態度を示すのは、ひょっとしてひょっとするとある意味で筋金入りのサポーターかもしれない……という気がする。

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