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がんばれ受験生!夏の補習を担当して

2008-08-08 16:37:00 | 徒然なるままに
3年生の職員ということで、夏休み、補習を担当することになった。
英語と数学について、さかのぼり学習をするのだが、これがまた結構大変だ。
なるべく事前に自分でも解いてみようと思って、課題のプリントに取り掛かってみたものの、中学生の内容とは言いながら、かなりの部分忘れていて、知識も理解も相当にあやふやだ。
自分でも愕然とする。
ただ、卒業以来使っていなかった知識だとしても、もう一度基礎からやり直してみれば、少しずつ思い出してきて、解けた時は素直にうれしかった。

補習のプログラムとしては、過去の入試問題のプリントをやるのだが、生徒によっては、中1の内容までさかのぼる場合もある。
数学も英語も積み重ねの教科だから、いい加減であやふやな状態で放っておいておいたら、ますます授業は分からなくなってしまう。
まずは、何が分かっていて、何が理解できていないか、いつもどういう間違いをしてしまうのかを自己分析する。
最初から100点ねらいは無理なので確実に点を獲得できる単元を強化し、苦手な単元は余裕があったら挑戦してみる。という作戦で展開していった。

正直なところ、自分で勉強していた時より、その生徒がどこで間違えたかを確認しながら教えていくと、自分自身の理解度の再確認にもなり、その生徒が間違いに気づいて、正解を導き出せた時は、私自身もうれしい。
今日は、多角形の内角の大きさの出し方がわからなかった生徒に指導後、その生徒に、ほかの生徒に同じ内容を説明させたところ、途中まではOKだったが、そのあとで躓き、自分で再確認していた。ついに解説を終え、教えられていた生徒も理解できた時、二人とも本当にうれしそうだった。その発展として、ほかの正多角形の内角の大きさを求めさせたところ、スラスラと説きだした。
これで、多角形の問題に対しては抵抗感がなくなった。
次は内角の和の出し方など、次々に発展せて行き、図形の角度の問題について興味や理解が深まれば、もっと数学が楽しくなる。
何よりも、人に教えることによって、自分自身の理解も深まり、知識が定着し、自分の説明で友達ができるようになったことで、自信もつくだろう。

夏の講習を終えて、単にプリントをこなすだけでなく、同じ苦手な者同士でも、互いに学びあうことも大切なことだと、生徒から教えられた。
○○君は何番までプリント終わったというような競争ではなく、出来るところを確実に定着させて、自信をつけさせる。そこから発展させ、関連付けながら理解を深め、出来る事を増やしていく。
そういう勉強が本来の補習なのではないだろうか。

英語に関しては、わからない、あやふやな単語は必ず辞書を引かせ、発音記号の読み方、反対語、複数形、過去形など、ひとつの単語のスペル確認にとどまらず、必ず、意味や慣用句まで調べ、10回は練習して、最後に単語テストをし、間違えたらもう10回練習する。そうやって覚えた単語はそうそう忘れない。
苦手と思っていたけれど、読めて、書けて、意味が分かる単語が増えていくと、英語が少しは楽しくなるかな。

私のやり方はまどろっこしいのかもしれない。専門は美術だし、教科には教科特有の学習法があるのだろう。
でも、3時間を終えた後、「今日はこれだけはしっかり覚えた」「この単元だったら、同じような問題が出たら、必ず正解できる」という満足感と自信を持って帰ってほしいと思う。
がんばれ受験生!*(鉛筆)**(笑顔)*

『崖の上のポニョ』と宮崎監督の言葉に励まされて

2008-08-08 07:12:00 | 徒然なるままに
8月8日

昨日で13歳になった末娘は、奥秩父に今日から2泊3日のキャンプに出かけた。

大学2年の長男は、夏のコンサートやイベント関係の舞台・会場作りのアルバイトと合宿で大忙し。
高校3年の長女は、進路そっちのけでバイト三昧。
末娘は、部活動にキャンプに予定がびっしり。
私は、部活動、補習、研修、出張、作業日(大掃除)となんだか毎日忙しい。
なかなかみんなでどこかに行くという予定もお金もない夏休み。

そんな中で、ささやかだが、母子でカラオケに行ったり、ジブリアニメの『崖の上のポニョ』を見に行ったりした。

『崖の上のポニョ』は、大学2年の息子曰く『久しぶりに楽しめたジブリアニメ』だそうだ。もう一回見たいとも言っていた。先日、NHKの宮崎駿監督の特集を見た。今の時代、あえてアナログの手描きにこだわったアニメ作りと、一つ一つのエピソードや、色使い、キャラクターの性格や表情、動きなど、一コマ一コマ妥協を許さず、大切に作り上げている姿勢に心打たれた。

私もかつて、アニメの仕事に携わったことがあるが、自分としては、いつも不完全燃焼で、矛盾を抱えながら仕事をしていたように思う。そう、『作品』ではなく、『商品』を描いていたのだ。描けば描くほど上手にはなるが、アニメ作りへの理想・夢、情熱のようなものが磨り減っていくような気持ちだった。
時間と予算に縛られて、それに見合った仕事をする。
3万円なら3万円の仕事。5万円なら5万円に見合うだけの仕事。
まだ駆け出しの背景マンには、作品ごとに絵柄を書き分けるのが精一杯で、描く力や品質を調整するなんてことはできなかった。
『腕に貯金する』つもりで、描き上げた『商品』には愛着を持たないようにし、(撮影後は焼却処分され、手元には戻ってこないのだから)とにかく背景を描くマシンになってがんばっていた。
テクニックは付いたが、絵を描くことが楽しくなかった。

そんな私が、結婚してアニメをやめ、子どもが生まれていっしょにお絵かきをするようになり、長男の入園と同時にはじめた人形劇に出会って、本当に絵を描く喜びと楽しさ、面白さを知った。自分が描いた絵や作った人形、脚本、演技で、こんなに喜んでくれる子ども達。いい物を作るために、みんなに喜んでもらえる舞台を作るために、誠心誠意、本気で取り組む仲間に出会って、本当に充実していた。このときに、『昔取った杵柄』や『腕に貯金』していたことが本当に役に立ったと思った。

そして今、中学校で美術を教えながら、その『昔取った杵柄』や『腕に貯金』していたことが授業に生きている。

宮崎駿監督は、「自分の作品が人を楽しませることにこそ自分の存在意義がある。」とおっしゃっていた。
『評価』や『講師の給料に見合うだけの仕事』という言葉にがんじがらめになっていた私を解放してくれる言葉だった。
私が教師という職業を選び、続けている理由。その原点に立ち返らせてくれる言葉だった。

お盆に帰省するが、ぜひ、故郷の両親といっしょに、もう一度『崖の上のポニョ』を見ようと思う。

薬師寺展、東山魁夷展、井上雄彦最後のマンガ展・・・

2008-08-08 00:15:00 | 徒然なるままに
今年は結構、美術展を見に行っている。

『薬師寺展』は、日光・月光像はもちろんだが、聖観音立像の凛々しさ、若々しさ、美しさに惹きこまれた。複製とはいえ、『水煙』の美しさ。思いの深さ。
日光・月光象の背中を見上げながら、たとえ普段は誰も見ることができないところにも、細心の注意を払い、完壁に仕上げているところに改めて感動した。魂をこめると言うことは、こういう仕事をすることだと感じ入った。

『井上雄彦最後のマンガ展』は、何度も会場に行っては入場できず(当日券)、ようやくナイトチケットを予約して見ることができた。それに合わせて『バガボンド』を読み、宮本武蔵についても少し下調べをして行った。
本当に素晴らしい、渾身の展覧会だった。無二斎に『後は何が望みだ』と問いかけられた場面の次の間では金縛り状態になり、その空間の少年の姿をした武蔵と対峙した時、涙が止まらず、ずっと武蔵の目を見て立ち尽くしてしまった。
最後の間の小次郎と砂浜に消えていく場面では、本当に波音が聞こえてきそうだった。
まさにあの会場で書き下ろしたと言う水墨画のような一枚一枚の絵を見て、井上雄彦氏は現代の絵師だと思った。
見る人の視点、視線を意識して描いたと言う登場人物達の目線は、本当に魂が宿っていて、こちらを見ているようだった。

『モジリアニ展』は、学生時代に見たときほどの感動はなかったが、なかなかよかったと思う。展示にもっと工夫がほしかった。

『東山魁夷展』は良かった。『道』は学生時代にも見ているが、年齢を重ねて、さらに伝わってくるものがある。北欧の絵も良いが、やはり、日本の四季を描いたものが素晴らしい。高校の現代国語で習った円山公園の夜桜と月の絵は絶品だ。鑑真が渡って来た海を描いた襖絵も、いつまでもその場に身を置いて、潮騒を聞いていたいような気持ちになった。

『コロー展』は、時間がないまま慌しく見てしまい、もったいなかった。でも、有名な「真珠の女」の実物を、穴のあくほど見ることができた。彼女の灰色の瞳は本当に魅惑的だ。私は昔からダヴィンチのモナリザより、こちらの方が好きだ。

『対決-巨匠たちの日本美術展』は、長谷川等伯の『松林図屏風』も俵屋宗達の『風神雷神図屏風』も見られず、がっかりだったが、迫力のある水墨画が見られて最高だった。
作品一枚、一作を人ごみにもめげず、3時間かけて舐めるように鑑賞してきた。
歌麿と写楽の浮世絵は、すごい!絵師、彫師、刷師の技を堪能した。応挙の弟子のトラの絵の迫力も良かった。
同じテーマや素材でも、それぞれの個性や、生き方が投影されて、とても興味深い展覧会だった。

『黄金の国ジパングとエル・ドラード展』は、はっきり言って期待はずれ。勉強になるところもあったが、企画倒れ。

明後日、佐倉市立美術館で開催中の『エッシャー展』を見に行く。先日、事前にエッシャーの生涯と作品を紹介したビデオを見て、とても興味深かった。開催中に2回ワークショップ・サポーターをやる。エッシャーの世界を体感する!