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『崖の上のポニョ』と宮崎監督の言葉に励まされて

2008-08-08 07:12:00 | 徒然なるままに
8月8日

昨日で13歳になった末娘は、奥秩父に今日から2泊3日のキャンプに出かけた。

大学2年の長男は、夏のコンサートやイベント関係の舞台・会場作りのアルバイトと合宿で大忙し。
高校3年の長女は、進路そっちのけでバイト三昧。
末娘は、部活動にキャンプに予定がびっしり。
私は、部活動、補習、研修、出張、作業日(大掃除)となんだか毎日忙しい。
なかなかみんなでどこかに行くという予定もお金もない夏休み。

そんな中で、ささやかだが、母子でカラオケに行ったり、ジブリアニメの『崖の上のポニョ』を見に行ったりした。

『崖の上のポニョ』は、大学2年の息子曰く『久しぶりに楽しめたジブリアニメ』だそうだ。もう一回見たいとも言っていた。先日、NHKの宮崎駿監督の特集を見た。今の時代、あえてアナログの手描きにこだわったアニメ作りと、一つ一つのエピソードや、色使い、キャラクターの性格や表情、動きなど、一コマ一コマ妥協を許さず、大切に作り上げている姿勢に心打たれた。

私もかつて、アニメの仕事に携わったことがあるが、自分としては、いつも不完全燃焼で、矛盾を抱えながら仕事をしていたように思う。そう、『作品』ではなく、『商品』を描いていたのだ。描けば描くほど上手にはなるが、アニメ作りへの理想・夢、情熱のようなものが磨り減っていくような気持ちだった。
時間と予算に縛られて、それに見合った仕事をする。
3万円なら3万円の仕事。5万円なら5万円に見合うだけの仕事。
まだ駆け出しの背景マンには、作品ごとに絵柄を書き分けるのが精一杯で、描く力や品質を調整するなんてことはできなかった。
『腕に貯金する』つもりで、描き上げた『商品』には愛着を持たないようにし、(撮影後は焼却処分され、手元には戻ってこないのだから)とにかく背景を描くマシンになってがんばっていた。
テクニックは付いたが、絵を描くことが楽しくなかった。

そんな私が、結婚してアニメをやめ、子どもが生まれていっしょにお絵かきをするようになり、長男の入園と同時にはじめた人形劇に出会って、本当に絵を描く喜びと楽しさ、面白さを知った。自分が描いた絵や作った人形、脚本、演技で、こんなに喜んでくれる子ども達。いい物を作るために、みんなに喜んでもらえる舞台を作るために、誠心誠意、本気で取り組む仲間に出会って、本当に充実していた。このときに、『昔取った杵柄』や『腕に貯金』していたことが本当に役に立ったと思った。

そして今、中学校で美術を教えながら、その『昔取った杵柄』や『腕に貯金』していたことが授業に生きている。

宮崎駿監督は、「自分の作品が人を楽しませることにこそ自分の存在意義がある。」とおっしゃっていた。
『評価』や『講師の給料に見合うだけの仕事』という言葉にがんじがらめになっていた私を解放してくれる言葉だった。
私が教師という職業を選び、続けている理由。その原点に立ち返らせてくれる言葉だった。

お盆に帰省するが、ぜひ、故郷の両親といっしょに、もう一度『崖の上のポニョ』を見ようと思う。

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