5月16日(土)
いよいよ代表選挙投票日。
午前8時半に会場となるホテルへと向かう。
岡田さんの立候補届けを参院の若手がやれということで、
私を含めて3人が行う。
午後、代表を決める両院議員総会が開会。
まずは、岡田・鳩山両陣営からそれぞれの応援演説を行う。
次に、政治評論家の福岡政行さんをコーディネーターとして、
2人の候補がディベートを行う。
2人とも自らの政治理念を明確に語り、
ともに政権交代を実現しようとの訴えは胸に響くものがあった。
ひいき目に見るせいか、
岡田さんの方が気合の入り方が強く感じたが、
米国の選挙のように相手の誹謗中傷を言う事もなく、
全体として明るく爽やかな舌戦だった。
その後、衆参国会議員1人ひとりが点呼され、投票。
結果はご承知の通り、
鳩山由紀夫124票、
岡田克也 95票
無効 1票となり、
鳩山さんが新代表に選出された。
結果が読み上げられた時、
正直いってびっくりした。
何とか接戦になると予測していたのが、
30票の大差がついたから。
様々な党内力学が働いた結果だろうが。
あまりそれを分析してみても仕方がない。
ただ、鳩山新代表には、
投票前の世論調査で岡田氏支持が圧倒的だったことを謙虚に受け止め、
今後の党運営や総選挙の陣頭指揮にあたってほしいと思う。
もちろん、私も微力ながら全力で支えていきたい。
鳩山新代表の言動を目を凝らしてみてきた。
そして一つの確信に近いものを感じた。それは何か。ずばり鳩山首相の誕生と
自公政権の終焉である。
メディアの報道振りは相変わらず偏向に満ちたものである。悔しくて仕方が
ないといわんばかりだ。そして何かと言えば、「鳩山民主党は小沢院政では
ないか」、という批判を繰り返す。
これに対して鳩山由紀夫新代表は実に見事に対応している。
それは小沢問題に対する受け答えの的確さだけではない。何かと言えば民主党
の政策を問うメディアの質問に対して、鳩山氏は明確に自民党の政策との対比を
浮き彫りにしている。
消費税は上げない、国民の所得増を優先する、官僚支配を打破する、地方分権
を進める、特別会計を廃止して天下り財源を国民のために使う、などなど。
それでいいのだ。わかりやすいほどいい。自民党との違いが明確なほどいい。
メディアも、もはや小沢批判だけ追及していてはもたない、むしろそのような
ことばかり言っていると、国民の批判はメディアに向けられてくる、そう感じ
始めたかのようだ。
そして17日午前10時から放映されたテレビ朝日の田原総一朗サンデー
プロジェクトである。
読者の皆さんの中にはこの番組をご覧になった方もおられるであろう。
この番組は、まさしく鳩山首相の誕生と自公政権の終焉を象徴するような
番組になってしまった。前代未聞の椿事が国民の前に繰り広げられた。
小沢批判を続けようと思っていた田原総一朗の思惑を裏切り、小沢批判に
偏向するメディアの異常さを追及する声が出演者から殺到した。
出演していた朝日新聞の星浩の顔がゆがみ、「なんだか民主党の応援番組の
ようになってしまった」、と田原が苦笑していた。
苦し紛れに、田原は、小沢一郎の政治資金疑惑問題を追求すべく、小池
日本共産党政策委員に助けを求めたほどだ。
その期待に見事にこたえるかのように、小池議員は小沢一郎の金権腐敗
を厳しく追及した。
自民党補助政党と揶揄される日本共産党の「正体見たり」が全国の国民の
前に示された瞬間である。日本共産党はもはや完全に田原総一朗のテレビ番組の
お友達になってしまった。
このような流れをつくったのは、選挙からわずか一日ほども経たない間に、
立て続けにメディアに露出して、的確な受け答えを続けた鳩山由紀夫
新代表である。
私は鳩山由紀夫を見直した。というより鳩山由紀夫は今度の騒動を通じて
大きく生まれ変わったのだ。小沢事件という試練が鳩山を鍛えたのだ。その試練を
見事に乗り切った鳩山由紀夫が、もはや追随を許さない日本を代表する政治家に
なったのだ。
岡田代表はもとより小沢代表を凌いだのだ。
願わくば、このまま鳩山代表には、慎重かつ大胆な対応を続けてもらいたい。
確実に政権を奪取してもらいたい。
左翼は鳩山代表の憲法9条改憲姿勢を危ぶむ声がある。しかし心配には
及ばない。鳩山由紀夫は改憲を言い出すことはない。
憲法9条問題は、それを守るか変えるかという踏み絵を突きつけることでは
ない。理念論争をする問題ではない。いま現実に改憲をするかしないかという
問題である。改憲の動きをしなければいいのだ。そして鳩山代表は改憲をする
ことはない。
田原総一朗のサンデープロジェクトに出演していた亀井静香がいみじくも
指摘していたように、政権交代は血みどろの戦いである。いよいよ下野が
本物になってきたこれからは、自公政権とメディア、検察、官僚は、あらゆる
手を使って死に物狂いで攻撃してくるだろう。
しかし、自公政権は、ふたたび同じ手は使えない。それをやると今度こそ
国民の反発を食らう。皮肉にも、小沢問題が今度は防波堤になるのだ。
今度は小沢一郎が身をもって鳩山を守るのだ。小沢にはその認識を持って
もらいたい。それこそが身を犠牲にして政権交代を実現するということだ。
一致結束して政権交代に当たると言う事だ。
誰も入り込めない小沢と鳩山の結束だ。そこにこれから三ヶ月の民主党の
すべてがかかっている。
自公政権は政策論争で勝負しなければならない。そして官僚に依存した
政策論争では、自公政権は民主党には勝てない。
鳩山首相の誕生、自公政権の終焉、と私が断じる理由がそこにある。
もはや私が政権交代を叫ぶ必要はなくなった。
鳩山民主党政権ができた暁には、今度は、私は鳩山民主党政権の政策を
厳しく監視していくことになる。