福島第1原発:ベント前 放射性物質が10キロ圏に拡散

2013-02-24 16:54:04 | 原発

東日本大震災による東京電力福島第1原発事故で、11年3月12日に1号機格納容器の水蒸気を外部に放出する「ベント」を始める約5時間前から、放射性物質が約10キロ圏に拡散していたことがわかった。福島県の放射線モニタリングポストに蓄積されていた観測データの解析で判明した。放射線量が通常の700倍超に達していた地点もあり、避難前の住民が高線量にさらされていた実態が初めて裏づけられた。

 県が原発周辺に設置していたモニタリングポストは25基。5基が津波で流され、20基は地震による電源喪失でデータ送信できず、事故当時、住民の避難に活用することはできなかった。県は昨年9月下旬までに20基の蓄積データを回収し解析。県のホームページに解析結果を掲載し、関係自治体に連絡した。しかし、ベント前に放射性物質が拡散していたことは周知されておらず、国会と政府の原発事故調査委員会も把握していなかった。

 最初のベントは3月12日午前10時17分に試みられ、4回目の同日午後2時半ごろに「成功した」とされる。しかし、観測データによると、主に双葉町の▽郡山地区▽山田地区▽上羽鳥地区▽新山地区−−の4地点でベント前に放射線量が上昇していた。震災前の線量は毎時0.04〜0.05マイクロシーベルトだったが、原発の北2.5キロの郡山地区では3月12日午前5時に0.48マイクロシーベルト、同6時に2.94マイクロシーベルトと上昇。さらにベント開始約1時間前の同9時には7.8マイクロシーベルトになった。西5.5キロの山田地区ではベント直前の同10時に32.47マイクロシーベルトと通常の約720倍を記録した。

 国の平時の被ばく許容線量は毎時に換算すると0.23マイクロシーベルトで、各地で瞬間的に上回ったことになる。数値の変動は風向きの変化によるとみられる。国会事故調の最終報告書などによると、1号機では11日夜から12日未明にかけて、全電源喪失を原因として炉心溶融(メルトダウン)が発生。圧力容器などが損傷し、放射性物質が外部に漏出したと推定されている。


ガガさんのカップ 県に寄贈 見届けるように翌朝逝く 古川の歯科医 弓さん

2013-02-22 17:51:53 | 宮城県

ガガさんのカップ 県に寄贈 見届けるように翌朝逝く 古川の弓さん
 東日本大震災の復興支援オークションで米人気歌手レディー・ガガさんがキスマークを付けたティーカップを落札した大崎市古川の歯科医、弓哲玖さん(54)が20日、宮城県庁にカップを寄贈した。寄贈を見届けるように、弓さんは21日午前7時49分、特発性肺線維症のため入院先の大崎市民病院で亡くなった。


福島第1原発事故 ベント前に放射性物質が10キロ圏に拡散

2013-02-22 09:58:04 | 原発

 東日本大震災による東京電力福島第1原発事故で、11年3月12日に1号機格納容器の水蒸気を外部に放出する「ベント」を始める約5時間前から、放射性物質が約10キロ圏に拡散していたことがわかった。福島県の放射線モニタリングポストに蓄積されていた観測データの解析で判明した。放射線量が通常の700倍超に達していた地点もあり、避難前の住民が高線量にさらされていた実態が初めて裏づけられた。

【発見されたデータは】福島第1原発ベント前 放射性物質の拡散 データは放置

 県が原発周辺に設置していたモニタリングポストは25基。5基が津波で流され、20基は地震による電源喪失でデータ送信できず、事故当時、住民の避難に活用することはできなかった。県は昨年9月下旬までに20基の蓄積データを回収し解析。県のホームページに解析結果を掲載し、関係自治体に連絡した。しかし、ベント前に放射性物質が拡散していたことは周知されておらず、国会と政府の原発事故調査委員会も把握していなかった。

 最初のベントは3月12日午前10時17分に試みられ、4回目の同日午後2時半ごろに「成功した」とされる。しかし、観測データによると、主に双葉町の▽郡山地区▽山田地区▽上羽鳥地区▽新山地区--の4地点でベント前に放射線量が上昇していた。震災前の線量は毎時0.04~0.05マイクロシーベルトだったが、原発の北2.5キロの郡山地区では3月12日午前5時に0.48マイクロシーベルト、同6時に2.94マイクロシーベルトと上昇。さらにベント開始約1時間前の同9時には7.8マイクロシーベルトになった。西5.5キロの山田地区ではベント直前の同10時に32.47マイクロシーベルトと通常の約720倍を記録した。

 国の平時の被ばく許容線量は毎時に換算すると0.23マイクロシーベルトで、各地で瞬間的に上回ったことになる。数値の変動は風向きの変化によるとみられる。国会事故調の最終報告書などによると、1号機では11日夜から12日未明にかけて、全電源喪失を原因として炉心溶融(メルトダウン)が発生。圧力容器などが損傷し、放射性物質が外部に漏出したと推定されている。

 当時、住民への避難指示は、県が11日午後8時50分に2キロ圏▽国が同9時23分に3キロ圏▽ベントを前提に国が12日午前5時44分に10キロ圏--に拡大。だが10キロ圏内の住民(約5万人)の多くが圏外へ避難を始めたのは12日午前8時ごろとされ、放射性物質が広範囲に拡散し始めたのは、4回目のベントとその後の同日午後3時36分の原子炉建屋の水素爆発によるものとみられていた。4回目のベントの約30分後には、原発の北西6キロの上羽鳥地区で線量が1591マイクロシーベルトに急上昇している。

 ベント前に観測された線量は、1時間浴びたとしても胸部X線検診1回分を下回る。放射線防護に詳しい野口邦和・日大歯学部准教授は「ただちに健康に影響する線量ではない」としながらも、「どのように放射性物質が拡散し、住民がどのくらいの線量を浴びたのかは検証されなければならない」と指摘した。【神保圭作、栗田慎一】

 ◇避難指示が出る前に放射性物質の拡散が始まる

 東京電力福島第1原発事故で、国の10キロ圏避難指示が出る前に放射性物質の拡散が始まっていたことが県の解析データで判明したが、当時、周辺で暮らしていた住民はその事実を知らず、避難もしていなかった。東日本大震災で福島第1原発周辺のモニタリングポストが電源を失い、機能不全に陥っていたためだ。これは住民放射線防護の根幹に関わる重大な問題だ。

 福島第1原発事故ではモニタリングポストのほか、事故対応に当たるオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)やSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)も活用できなかった。これらの事実は、従来の備えでは深刻な原発事故に対処できないことを示している。

 モニタリングに関しては、国の原子力規制委員会で事業者や自治体を交えた議論が進む。その会議に参加した福島県の担当者は積極的な発言はせず、司会者から促されて、事故時にモニタリングポストが使えなかったことなどを伝えるだけだった。

 だが、観測データを住民避難に生かせなかった失敗を福島県が重く受け止めているのであれば、モニタリングポストの電源や通信手段の多重化を図るよう、原発のある他の自治体に提言することもできるはずだ。

 「同じ事故を二度と起こしてはならない」と主張する福島県は、自らの事故対応を再検証し、国が新たに作る「原子力災害対策指針」策定の中心となり改善を求めていくべきだ。【神保圭作】

 ★放射線モニタリングポスト 空気中の放射性物質の濃度を自動観測する装置。全国の原発周辺地域に設置されている。1時間ごとの平均線量を監視施設などにリアルタイムでデータ送信し、避難指示などに活用する。電源喪失で送信できなくなっても、非常用バッテリーで観測データを機器内に蓄積し続けることができる。


湯けむり発電 国の支援事業に認定

2013-02-21 22:20:19 | 自然エネルギー

再生可能エネルギーへの関心が高まるなか、全国有数の温泉地を抱える大分県の中小企業のグループが開発した、温泉の蒸気と熱水を活用した「湯けむり発電」と呼ばれる新しい技術が、国が支援する事業に認定されました。

「湯けむり発電」は、温泉の井戸から噴き出す蒸気と熱水を使ってタービンを回し発電する仕組みです。
大分県の中小企業のグループが別府市で実験を重ねてきましたが、縦1メートル50センチ、横1メートルの小型の装置1つで、一般家庭、数世帯分に相当する電気を作ることに成功しました。
この湯けむり発電の技術は、今月、経済産業省が支援する事業に認定され、21日、装置の開発や設計を担う会社の林正基社長が県に報告に訪れました。
認定により、3000万円を上限に補助金が出るほか、低金利で融資を受けられるということです。
今後、改良を進め、最終的には装置1つで一般家庭およそ100世帯分の電力を賄えるまで発電量を増やせる見通しで、ことし4月以降に実用化し、九州電力に買い取ってもらうことになっています。
林社長は、「実用化に向けて大きな一歩となった。まずは全国一の温泉地、別府市で技術を確立させ、全国に湯けむり発電を広げていきたい」と話しました。
グループでは、別府市をはじめ、温泉地がある長崎県や熊本県などでも実用化を目指し、5年後までに全国40か所の温泉井戸に「湯けむり発電」の装置を設置したいとしています。
発電の仕組み
「湯けむり発電」は、まず温泉の熱水で1つのタービンを回し、さらに蒸気も使って2つ目のタービンを回転させます。
この2系統の回転の力で1つのモーターを回して電気を作ります。
熱水と蒸気に分け、効率よく温泉のエネルギーを活用することで、より大きな電力が生み出せるよう工夫されているということです。
背景事情と意義
「湯けむり発電」の強みは、これまでの地熱発電に比べてコストが格段に安く、環境への負担も少ないことです。
火山が多く地熱エネルギーが豊富な日本では、これまで地熱発電に期待する声が多くありました。
しかし、地熱発電で使う高温の蒸気は、地下1キロから3キロという、地中深くから取り出す必要があります。
この穴を掘るだけで数億円の費用がかかり、発電のための巨大な施設も必要になります。
また、火山があって地熱発電に使えるほどの高温の蒸気が得られる場所は、その多くが国立公園や国定公園にあり、思うように開発できません。
地下水や温泉資源に悪影響が出るのではないかという懸念もあって、これまでなかなか実用化が進んできませんでした。
これに対し、「湯けむり発電」は、熱水がすでに噴き出している温泉地の井戸をそのまま利用するため、新たに深く穴を掘る費用はかからず、3000万円から5000万円ほどのコストで、すぐ発電を始められるということです。
さらに、発電に使われた熱水は、そのまま温泉水としても利用できるうえ、比較的小さな装置を設置するだけで済むため、観光地の景観を損なうおそれも少ないということです。
国も支援に乗り出すなか、再生可能エネルギーの新たな可能性を広げることができるのか注目されています。


紙の太陽電池 製造コスト10万分の1  激安だね!

2013-02-18 16:05:51 | 自然エネルギー

紙の太陽電池 製造コスト10万分の1 阪大グループ開発


木材パルプを原料にした「紙の太陽電池」を、大阪大学産業科学研究所の能木(のぎ)雅也准教授(材料学)らのグループが開発したと明らかにした。太陽電池は小型、薄型化の研究が進むが、今回は材質上、環境に優しいことが特徴。製造コストも従来の10万分の1に抑えられるという。厚さ1ミリ以下で折りたたむことができ、災害時に被災地で使うなどの用途が考えられる。

 太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する部分(素子)と電気を運ぶ配線、これらを包み込む基板で構成される。基板は、素子に太陽光が届くように、透明なガラスやプラスチックを使うことが多い。

 今回、グループは、木材パルプの繊維を厚さ15ナノメートル(ナノは10億分の1)と超極細にし透明にすることに成功。これを基板に使った。素子には一般的に使われるシリコンなどではなく薄い膜状になる有機物を、配線には細い銀のワイヤを用いた。

 その結果、電気の変換効率は3%と、家庭の屋根に取り付ける一般的な太陽光発電パネルの10~20%よりも低いものの、今回と同じ素子を使ったガラス基板の太陽電池と比べると同程度。今回、試作したのは縦2センチ、横5ミリ。実用化した際の製造コストは、ガラス基板の約10万分の1、プラスチックの500分の1~5000分の1。製造方法も、加熱して配線を基板に付ける方法から、圧力を加える方法に改め、消費エネルギーを少なくし、環境に優しくした。数年後の実用化を目指している。【