中国も年金の危機が 高齢化で「時限爆弾」

2012-07-14 19:38:45 | 政治

[香港 9日 ロイターBreakingviews] 経済成長の続く中国では現在、世界の先進国が直面する「高齢化」の問題も同時進行している。国連の推計によれば、中国の60歳以上の人口は、2010年からの40年間で2倍以上に増え、2050年には4億3800万人に達する。
 
高齢化で中国の国際競争力は今よりも弱まり、国内の社会問題もより複雑化するだろう。中国国務院(内閣に相当)は年金基金の積み立て不足解決の1つの方策として、定年退職年齢の引き上げを検討している。国民受けは悪い政策だが、それ以外に選択の余地はほとんどないだろう。
 
中国の年金水準は決して高い訳ではないが、それでも所得との比較ではかなり手厚いと言える。当局の統計によると、北京で暮らす年金生活者の1カ月の平均受給額は360ドルで、平均的労働者の月収の半分に相当する。
 
年金基金には、企業が従業員の給与の20%、従業員本人が給与の8%を積み立てるよう定められている。一般的な定年退職年齢は男性60歳、女性50歳となっており、これは就業年数より長い期間にわたって年金を受給するケースもあることを意味する。
 
こうしたことを踏まえれば驚くには値しないが、中国の年金制度は危機に直面している。中国人民銀行の調査によれば、純現在価値で試算した年金の積み立て不足額は、向こう70年で3兆ドルに達するという。米国の社会保障年金の積み立て不足などに比べれば額はまだ小さいものの、中国がまだ若く、米国ほど豊かでないことを考えれば、問題は深刻だ。
 
高齢化には別の問題もある。現在は現役世代(15─59歳)5人で1人の高齢者(60歳以上)を支える構図となっているが、2040年までには、現役世代2人で1人を支えるようになるとみられる。1970年代後半に導入された「一人っ子政策」と平均寿命の伸びにより、中国の人口ピラミッドには歪みが生じている。
 
こうした人口問題の「時限爆弾」が爆発するのを防ぐための選択肢は、西側諸国で検討されている政策とそう異なるものではない。定年退職年齢の引き上げもその1つであり、そしてこの考えに対しては、フランスなど他の国と同様に国民からの反発は強い。重慶の新聞が行った調査では、定年退職年齢の引き上げには9割以上が反対している。男性と女性の定年退職年齢を同じにし、早期退職者の年金受給額を減らすのも年金危機解決の選択肢だ



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