今月から食品に含まれる放射性セシウムの基準が厳しくなり、県内21市町で原木生シイタケ(露地栽培)が出荷停止に追い込まれた。生産者は先行きが見えない不安を募らせている。
県内最大産地の大田原市。県の検査で原木シイタケから新基準(1キロあたり100ベクレル)を超える170~390ベクレルが検出され、露地、施設栽培ともに出荷停止になった。
「このままなら廃業も考えないといけない」と同市佐久山の菊池淳さん(52)は不安を募らせる。
3万2千本以上の原木を育て、春と秋の収穫期で収入の大半を稼いでいた。今は東京電力からの補償金をもらうため、出荷できなくても、山中に並べた原木からシイタケを収穫している。
それらを、はかりの上にのせて写真で記録して申請しないといけない。菊池さんは「廃棄するために育てているようなもの。悲しい」と肩を落とす。
昨冬に出荷停止になった干しシイタケでも2月に補償金を申請したが、いまだに支給されていない。「まずは早く補償金を出してほしい。日々の生活もできないし、原木を買う資金もなくなる」と訴える。
原木の調達も課題だ。林野庁が4月から原木の放射性セシウムの指標値を「150ベクレル」から「50ベクレル」に厳しくしたため、県内や周辺県の原木はほぼ使えなくなり、調達も難しくなった。
菊池さんは今春、福島から調達していた原木を宮城県産に切り替えることができたが、「この原木のシイタケも基準に引っかかれば、もう続けられない。毎日が気が気じゃない」と話す。安全な原木をこの先も調達できるか見えない不安もある。
同地区で約40年間、栽培してきた滝田稔さん(64)も「良い物を出荷して、食べてもらって、お金がもらえる。それが農業の喜びなのに、これじゃ原木栽培する人がいなくなる」。
一方、施設内で育てる菌床栽培のシイタケは、県内いずれの市町も基準を大きく下回るか、不検出だ。
県の生シイタケの生産量(2010年)は約4146トンと全国5位。うち原木が約1308トン、菌床が約2837トンと、菌床の方がシェアは大きい。
県の担当者は「県内産はすべて基準を上回っていると思われ、菌床農家の方からも販売量が減っているという声も出ている」と風評被害を気にかける。
県は原木の調達を支援するため、他県での調達先を探している。福田富一知事は今月10日の会見で「農家は瀬戸際に立っている。安全な原木を調達することと併せて、違う作物に転換する場合には丁寧な対応をしていきたい」と語っている。(毛利光輝)
県内最大産地の大田原市。県の検査で原木シイタケから新基準(1キロあたり100ベクレル)を超える170~390ベクレルが検出され、露地、施設栽培ともに出荷停止になった。
「このままなら廃業も考えないといけない」と同市佐久山の菊池淳さん(52)は不安を募らせる。
3万2千本以上の原木を育て、春と秋の収穫期で収入の大半を稼いでいた。今は東京電力からの補償金をもらうため、出荷できなくても、山中に並べた原木からシイタケを収穫している。
それらを、はかりの上にのせて写真で記録して申請しないといけない。菊池さんは「廃棄するために育てているようなもの。悲しい」と肩を落とす。
昨冬に出荷停止になった干しシイタケでも2月に補償金を申請したが、いまだに支給されていない。「まずは早く補償金を出してほしい。日々の生活もできないし、原木を買う資金もなくなる」と訴える。
原木の調達も課題だ。林野庁が4月から原木の放射性セシウムの指標値を「150ベクレル」から「50ベクレル」に厳しくしたため、県内や周辺県の原木はほぼ使えなくなり、調達も難しくなった。
菊池さんは今春、福島から調達していた原木を宮城県産に切り替えることができたが、「この原木のシイタケも基準に引っかかれば、もう続けられない。毎日が気が気じゃない」と話す。安全な原木をこの先も調達できるか見えない不安もある。
同地区で約40年間、栽培してきた滝田稔さん(64)も「良い物を出荷して、食べてもらって、お金がもらえる。それが農業の喜びなのに、これじゃ原木栽培する人がいなくなる」。
一方、施設内で育てる菌床栽培のシイタケは、県内いずれの市町も基準を大きく下回るか、不検出だ。
県の生シイタケの生産量(2010年)は約4146トンと全国5位。うち原木が約1308トン、菌床が約2837トンと、菌床の方がシェアは大きい。
県の担当者は「県内産はすべて基準を上回っていると思われ、菌床農家の方からも販売量が減っているという声も出ている」と風評被害を気にかける。
県は原木の調達を支援するため、他県での調達先を探している。福田富一知事は今月10日の会見で「農家は瀬戸際に立っている。安全な原木を調達することと併せて、違う作物に転換する場合には丁寧な対応をしていきたい」と語っている。(毛利光輝)
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