地中熱で冷暖房費節約 福島発再生エネ

2013-01-02 22:29:00 | 自然エネルギー

地中熱で冷暖房費節約 福島発再生エネ
 

郡山市の日大工学部と産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)は復興住宅での共同利用に向けて地中熱利用システムの研究に乗り出した。26日から始まった実証実験では、同学部敷地の地下約40メートルまで埋め込んだパイプに熱を伝える媒体を循環させた。教室の冷暖房に使う。地中熱は温度が大気より安定しており、消費電力の節約につながる。“福島発”の再生可能エネルギーとして復興住宅への導入を目指す。
 地中熱を利用した住宅暖房のイメージは【図】の通り。埋め込んだ2本のパイプの中に熱を伝える媒体の不凍液を循環させる。不凍液が運んできた地中熱を地上に設置したヒートポンプで取り出し、集合住宅を想定した広さ55平方メートルの空き教室2室の冷暖房に活用した。


 ヒートポンプ内には低沸点の冷媒(代替フロンなど)が熱の移動媒体として循環している。
 同工学部によると、地下40メートルの温度は約15度で安定している。実験の一例では、40メートルの穴2本から約4千ワットの熱量が採取でき、1平方メートルを20度温めるのに必要な熱量を50ワットとして計算すると、2本の穴から採取した地中熱で約80平方メートル分の暖房を賄える計算。来春までにさらに深さ40メートルの穴2本を掘ってパイプを増やし、データを取って有効性や課題を検証する。
 温度差が大きい外気を直接温めるヒートポンプに比べ、年間を通じて温度が安定している地中熱利用のヒートポンプは消費電力が少なくて済む。排熱を外気に放出しないため、ヒートアイランド現象の緩和も期待できる。複数の住宅で導入すれば、掘削や設備などの初期投資費用を抑えられる。
 今後は住宅への地中熱分配を制御するシステムの確立が課題となる。実証実験を継続しながら、26年度にも復興住宅の複数世帯での導入を目指す。システム実用化に見通しが立った段階で、県内の工務店などに幅広くノウハウを提供する方針。同工学部は従来取り組んできた新築戸建て住宅向けの地中熱利用研究でも、実用化を目指している。


 産総研は26年4月に郡山西部第二工業団地に研究拠点の開所を予定しており、共同研究が加速するとみられる。
 研究を担当する同工学部機械工学科の伊藤耕祐准教授は「地中熱は“オール福島”の知恵と技術を結集した再生可能エネルギー。一般住宅で実用化させ、新たな産業創出にもつなげたい」とし、産総研地質調査総合センター地下水研究グループの内田洋平主任研究員(45)も「地中熱の利用研究を通じ、福島の復興に貢献したい」としている。



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