派遣期間制限の緩和 不安定雇用の増大

2013-08-12 14:26:49 | 政治

ブラックワタミと自民党

 

派遣期間制限の緩和 不安定雇用の増大を懸念する

増加する非正規雇用をさらに増やすことになりはしないか、懸念を禁じ得ない。
 厚生労働省の有識者研究会が、派遣労働の期間制限(最長3年)を緩和する報告書案をまとめた。
 派遣労働者が派遣元と有期雇用契約をしている場合、業務単位としていた上限3年の派遣期間制限を個人単位に切り替えることなどが柱だ。3年の期限を迎えても、人が代わりさえすれば、派遣先はいつまでも同じ業務に派遣労働者を受け入れられる。
 派遣先の企業にとっては、これまで以上に正社員の仕事を派遣労働者に振り替えやすくなる。一方で、派遣労働者の雇用が保障されるわけではない。派遣労働者の待遇改善に手をつけないままなら、雇用不安や格差拡大を招きかねず、到底容認しがたい。
 そもそも、派遣の期間は1999年の派遣業務の原則自由化の際、正社員をリストラして派遣労働者を充てる「常用代替」を防ぐ観点から、例外業務を除いて最長3年と制限された。あくまで、臨時的かつ一時的な労働力の需給調整に限定するのが原則だ。
 現行は、同一業務なら3年の制限があるため、期限を迎えると、人を代えても派遣を受け入れることができなくなる。見直し案は、業務にかかわらず1人が3年間仕事を続けられるようにして、スキルアップにつなげ、正社員への転換も促すという。
 問題は労使の合意で、3年ごとに派遣労働者を入れ替えれば、永続的に派遣労働の受け入れが可能となることだ。
 無期限で派遣活用できるとなれば、人件費を抑えたい企業が賃金の安い派遣労働者を正社員に置き換えようとするのは目に見えている。現に、企業が派遣労働者を雇用の調整弁として使っている実態があるからだ。
 案は、専門性が高く派遣期間に上限がない通訳など専門26業務も撤廃し、上限3年とした。仕事の範囲は広がるが、かえって制限期間到来後の雇用不安が増すことにもなりかねない。やはり派遣は専門知識などが認知された業務や一時的な労働力需給調整の業務に限定されるべきだ。
 過去、自民党政権が進めた労働規制緩和の結果、派遣を含む非正規労働者が今や、雇用者全体の4割近くにも達している。非正規の平均賃金は正社員の6割。雇用の不安定化と格差拡大が急速に広がっている。
 見直し案は、コスト削減を図りたい企業側には極めて都合がいい内容だ。際限のない派遣労働の拡大は、ますます雇用の質の悪化を招く。過去の反省もなく、さらに規制緩和を進めることは許されまい。派遣労働者の雇用安定と待遇格差是正。これを実現する仕組みをこそ検討したい。



コメントを投稿