コスト削減になる日本もやるべきだ 日本の公務員の人件費は高すぎだ アンゴラ刑務所の刑務官の年収は1人当たり平均3万4000ドル(1ドル 78.46 円)267万円 公務員の人件費をさっさと削減しろ
【アンゴラ(米ルイジアナ州)】体重120ポンド(約54キロ)の「ウルフ」は、文字通りオオカミと犬種の交配で生まれたオスのウルフドッグだ。鋭い眼光で檻の中を行ったり来たりしている。あと数時間で彼の勤務シフトが始まる。
ウルフは当地にあるルイジアナ州刑務所で夜勤に就く看守犬ウルフドッグ部隊の一員。国内の刑務所の多くは財政難に陥っているが、この刑務所も同様でコスト削減の一環として看守犬を導入した。
「犬たちを圧倒したり、振り切って逃げようとした者はいないね」と語るのは、1981年に犯した殺人罪で終身刑に服しているルー・クルス受刑者(55)。囚人らは刑務所内をパトロールするこの犬たちの存在をかなり気にしている。「走って逃げても直ぐに捕まってしまうだろうよ」と同受刑者。
広さ1万8000エーカー(約73平方キロメートル)のこの刑務所では予算が徐々に減らされ、5年前1億3500万ドル(約105億円)だった年間予算が現在では1億1500万ドルとなっている。1200人の刑務官らがいたが、105人が解雇された。42の監視塔のうち35は無人になってしまった。この状況に対応するため、頭を絞ってウルフドッグ導入を決めたのはバール・ケイン所長とスタッフらだ。
刑務所には7つの建物があるが、看守犬は最低でも3つの施設を定期的に巡回している。ケイン氏によると、オオカミドッグは心理的に非常に強い抑止力になるという。「オオカミはおばあさんを食べたからね」と同氏。
オオカミドッグの導入は大幅な人件費削減になる。アンゴラ刑務所の刑務官の年収は1人当たり平均3万4000ドル。オオカミドッグなどの他の種類のイヌを含めると看守犬は約80頭だが、獣医療費、備品、餌代などを含めても年間のコストは6万ドル。
ルイジアナ州刑務所管理当局の幹部ジョージ・キャンプ氏によると、刑務所予算は近年大幅に削減されてきたので、残っている予算削減の対象は人件費と福利厚生費に向かっているという。
同氏は「誰もが非常に限られた予算の中で、可能な限り最大の効果を得ようと知恵を絞っている」と述べている。
ミシガンなど他の州では刑務所敷地内をトラックで24時間監視する慣行を止めている。一部の州では監視塔を廃止し、監視カメラと動作センサーなどを取り付けている。
少なくとも現時点で、アンゴラ刑務所での看守犬導入に対して、受刑者の人権保護団体などからは抗議はあまり出ていない。
アンゴラ刑務所には5300人の受刑者がいる。その半分以上が殺人犯で4分の3が仮釈放なしの終身受刑者だ。このことはケイン所長にとって、受刑者の数を減らしてコストを削減することが出来ないことを意味する。