何気無く大切な一日が、かけがえ無く今日も過ぎてゆく 高橋忠史・多系統萎縮症と生きる・唄い屋。

難病の多系統萎縮症に侵されても音楽を諦めない男のライヴ報告や日々の思い・命のメッセージ

576日目 弥生のムラ秋祭り

2005年10月25日 16時43分58秒 | Weblog
10月22日

 朝起きたら、妙に寒い感じがする。今日もしっかり朝食を食べてから、10時にホテルを出た。空模様が怪しい。そして、肌寒いというより、しっかり寒い。昨日までの暖かさが嘘のように、めっちゃ寒い。たしか今日のライブは野外のはずだ。

 出発してからは、空の雲が切れてきた。昔からなんとなくあこがれていたのだが、一度も音連れた事の無い、初めての国東半島だ。わくわくしながらハンドルを握る。10号線から213号線に曲がった。ただの田園地帯に入ってゆくのだが、ん~ん、気分のせいか、景色が違って見える。田んぼのあぜ道に白い鷺が首を伸ばしてたたずんでいるのが見えた。いい感じだ。

 ん、でも、国道にしては道が細いな~、なんて思っていたらいきなりT字交差点。そこには県道しか表示されていず、213号線はいつの間にか消えていた。どうやら道を間違ってしまったようだ。ぐるぐると1時間ほど走っていると、何と、出発したホテルの前の道に戻っていた。国東半島に入ったと思ったその道は、国道213号線ではなく県道213号線だったのだ、感動していたのは何処の景色なんだちくしょう。

 改めて、県道213号線の信号ひとつ先にある国道213号線に入った。さっきの事があったので、感動する気持ちが盛り下がってしまっていた。それでも、海岸線を走る道路は、さまざまな顔を見せてくれて、走っていて楽しかった。窓を少し開けて(しっかり開けると、空気が冷たくて寒いのだ。)潮風のにおいを感じながら国東町へ。今日の宿は、コンサート会場の「弥生のムラ」を通り過ぎた海岸線にある。4時に迎えに来てくれるというので、3時ごろ着くつもりだ。途中途中で止まってのんびりと国東半島ドライブを楽しんだ。ホテルに3時に到着。ギターを出していたらパラパラと雨が。そして、ジャケットだけでは寒い芯まで冷えるぐらい寒いのだ。いやー、本当に今日はどうなってんだ。野外ライブが思いやられるぞー。

 4時に安本君という若い青年が迎えに来てくれた。彼の車で会場の安国寺集落遺跡公園「弥生のムラ」に出掛けた。会場は弥生時代の遺跡後に資料館として立てたものだと言う。高床式の建物などあったらしいのだが昨年3度の台風が来て破壊され今修復中らしい。
 そして、その修復中の場所で今日は「弥生のムラ祭り」が行われ、その宴の席で音曲を奏でるというのが僕の役目だ。
 連絡をくれたのは、「弥生のムラ」にある国東町歴史体験学習館にいる、財前君。彼は、11年前に全国青年大会の開会式のときに代々木体育館のステージで歌った僕を見ていた。その時、「証明…あかし」のアルバムを買って聞いていたらしい。最近になって、僕のホームページを見つけて、まだ頑張ってやっていることに感じるものがあったという。そんな頃、上司の有馬さんから「弥生のムラ祭り」で、誰か唄ってくれる人を探してくれと言われ僕の事を推薦してくれたそうだ。そんな経緯があって今日を迎えた。

 その、財前君が、控え室にやってきた、祭りのためだろう、弥生時代らしき服装をしてさわやかに挨拶してくれた。なかなかの好青年だった。
 僕の出番は6時からという事だったが、寒いせいか、時間が早くなっていた。5時半過ぎにステージというか何と言うか、土盛りされた広場がステージ。とにかく寒い。おまけに後ろのほうから強烈な風が吹いていた。その風のせいで熱を奪われ、唄っている間にどんどん身体の温度が下がって行く。肌がむき出しのままの手も、強い風に熱を奪われ、かじかんでギターが弾き辛くなってくる。風が強いのはわかっていたので、譜面台を使わず覚えている歌だけで勝負。野外での30分のステージなので、立って唄った。
 その寒さの中、お客さんはかなり少なかった。天候にはそして自然には勝てない。昼の式典の時には雨が降り出し、お客さんが全部いなくなったところで、お歴々が式典の挨拶をしていたというから、それに比べれば、少しでもお客さんがいてくれっるのだからラッキーだ。

 お客さんのほうから見て、夕暮れの空を流れる雲を背景に歌う僕はかっこよかったということだが、僕には見えない。悔しいー。もうひとつ身体があったらといつも思う。とにもかくにもライブは無事終了。もう一つのバンドが演奏をして、最後はお客さんや高校生のボランティアも一緒になって、弥生時代さながらみんなで踊りまくって祭りは終了。そして、僕は、安本君にホテルに戻してもらった。

 9時に、財前君が迎えに来てくれて、国東の街中で飲んだ。有馬さん藤本さんと財前君の4人で、29年生まれだという有馬さんと、同じ時代の音楽の話で盛り上がり楽しい夜を過ごせた。激動の一日でした。

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