Oceangreenの思索

主に、古神道、チベット仏教、心理学等に基づく日本精神文化の分析…だったはずなんだけど!

血脈と宗教

2009-11-15 | 大本および深見
教えと活動をどうやって引き継いでいくか、
というのは、宗教組織では重要な事だと思う。

昔の神道は世襲が基本で、
現代の新宗教も、ほぼ同じだと思う。

大本の教主は、母系女子の世襲によると、
なおさんの時代から、神示で定められている。

***

原始日本は、母系社会だったと考えられる。
それは東南・海洋アジア全体に見られた傾向だ。

母系、というのは、母から娘に家の財産をつがせ、
優秀な婿を迎えることで世代を繋いでいく方法である。

母親が家長の働きをする、というのとは、また別で、
自分では生活基盤を立て難い娘の方に生活基盤を保証する、という話だと思う。

優秀な婿は、家長となり、家や集落を繁栄に導いてくれる、
大切な存在である。

まれびと信仰とも関わってくると思うけど、

海の向こうから新しい技術や知識を携えてやってくる男性たちは、
実に有望なお婿さん候補だったんじゃないか、と想像する。

奈良時代はまだ、母系社会の色彩が強かったと聞く。
家系図は男系になっているけど、財産は娘が継いでいたらしい。

平安になっても、通い婚の形で、こうした習俗は続いていた。

武家の時代は父系のようだが、江戸時代になっても商家では、
娘に優秀な婿をとって店を継がせることは、よくあったらしい。

“売家と、唐様で書く三代目”を避けるには、
非常に合理的なやり方だと思う。

***

父系の世襲は、大陸から入ってきたものだと思う。
争いの多い世の中では、父系でないと難しいかも知れない。

幼い頃から息子を鍛え上げ、
いざというときに備えて、常に
跡継ぎを用意しておかなければならない。

それは、脅威から権利を守るための、
一番確実な方法かもしれない。

外からの婿どのを待っているゆとりはないし、
それ自体が危険だろう。
裏切りや略奪の危険をおおいに孕む。

古代から争いの多いアラブ世界で父系の世襲が強いのは、当然かもしれない。
バハイ教のような世界宗教でも、そうだったのである。

現在のバハイ教には聖職者も権力者もなく、
現代的な選挙で決定された組織によって統治されている。

だが、迫害に苦しんだ、ごく初期においては、
やはり父系の血縁者を後継者に指名した例がある。

***

世襲ではあるものの、
大本の母系世襲性にも、世界宗教の可能性は含まれている
…ような気がする。

それが、
海の向こうからやって来る素晴らしい婿さまを、
民族の隔てなく受け入れた、太古の記憶の甦りなら。

日本人は血の繋がりを重視するから、
宗教組織において、カトリックやバハイ教のような完全な開放性を持つのは難しいだろう。

もっとも、あのコンクラーベのような
慎重な選考システムがあれば、別なのかもしれないけど。

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