先般洋書を読み終えたJULIAN BARNESがミステリー小説も
別名で書いているというので読みたくなって探してみた。
残念ながら、洋書はなかったが、和書で早川ミステリーから出て
いた「愚か者の街」を見つけて読んだ。
舞台は、ヒースロー空港、そこの運輸会社で、抜き荷が目立ち、
警備保障会社(といっても、主人公のダフィー一人だが)の人間が
潜入捜査をするというストーリーだ。
イギリス製、軽ハードボイルドとのことだ。
ストーリーはいたってシンプルといえるのではないか。ページ数も
160ページだったし。特別、こみいった話もない。スリルやサスペンス
というよりも、やはり、語り口の面白さではないだろうか。
それは、先般の洋書で読んだ世界と同じものを感じる部分があった。
ちなみに作者は、中々の経歴の持ち主だ。
手のつけられない青年時代のあと、19歳の時に余興係として日本の
スーパータンカーに乗って世界を回ったという。そんなので、タンカーに
人が乗れるとは聞いたことがない。
マカオのバーでピアニスト、サンフランシスコの空港では手荷物係、
コロンビアでコカインの運び屋、ゲイバーの用心棒など、数知れない
職業のあと、公言をはばかれる職業にロンドンでついたというのが
気になる。
この作品も上記経歴の、まさに、経験談から書かれているのは
明らかで、リアルな部分が垣間見える。
その後、ブッカー賞も取得した作家になったわけで、上記のような
破天荒な経歴は、ウエブでも見つからなかった。
名前を二つ持つというのは、こういう時には便利である。
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