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ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

峠しぐれ(葉室麟)

2023年03月25日 | 時代劇はミステリー
葉室麟の「峠しぐれ」を読んでみた。 何を読んだらよいか迷ったときには、葉室麟の未読の作品を 選ぶことが多くなっている。 裏表紙には、真摯に生きる夫婦の姿が胸を打つ傑作時代小説と あるが、ちょっと、違和感があった。 峠の茶屋の夫婦の物語だ。 主人は、実は、あまり聞きなれない流派の剣の達人だ。 また、妻は、「峠の弁天様」と呼ばれる、お金のない旅人には、 タダで、茶や団子 . . . 本文を読む

恋牡丹(戸田義長)

2023年03月20日 | 時代劇はミステリー
戸田義長の「恋牡丹」を読んでみた。 裏表紙に、心地よい人情と謎解きで綴る四編とあるが、なるほどと読んでいると、えっと驚くミステリーのトリックと謎解きが描かれているのだ。 主人公は、北町奉行所に勤めるが、早々と引退して息子にあとを継がせる。 その親子2代の同心が事件を解決するのだが、普通の時代劇の同心ものと思って読んでいると違うのだ。 それが、新鮮でもあり、面白く読めた。 . . . 本文を読む

新田義貞(新田次郎)

2023年02月02日 | 時代劇はミステリー
新田次郎の「新田義貞」を読んでみた。 新田次郎と言えば、山岳ものの小説が多いが、武田信玄などの歴史小説も書いており、面白い。 ひとりの作家で、過去、一番読んだのが、おそらく新田次郎の作品だと思う。その中で、最近、新田義貞について、興味を持ち、本作品を読んでみた。 新田義貞が、鎌倉を攻め、足利尊氏が、京を攻め、鎌倉幕府の北条氏を滅ぼしたのだが、そのあとに、足利氏の反乱により、足利氏の室町幕府へ . . . 本文を読む

人斬り剣、奥儀(津本陽)

2022年11月21日 | 時代劇はミステリー
何とも、物騒な表題だ。10篇からなる短編集だが、ほとんど、どれも、十分楽しめた。 有名な剣客の話だけでなく、むしろ、あまり知られていない剣客の話が面白かった。 例えば、「抜き、即、斬」では、11歳で果し合いをした若武者が描かれる。果し合いを申し出た者が、ほとんど、討たれるとのことだが... 最後の2編も、ちょっと、吉村昭を想起させる作品もある。「剣光、三国峠」の戦闘場面は、素晴らしかった。 . . . 本文を読む

暗殺の年輪(藤沢周平)

2022年11月05日 | 時代劇はミステリー
藤沢周平の直木賞受賞作と他4編からなる「暗殺の年輪」を読んだ。 驚いたことに、他4編のうちの3編は、直木賞候補にあがっていたのだ。 それだけに、どれも、濃密な作品だった。 どれも、後味は、少々、辛めで良いとは言えない。男と女の愛憎や、人間の嫉妬も描かれている。 自分としては、直木賞とは関係のない「ただ一撃」という短編が、一番、気に入った。 ちょっと、剣客商売の老剣客を思い出す剣客の物語だ . . . 本文を読む

火天の城(山本兼一)

2022年10月27日 | 時代劇はミステリー
山本兼一の松本清張賞受賞作、「火天の城」を読んでみた。 巨大な安土城築城の真相に迫る物語だ。 なかなか、読み応えのある重厚な時代小説だった。 よくこれだけ複雑な物語をまとめあげて一つの小説にできたと思う。後に取材協力先なども記載されていたが、大変だったのだろうなと想像できる。 信長の夢、天に聳える五重の天主の城を建てよの号令に答えた棟梁親子の物語だ。 無理難題、妨害、困難に会いながら、こ . . . 本文を読む

河のほとりで(葉室麟)

2022年09月26日 | 時代劇はミステリー
小説だと思い込んで図書館から借りたが、随筆集だった。 同じ時代劇作家、歴史作家の作品の書評もあり、なかなか、面白く読めた。 また、藤沢周平を読んでみようかとか、山本兼一という作家にも興味を持った。 この随筆集の中で、医者にもっと、運動しなさいと言われ、ジョギングを始めたが、その分、腹が減り、食べて、痩せられないと言った文がある。これが、2017年7月だが、葉室麟が亡くなったのが、2017年1 . . . 本文を読む

吉原手引草(松井今朝子)

2022年08月13日 | 時代劇はミステリー
直木賞のおすすめに入っていた本書をよんでみた。花魁の頂点にたつ葛城が、忽然と消えた。 一体何が起きたのか?失踪の謎を追うため、関係者のひとりひとりと、葛城について話を聞いてゆく。 吉原そのものを鮮やかに描き出した時代ミステリーの傑作。と背表紙にうたっているが、まさにその通りだろう。 まるで、ミュージカルのコーラスラインを想起させるインタビュー形式の物語だ。いつまで、続くのかと思いきや、最後ま . . . 本文を読む

春風伝(葉室麟)

2022年05月22日 | 時代劇はミステリー
葉室麟の本格歴史小説、「春風伝」を読んだ。 葉室麟の小説は、ジャンルは違うが、新田次郎と同じく、いつか、全作読んでみたいと思っている。 それだけ、どの作品も、読後の満足感が高い。 この作品は、高杉晋作の生涯を描いたものだ。正直言って、時代劇小説ファンなのだが、維新の有名人ながら、高杉晋作については、あまり、知ってなかった。 どこか、坂本竜馬と混乱しているところがあったが、おそらく、高杉晋作 . . . 本文を読む

風の市兵衛(辻堂魁)

2022年04月26日 | 時代劇はミステリー
久しぶりにキンドルを充電してみて、読んでない時代劇小説があったので、読んでみた。TVでも、向井が主人公を演じた算盤さむらいこと、風の市兵衛だ。 なかなか面白かった。だから、その後、シリーズものとして30巻も続き、テレビ化もされたのだろう。 一気に、2日で読み終えた。流し読みではなく、堪能しながら読んで、2日で読み終えたのだから、いかに、面白かったかがわかる。 テレビでも見ていたので、主要登場 . . . 本文を読む

この時代小説がすごい!時代小説傑作選

2022年03月20日 | 時代劇はミステリー
「この時代小説がすごい!」のランキングアンケートで上位5位の作品を収めた時代小説傑作選を読んでみた。(2016年刊行) 実は、直木賞受賞作の池波正太郎の「錯乱」が読みたくてこの傑作選を選んだのだ。池波正太郎の作品は、シリーズものの鬼平とか剣客商売は、随分と読んでいるが、代表作の一つの「錯乱」は読んでなかったのだ。しかし、他の4作品(伊東潤、笹沢佐保、山田風太郎、坂口安吾)も、中々、面白かった。 . . . 本文を読む

心淋し川(西条奈加)

2022年03月15日 | 時代劇はミステリー
直木賞受賞作のおすすめトップ10というネットのサイトの一番に上がっていた「心淋し川」を読んでみた。 先日読んだ「流れ」や、「理由」などは、どちらのランキングにも入っている。江戸時代のうらぶれた長屋にくらす人々の6つの珠玉の短編からなる作品だが、どの短編にも一人、共通して登場するのが、差配の茂十だ。 かといって、5編目までは、いたって、目立たない地味な役回りだ。 それが、最後には、主人公となっ . . . 本文を読む

川あかり(葉室麟)

2022年03月01日 | 時代劇はミステリー
葉室麟の「川あかり」を読んだ。 藩で一番の臆病者と言われる若侍が、派閥争いの中で、家老を暗殺する刺客に命じられ、川止めがあけて、対岸からわたってくる家老を、木賃宿に泊まって待つ話だ。 その木賃宿には、一癖も、二癖もある連中が泊まっている。ちょっと、「雨あがる」の設定を思い出させるが、まったく、異なる。 最後の解説で、何度、泣いたことか、何度、笑ったことか。この書は、読者にとって、忘れられない . . . 本文を読む

満つる月の如し(澤田瞳子)

2022年01月07日 | 時代劇はミステリー
「本屋が選ぶ時代小説大賞」及び「新田次郎賞」を取得した本書を読んでみた。 仏師、定朝の物語だ。 平安時代後期に活躍した仏師の物語だから、今までに読んだ小説としては、最も、古い時代の小説だったかも知れない。 歴史時代小説の次世代のエースと言われるだけに、そのストーリー展開や、時代考証、定朝の創作にかける熱意と悩みなど、よく描けていると思った。一方、その重い題材と時代背景などから、やや、疲れを覚 . . . 本文を読む

蒼天を見ゆ(葉室麟)

2021年12月05日 | 時代劇はミステリー
葉室麟の「蒼天を見ゆ」を読んだ。もう、十年ほど前になるが、吉村昭の「最後の仇討ち」も読んだし、また、NHKのTVドラマも見た記憶がある。 仇討ち禁止令後に、仇討ちをした臼井六郎の話だ。 葉室麟の作品は、かなり、細かいところまで書き込まれた歴史長編となっていると感じた。 武士の時代には、仇討ちをすることは、誇らしいこととされていたのが、時代が変わり、罪になるようになっても、仇討ちに生きた青年の . . . 本文を読む