池井戸潤の江戸川乱歩賞受賞作、「果つる底なき」を読んでみた。
江戸川乱歩賞受賞作を読むのは久しぶりだ。直木賞受賞作の「下町ロケット」が、ちょっと、長そうだったという不純な理由からだが、中々、面白かった。
元銀行員だった作者の経歴、知識を活かしたリアリティーにあふれた作品だ。友人の債権回収担当の銀行員がアレルギー性ショックでなくなる。その謎を解くべく、組織の派閥に背を向けた男が、動くのだ。面白い . . . 本文を読む
米澤穂信は、今、最も注目している作家の一人だ。2015年に三つの年間ミステリーランキング一位に輝いた記念碑的傑作と言われる「王とサーカス」を読んでみた。
この作家は、前回読んだ短編集「満願」の中にも、海外のビジネスマンを主人公にしていた短編があったと記憶するが今回も、ネパールが舞台となる。
ネパールの2001年に実際に起きた国王他が射殺された事件の渦中に、ネパールにきていた主人公は、取材に走る . . . 本文を読む
「十の輪をくぐる」を読んで、その才能に驚いた辻堂ゆめのデビュー作で、このミスの優秀賞受賞作である本書を読んでみた。
ゴミ捨て場で目を覚ました人気絶頂のシンガーソングライターの女性が、誰からも認識されず、自殺したとニュースが流れているという設定から始まる。
何とも、無茶苦茶な設定で、このミステリーどうまとめるのだろうと心配しながら読み終えたが、結果は、見事の一言だった。
今まで、知らなかった若 . . . 本文を読む
驚くべき才能の塊の作家が現れたものだ。デビューして5年、まだ、35歳という。
香港で、一人の少女がビルの屋上から事故で落ちた。
日本人の青年は、恋人だった少女の死の原因を調べるため、建築学院の交換留学生として、香港の地を再び踏む。当時、香港は、英国から中国へ返還されようとしており、一国2制度など信用しない学生運動が起きていた。香港の問題、現代、将来を描いただけでなく、人間としての生き方、恋愛ま . . . 本文を読む
直木賞受賞作のおすすめでは、常にトップくらいに入ってくる本屋大賞も受賞の恩田陸の「蜜蜂と遠雷」を読んでみた。ピアノコンテストでの若きピアニスト達の苦闘を描いた秀作だ。以前、テレビで、浜松のピアノコンテストのドキュメンタリーを見たが、それが、思い出された。
クラッシック音楽は、正直言って、門外漢ではあるが、息子が、オケに入ってたため、オケを聞きにいく機会はあった。
この作品は、上下巻にわたり、長 . . . 本文を読む
読売新聞の書評で興味を持った武田人造氏の早川SFコンテスト優秀作の本作を読んでみた。
興味を持ったのは、著者の名前と、AI(人工知能)からだ。
SFと呼べる作品を読んだのは、いったい、いつ以来だろう?
子供の時は、ジュールベルヌファンだったし、映画では、スターウオーズや、スタートレックなどSFも、結構見ている。
本作は、SFと言っても、近未来であり、人間臭さがプンプンにおう作品だ。しかし、 . . . 本文を読む
このミステリーがすごい大賞受賞作のおすすめのひとつの本作を読んでみたが、本当に、すごいと感じた。
北海道の沖に浮かぶ石油掘削基地で無残な死体が発見され、自衛隊員の主人公が調査に派遣される。また、更迭されていた天才的な感染症学者が、調査に駆り出される。北海道はもとより、日本の存亡をかけての危機的な惨劇が起きようとしているのだ。これを読むと、東日本大震災当時の無能な政府を連想する政府が登場する。また . . . 本文を読む
このミステリーがすごい大賞受賞作のおすすめの一つの本作品を読んでみた。
以前、テレビで、海堂尊氏のインタビューも見たことがあるので、気にはなっていた。
医師である海堂尊氏だから書ける非常に専門的な知識を駆使した作品である。連続術中死発生の調査を命じられた外科とは全く無関係な医師の物語だ。
読んでみて、ちょっと、評価に困った。
とてつもなく面白い部分があるにも関わらず、いくつか自分には合わな . . . 本文を読む
直木賞おすすめミステリートップ10の一つの本作品を読んでみた。
アマゾンでは、評価が分かれることもあって、どうしようか迷ったが、読んでみて、なるほど、評価が分かれるわけだと思った。
5作品の短編集になっている。例えば、最初の作品の題名は、「仁志野町の泥棒」のように実在しない地方の町に起こった事件名になっている。
残りの4作品も、放火、逃亡者、殺人、誘拐となっていて、このアイデアは、中々のもの . . . 本文を読む
確か、読売新聞の書評で見て、読んでみようと思った。
逢坂剛の長編処女作である。
逢坂剛の「百舌の叫ぶ夜」のテレビドラマは、結構、見ていたが、小説を読むのは初めてだった。
人質を盾に、ビルの9階からエレベーターで1階に降りた犯人は、消えていた。犯人は身代金も、放置して逃げたのだ。一方、同日、右翼の大物が、近くのマンションで、狙撃される。二つの事件に絡んでいた二人の公安の刑事の物語だ。
文句な . . . 本文を読む
直木賞受賞作のお勧めで、絶版になったが、再刊された本書を読んでみた。
志茂田景樹と言えば、何十年も前だが、その風体に驚いたものだ。その風体と、この作品のギャップに更に驚かされた。
まさに、硬派な真面目な作品、名作なのだ。
何しろ、またぎの世界、熊と人間の対決を描いた作品なのだ。
きっかけは、志茂田景樹の父が、北海道で働いていたおり、皆でヒグマを狩った記念写真が送られてきたそうだ。
おそら . . . 本文を読む
直木賞お勧めミステリートップ10から、本書を選んだ。
裏表紙に、緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書会を瞠目させた直木賞受賞作。とある。
読んでみて、なるほどなという感じだ。
この作品は、著者の2作目だそうだが、1年半を要したという。まず、その設定には、驚かされる。探偵が出てくるのだが、その探偵が、いつのまにか、誘拐事件に巻き込まれていくのだ。 . . . 本文を読む
大沢在昌の新宿鮫シリーズで、直木賞受賞作の無間人形を読んでみた。
これも、直木賞お勧めミステリーにランクされていたものだ。
新宿鮫という言葉は、映画化されているせいか、何となく耳にしているが、確か、真田が主役だったと記憶しており、そのせいか、もっと、アクションが多いかと思っていた。
著者いわく、誰でも思いつくような話を、誰が読んでも面白いと思わせるにはどうしたよいか考えたというだけあって、特 . . . 本文を読む
「錨を上げよ 4.抜錨篇」を読み終えた。
結論から言うと、この4巻目は、結構面白かった。
特に最後のエンディングも気に入った。
第一巻と第四巻は、ちゃんと読んだが、第2巻は、流し読み。第3巻にいたっては、ページをめくって、ところどころ字を追っただけながら、まあ、それは、それで、自分の辛抱のなさだったのかも、しれないが、致し方ないとも思う。
第四巻は、347ページなのだが、本文は、304ペー . . . 本文を読む
浅田次郎の直木賞受賞作、「鉄道員」を読んだ。
直木賞受賞作のお勧めトップ10にも入っている。
直木賞は、長編だけでなく、短編集も入ることがある。この鉄道員も8篇の珠玉の作品集だ。
「鉄道員」は、高倉健の映画で有名だが、実際には、見ていないが、高倉健のポスターは印象に残っている。
解説を読むと、熱烈なファンには、4派にわかれるという。「鉄道員」「ラブレター」「角筈にて」「うらぼんえ」の4派ら . . . 本文を読む