ユニークな将棋棋士として有名な升田幸三の本エッセイを読んでみたくなった。
非常にユニークな部分もあるが、文章は、いたって普通なのに驚いた。将棋と新聞社というのは、今もそうだが、繋がりがあり、本著も新聞に連載されたものだ。
あとがきで、当初の意図は、若いサラリーマンに読んでもらいたいとのことだったようだ。
印象に残ったのは、有名な話で、戦後、GHQに呼ばれ、将棋は、取った駒を使って、捕虜虐待じ . . . 本文を読む
池波正太郎の群像シリーズの忍者群像を読んだ。
忍者というと、どうしても、甲賀と伊賀の戦いを思い描いてしまう。また、屋根裏をうごめいたり、堀の中を泳いだり、手裏剣をなげあったりである。
しかし、この忍者群像に出てくる忍者は、少し違う。
どちらかというと、スパイなのである。
敵の中に入り込んで、信用され、必要な情報を得たり、敵の作戦を頓挫させるような戦国時代のスパイとしての活動なのだ。
本作 . . . 本文を読む
MATT HAIGのファンタジー小説、「THE MIDNIGHT LIBRARY」を読んだ。
書評で、かなりの評価を得ている作品だ。
職場も首になり、ペットの猫も事故で亡くなり、絶望から、死にたいと思ったとき、目の前に不思議な図書館が現れ、その書棚から本を選ぶことで、こうすれば良かったと思う人生のやり直しを試せるのだ。誰でも、あの時、こうすれば、どうなっていただろうとか、想像することがあるかも . . . 本文を読む
このブログに最もあった題名の小説を読んでみた。
ちいさな炭鉱町で、記念碑などの破壊のあと、つぎつぎに人が殺害されていく。
行政官の命で、この町民の取材をゆるされた主人公が、正体不明の奇病におかされた町民とインタビューをし、謎をとこうとするのである。
今までに読んだことのないミステリーと言っても過言ではない。
翻訳家は、大変、苦労しただろうと推測される。編集者も、この作家の熱烈なファンのよう . . . 本文を読む
奥田英朗の「向田理髪店」を読んだ。
少し、軽いものを読みたくなると、奥田氏の作品を手に取ることにしている。
この作品は、「空中ブランコ」に比べれば、いたって、まじめな作品だ。
かっては、炭鉱で栄えたが、今では、寂れ、高齢者ばかりになった北海道の町で、理髪店を営む主人公の物語だ。こんな町では、何の希望もないから、若者は、外に出ていくべきと、悲観的に考える主人公に対して、息子が、帰ってくるという . . . 本文を読む
玉岡かおるの新田次郎賞、舟橋聖一生ダブル受賞作の「帆神」を読んでみた。
新田次郎賞受賞作品は、結構、自分の好みにあうようだ。
船乗りでありながら、船の新しい帆布の創造、拡大に貢献して、かつ、港の浚渫までやってのけ、士分にまで上り詰めた工楽松右衛門の歴史小説と言える。
また、女性作家のせいか、男女の恋愛の想いについても、描かれている。
少々、長く、読むのに苦労したが、工楽松右衛門という人物の . . . 本文を読む
JEFFREY ARCHERのFALSE IMPRESSIONを読んだ。
何とも、盛りだくさんで、スピーディーな物語だった。
英国の旧家が、負債に苦しんでいた。そこで、所持する名画を処分して、借金を返済しようとした。
しかし、その女主人が、暗殺され、一番の名画が借金を一手に引き受けている銀行に移動されようとする。
さて、それからが、大変だ。何しろ、米国の9.11事件の貿易センタービルにその . . . 本文を読む
辻堂魁の「雷神」を読んだ。
これは、風の市兵衛シリーズの第二弾だ。
最後の広告で、何と、既に22巻まで続編が出ていることに驚いた。
さすがに、テレビドラマ化しているだけのことはある。
テレビドラマのキャストを頭に描いて読むと、頭には入りやすい。
主だったキャストについては、うまいこと選んだものだと思う。
さて、2巻目だが、内藤新宿で、不当に立ち退きを迫られた老舗に主人公がやとわれ、陰謀 . . . 本文を読む
ときどき松本清張が読みたくなる。正直言って、がっつりは、読んだことがない。
最近、テレビで、松本清張の作品をドラマ化したものを見た。「ガラス...」とかの題名だったが、結構、面白かったので、読んでみたくなった。
この短編集には、初期作品8作品からなる。一作品、「張り込み」は、読んだことがあると思った。
その他の作品は、若干、トリックというか、ネタにこっている感じがした。その辺が、文体などは、 . . . 本文を読む
JOHN GRISHAMのCALICO JOEを読んだ。
JOHN GRISHAMの作品には、法廷ものと呼ばれるものが多いが、いくつかの作品は、まったく、法廷には関係しないものもある。
この作品がそうであり、プロ野球選手の話だ。
新人起用され、すさまじい勢いで、ヒットやホームランを量産して、スーパースターになるJOEという野球選手に、ビーンボールが当たり、昏睡状態になる。
死線をさまよい、 . . . 本文を読む
読売新聞の書評で、興味をもって、本書を読んでみた。
山本周五郎賞、直木賞、山田風太郎賞の候補になった作品という。
題名が、なかなか、刺激的だ。
最強と呼ばれた剣豪、宮本武蔵と対戦した相手側からの物語かなと想像させた。
7章に分かれているが、最初の3章は、それに近く、中々、面白く読めた。
しかし、4章以降、ちょっと、話が込み入ってきた感じがした。第六章で、4~5章の謎めいたものが整理されて . . . 本文を読む
サマセット・モームは、うん十年前の学生時代、「人間の絆」を読んで以来だ。
あの、サマセット・モームが、小説家が主人公のスパイ小説を書いていたのか?
それどころか、ウイキペディアによると、サマセット・モーム自身が、実は、諜報活動をしていたという事実に驚愕して、この本を読んだ。
小説家が、諜報活動に関わるという設定は、よくある設定らしい。
過去読んだ、ジェフリー・アーチャーの作品の中でも、記憶 . . . 本文を読む
やっと、THOMAS HARRISのHANNIBALを読み終えた。
約2か月かかった。546ページというから、それほど長かったわけではなかった。しかし、結構、大変だった。
過去の羊たちの沈黙では感じなかった格調の高さとでもいうのか、語彙も難しく感じた。イタリアの芸術関係の記述が多かったせいかも知れない。ただ、映画を見ていたのは、おおいに助かった。結末以外は、かなり、原作に忠実に描いているように . . . 本文を読む
読売新聞の書評で、ゆったりとした作品という言葉につられて読んでみた。
十時半睡事件帖のシリーズの7巻目、最終巻らしい。著者の絶筆でもあるらしい。
事件帖とあるが、この巻については、事件らしい事件があるわけではない。
海洋ものに比べるとかに、ゆったりとした作品だ。
丁度、三島近辺に旅行に行ってきて、箱根八里の街道を知ったばかりのせいか、小田原ー三島ー元箱根ー沼津といった地名や、その街道が、身 . . . 本文を読む
久しぶりに、山関係の作品を読んだ。読売新聞の書評で見つけた本だ。
”世界一不気味な遭難事故”と副題がついている。
1959年に、ソ連のウラル山脈に登山した9名の若者がテントから一キロ半ほども離れた場所で、凄惨な死を遂げた。
氷点下の中で、衣服もろくに付けていなかったり、靴も履いてなかったのだ。
最終報告書では、「未知の不可抗力によって死亡」と記載されていた。
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