辻堂魁の風の市兵衛シリーズの第3作目を読んだ。
最後の解説で、「読み心地の良さを、これほどまでに味わえる作品にはなかなか出会えまい」という言葉があったが、なるほどなと思った。
今回は、抜け荷を暴いて、悪を成敗するといった、やはり、せいせいする市兵衛の活躍が見れる。
また、船上の戦いという、はらはらどきどきも味わえる。
気が付けば、3作目まで来たが、また、きっと、4作目も読むことになるのかも . . . 本文を読む
JOHN GRISHAMのTHE TESTAMENTを読んだ。
ある大富豪が、遺言書を書き換えた後に、飛び降り自殺する。
その遺言書によると、すべての財産を、ブラジルのジャングルに宣教師として赴任して、どこにいるかもわからない子供、妻ではない女性に産ませた子供に託すというのだ。二人の元妻に産ませた子供たちは、遺産相続を期待していたから収まらない。それぞれ、弁護士を雇って、書き換えた遺言書は、無 . . . 本文を読む
荻堂顕の新潮ミステリー大賞受賞作である本書を読んでみた。読売の書評で、この作家のことを知って興味を持った。ちょっと、変わった作品であることはまちがいない。ストーリーとしては、少し前に読んだミッドナイトライブラリーに近いかもしれない。他の地域に逃げたり、現実に絶望して、人生から逃げるのを助けるのが主人公の女性だ。ミッドナイトライブラリーの場合は、自分で、やり直したい人生の分岐を選べたと記憶している。 . . . 本文を読む
映画「碁盤 斬り」を見てきた。
時代劇であり、草薙ファンであり、かつ、原作が、落語とあっては、見ないわけにいかない。
事前に、ユーチューブで、志ん朝の「柳田格之進」を聞いておいた。
久しぶりに落語を聞いたのだが、志ん朝の人情噺は、やはり、うまかった。
さて、映画だが、かなり、脚色され、登場人物も変えられていた。しかし、上手に変えられていたので、違和感もなく、また、すっきりまとめられていた。 . . . 本文を読む
最近、BSなどで、梓林太郎原作の山岳ドラマが再放送されている。
もう、20年以上前の作品ながら、結構、楽しめた。
梓林太郎氏は、今年の1月に亡くなっている。それを追悼して、かってのドラマを再放送しているのかも知れない。
山岳ミステリーは、随分、読んでいたが、梓林太郎氏の作品は、読んでなかったので、今回、読んでみることにした。
本作は、本格山岳ミステリーの傑作と言われている。女性登山者の転落 . . . 本文を読む
浅田次郎の「帰郷」を読んだ。
いわゆる、戦争小説と言えるものだ。
帰還兵の話だったり、高射砲の修理兵の話、父が戦死した息子の話などなど、6篇の短編からなる。
一番、最初の「帰郷」が、救いもあり、好きな作品だった。最後の「無言歌」が、何とも、悲しく、救いのない中で、最後にふさわしい作品だった。著者は、私と同じく父母が戦争体験のある戦後第一世代である。それでも、こういった戦争小説が書けるのは、驚 . . . 本文を読む
岩井圭也の山岳小説、「完全なる白銀」を読んだ。
中々、面白かった。まず、主要登場人物が3人の女性ということだ。アラスカの温暖化により、いずれ、海の下になって、なくなってしまう島に住む2人の現地人女性と日本人女性が主要登場人物だ。
温暖化を世界に訴えるため、まず有名人にならなければならない。そのために、女性で初めて、冬のデナリ(アラスカ最高峰)登山を目指す女性リタ、彼女をサポートするシーラ。それ . . . 本文を読む
百田尚樹の「禁断の中国史」を読んだ。
図書館で目についたので、読んでみたのだが、隣の中国という国について思い知らされた。
宦官、纏足、科挙制度など、聞いたことのある制度のほか、刑罰や共産党の実態を読むに日本の感覚との違いに恐ろしくなった。
それも、遠い昔のことではないのである。
書評でも、すべての日本人が読むべきというコメントがあったが、なるほどと思った。 . . . 本文を読む
映画は見たことがないが、アカデミー賞は取っているし、原作も、ブッカー賞を取っているということで、読んでみた。
今までには、もっと、手ごわい作品にもトライしたことがあるだけに、何とか、読み終えた。
しかし、どこまで、理解したかは、わからない。一見、読み進めることができそうでいて、頭には、すっきり入ってこないのだ。あとで、他の人の書評を読んで、その点がはっきりした。
詩的表現が多く、登場人物の視 . . . 本文を読む
山本兼一の「命もいらず名もいらず」を読んだ。
以前から、読みたい本だったが、上下巻の分厚さに尻込みしていた。
内容は、幕末の3舟の一人、山岡鉄舟の史実をもとにしたフィクションだ。
山岡鉄舟という人物は、ドラマでも、坂本竜馬や、勝海州にような主役では、あまり見たことがない。しかし、今回、読んでみて、江戸城の無血開城に最終交渉したのは、西郷と勝だが、その前に 、西郷に説得に行ったのは、山岡鉄舟で . . . 本文を読む
アカデミー賞を受賞したとのことで、再度、映画放映されだしたので、「君たちは,どう生きるか」を、先月、見に行った。
平日だったせいか、数えるほどの人数で、しかも、私も含め、中年以上が多かった。
映像は、さすがという美しさだった。7人の小人ならず、7人のおばばが出てくるのが面白かった。声優に豪華な俳優陣をふんだんに使っているのも、面白かった。
ストーリー的には、今までにない新規性は薄かったが、ジ . . . 本文を読む
ユニークな将棋棋士として有名な升田幸三の本エッセイを読んでみたくなった。
非常にユニークな部分もあるが、文章は、いたって普通なのに驚いた。将棋と新聞社というのは、今もそうだが、繋がりがあり、本著も新聞に連載されたものだ。
あとがきで、当初の意図は、若いサラリーマンに読んでもらいたいとのことだったようだ。
印象に残ったのは、有名な話で、戦後、GHQに呼ばれ、将棋は、取った駒を使って、捕虜虐待じ . . . 本文を読む
池波正太郎の群像シリーズの忍者群像を読んだ。
忍者というと、どうしても、甲賀と伊賀の戦いを思い描いてしまう。また、屋根裏をうごめいたり、堀の中を泳いだり、手裏剣をなげあったりである。
しかし、この忍者群像に出てくる忍者は、少し違う。
どちらかというと、スパイなのである。
敵の中に入り込んで、信用され、必要な情報を得たり、敵の作戦を頓挫させるような戦国時代のスパイとしての活動なのだ。
本作 . . . 本文を読む
MATT HAIGのファンタジー小説、「THE MIDNIGHT LIBRARY」を読んだ。
書評で、かなりの評価を得ている作品だ。
職場も首になり、ペットの猫も事故で亡くなり、絶望から、死にたいと思ったとき、目の前に不思議な図書館が現れ、その書棚から本を選ぶことで、こうすれば良かったと思う人生のやり直しを試せるのだ。誰でも、あの時、こうすれば、どうなっていただろうとか、想像することがあるかも . . . 本文を読む
このブログに最もあった題名の小説を読んでみた。
ちいさな炭鉱町で、記念碑などの破壊のあと、つぎつぎに人が殺害されていく。
行政官の命で、この町民の取材をゆるされた主人公が、正体不明の奇病におかされた町民とインタビューをし、謎をとこうとするのである。
今までに読んだことのないミステリーと言っても過言ではない。
翻訳家は、大変、苦労しただろうと推測される。編集者も、この作家の熱烈なファンのよう . . . 本文を読む