日元アイシスでは、損益責任は設計にあった。
赤字も黒字もその原因は関係なく設計が責任を持つのだ。
このあたりは会社によって違うかもしれない。
損益の責任を設計が持つのか、営業が持つのかと言うことにもよる。
損益責任を設計が持つ場合、
一定の利益を確保できなければやらないという選択肢は設計の手中にある。
原価高で損をしても、赤字受注で損をしても設計が怒られるのは同じ。
原価高になるのは自分の責任だからしょうがないが、
赤字で受けて怒られるのは癪に障る。
せっかくの受注チャンスを儲からないからと、棒に振ることもあり得る。
営業は儲けが出ようが損をしようが責任は些少。
基本的には、受注額が評価の対象となる。
取れなきゃ意味がない、安くても赤字でもとにかく取ればいいと思いがちになる。
一方、損益責任を営業が持つ場合、
設計はあらかじめ約束した原価の範囲で仕事をすればいい。
それ以上に売りが高くて儲けても、売りが低くて損をしてもそれは営業の責任だ。
そのかわり、営業は戦略的な受注がやりやすくなる。
いわゆる「損して得取れ」的な動きができるのだ。
しかし往々にしてこの「得」は先々の見込みであることが多く、
結局、空手形に終わることも多い。
また設計は、自分の領分さえ守っていればいいという気持ちが起きやすい。
儲かろうが損しようが自分のせいではないと言う気になりがちだ。
いずれにせよ、この方針が営業や設計の戦略にも大きく影響する。
永田町の駅に入ると、御厨は直帰するといって南北線のホームへ向かった。
富田と片山は改札の前で会釈して御厨を見送った。
富田は、俺、銀座線だから、と言い、改札を入ろうとはしなかった。
そして小声で片山に話しかけた。
「御厨さん、機嫌悪かったじゃん。客の前じゃ顔に出さなかったけどさ。」
「ええ、今朝、本部長が水資源公団の打ち合わせの席で何かがなってて、
それで機嫌悪くなったみたいです。」
「何があったの? 」
「よく判りませんけど、いつも受け売りばっかりだとか言ってられました。」
「ふーん。まあいいや。
いずれにせよ、もう一回見積りを作成しなくちゃいけないんだろ。
御厨さんじゃないけど、片山が仕切ってね。」
「判りました。公示になったらすぐに手続きに入ります。
一千万は確保しますので、それでいけるように
富田さんも部内の方、宜しくお願いします。」
「うん。それじゃね。」
「失礼します。」
***
この物語はフィクションです。
登場する団体名、組織名、個人名は架空のものです。
実際に存在する団体名、組織名、個人名などとの一致があったとしても、
それは偶然に過ぎません。
***
関連図書(プレSEの活躍、国税庁の受注戦を描く)
「プレSE奔走す」 ISBN4-434-07543-8 1200円
セブンアンドワイ
楽天ブックス

その他オンライン書店で。
*** (c) All copyrights of this contents reserved by KGR 2008 ***
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赤字も黒字もその原因は関係なく設計が責任を持つのだ。
このあたりは会社によって違うかもしれない。
損益の責任を設計が持つのか、営業が持つのかと言うことにもよる。
損益責任を設計が持つ場合、
一定の利益を確保できなければやらないという選択肢は設計の手中にある。
原価高で損をしても、赤字受注で損をしても設計が怒られるのは同じ。
原価高になるのは自分の責任だからしょうがないが、
赤字で受けて怒られるのは癪に障る。
せっかくの受注チャンスを儲からないからと、棒に振ることもあり得る。
営業は儲けが出ようが損をしようが責任は些少。
基本的には、受注額が評価の対象となる。
取れなきゃ意味がない、安くても赤字でもとにかく取ればいいと思いがちになる。
一方、損益責任を営業が持つ場合、
設計はあらかじめ約束した原価の範囲で仕事をすればいい。
それ以上に売りが高くて儲けても、売りが低くて損をしてもそれは営業の責任だ。
そのかわり、営業は戦略的な受注がやりやすくなる。
いわゆる「損して得取れ」的な動きができるのだ。
しかし往々にしてこの「得」は先々の見込みであることが多く、
結局、空手形に終わることも多い。
また設計は、自分の領分さえ守っていればいいという気持ちが起きやすい。
儲かろうが損しようが自分のせいではないと言う気になりがちだ。
いずれにせよ、この方針が営業や設計の戦略にも大きく影響する。
永田町の駅に入ると、御厨は直帰するといって南北線のホームへ向かった。
富田と片山は改札の前で会釈して御厨を見送った。
富田は、俺、銀座線だから、と言い、改札を入ろうとはしなかった。
そして小声で片山に話しかけた。
「御厨さん、機嫌悪かったじゃん。客の前じゃ顔に出さなかったけどさ。」
「ええ、今朝、本部長が水資源公団の打ち合わせの席で何かがなってて、
それで機嫌悪くなったみたいです。」
「何があったの? 」
「よく判りませんけど、いつも受け売りばっかりだとか言ってられました。」
「ふーん。まあいいや。
いずれにせよ、もう一回見積りを作成しなくちゃいけないんだろ。
御厨さんじゃないけど、片山が仕切ってね。」
「判りました。公示になったらすぐに手続きに入ります。
一千万は確保しますので、それでいけるように
富田さんも部内の方、宜しくお願いします。」
「うん。それじゃね。」
「失礼します。」
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この物語はフィクションです。
登場する団体名、組織名、個人名は架空のものです。
実際に存在する団体名、組織名、個人名などとの一致があったとしても、
それは偶然に過ぎません。
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「プレSE奔走す」 ISBN4-434-07543-8 1200円
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