Sleeping in the fields of gold

小麦畑で眠りたい

私たちは、きっとどこかで会っている

2015-12-10 | Weblog

久しぶりにジローと電話で話す。
いつぶりだろうか?
半年振りか?もっとか?はて?

先日、ジローから珍しくメールがあった。
彼はメールを打つのが嫌いなので、滅多にメールが来ることはない。

「同じ大学の卒業生である美里さんが、去年末に心不全で亡くなったそうです。」

えーっと…。

ごめん。アテクシ、その美里さんという人の記憶が皆無である。
ジローはとにかく知己が多いし、社交的なのであれこれやり取りがある。
一方、アテクシは引きこもりがちだし、大学時代の誰とも連絡をコンスタントには取っていないので(ジロー以外)、正直、記憶にないのだ。すまんな。

しかし、年齢的にはまだ死ぬような年ではなかろうと思うし。
心不全で若くして亡くなるなんて、随分なことである。
お悔やみのメールは返したものの、たぶんそのことについてジローは少し話したいのだろうなとも思っていた。

大体、ジローは「私に話を聞いてほしい」時以外、連絡なんてこないからな(笑)。

大使館の通訳として活躍されていた美里さんだそうだ。
死の2週間前くらいに、ジローは彼女と会っていたのだそうである。
非常に仕事で疲労していて、もともと生真面目で思い込みやすく、下手をすると「自殺をしてしまいそうな」タイプだったと言う。
(ますます、俺の記憶にはないが…でも、きっと、どこかで会っているんだろう、たぶん)

40歳も越えると、段々と訃報が増えてくる。
死ぬには早いが、でもぽつぽつとそういうニュースが舞い込んでくるのも事実だ。

要はジローもそういう年になってきたんだねということ。

時間は永遠にあるのではないのさ。

顔を覚えていないけれど、おそらく1-2回はジローを交えて寮で一緒に食事をしたこともあるのだろう。
人間、あんまり真面目に生きちゃいけないよなと思う。
神経をすり減らして仕事をするなんて、ナンセンスだよ。

どうにか、食っていければそれで十分なんだよ。
いくら金を稼いだところで、死んでしまったらそれでおしまいなんだから。
どれほど高級な家財を持っていたところで、死んでまで持っていけるわけでもない。

田中正造のように。死んだ時に、ずた袋にチリ紙しか入っていないような人生こそ。
アッパレ。

何も遺さんでいいのよ。
むしろ、生きているうちに使い切ることこそ、重要。

アテクシは、そう思う。

美里さんも、たとえ時間は短くとも。
充実した人生を全うされたのだと、願っている。


15分

2015-12-10 | Weblog

日用品の買い物に出かける。
近隣のスーパーが有料バスを出してくれているのだが、これが一日4本という、ほとんど役に立っているのかいないのか?というレベル。

今日は天気が良かったので、たくさん洗濯物も干したし、布団も干した。
ゆえに午後4時前には帰宅したい。

ところがバスは11時半、2時半、4時半、7時半にしか通らない。11時半に出かけると、3時間も潰さなきゃいけないのよ。
仕方がないので、12時過ぎに歩いてスーパーへ向かった。
そうすると、帰りはバスで帰って来れるはず。

今日の天気は極上。
天気が良ければ、気持ちのいい散歩道だ。


近くに川がある。

水鳥が憩っている。

突然飛び立った鳥は随分と大きいなぁと思ったら、鵜であった。

スーパーへの遊歩道沿いには大学や、中高が連なっている。緑の多い遊歩道。
南天のような実が成っている。
コンクリートブロックの護岸に、川面の光が反射してゆらゆらと揺れている。
あぁ、綺麗だなぁ。

突然、目の前から白い鶺鴒が飛び出して、道路の真ん中に舞い降り、尾をピコピコ上下させている。
あぁ、私は巣の近くを通ってしまったのだろうか、また。

名も知らぬ木々の隙間から日差しがさして、うっすらと苔むして地面を照らす。
美しいなぁ。

深く息を吐いて、へそから背中へ息を吐きぬく。
いわゆる、丹田を背中へ抜くような呼吸。

吐ききると、自然と空気が肺に入ってくる。
瞑想中。

苛立ちの多い日常で、ただ歩いてスーパーへ向かっただけであるのに、アテクシはなんとも幸せであった。
30分くらいかかるかなと思っていたが、実際歩いてみると15分。
駅から自宅までの距離と大差ない。

となれば、天気が良ければちょうどいい散歩コースだ。
楽勝だ。
ついでに、幸せにもなれる。

それは確かに生粋の「自然」ではないのだけれど。
道端に草があり、名も知らぬ花が咲いて。
紅葉した楓の仲間の木から、黄色と赤の入り混じった葉が、クルクルと回転して落ちてくるのに出会う。

とても幸せな「出会い」なのだ。

純粋に「楽しい」。

誰と話すわけでもない。
ただ、道を歩くだけ。

たったそれだけのことさえ、アテクシはつかの間『幸せ』を感じる。

淡雪のような15分。