みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

憂国忌と日本

2017年11月25日 | 俳句日記

その日は、住込みでバイトしていた医院
の夜勤明けで、昼過ぎまで寝ていた。
ドアをノックした事務局の女性に「大変
よ!」と起こされて事情を聞いた。

事務所では、皆テレビを凝視している。
三島先生が防衛庁のバルコニーで、何か
を叫んでいた。
趣旨は自衛官らの怒号で聞き取れない。

だが、予てから「盾の会」の決起につい
ての噂を聞いていた私は、その出で立ち
から其れと察した。
仲間と連絡を取った後、部屋を出た。

昭和四十五年十一月二十五日の午後四時
頃であったと思う。
机の上に両親に宛てた遺書を置き、事務
長に休暇届けを出した。

仲間と落ち合うと、盾の会の決起に合流
すべく、我々は大阪を立った。
だが東京では、何事も起こらなかった。
翌年大学を中退した私は九州へ帰った。

あれから四十七年、私とは違う他の誰か
が演技をする映画を観ているように、不
思議な感覚で思い出されるから面白い。
歴史的事件に遭遇すると皆そうなる。

兎に角、学習院中等部時代に古事記から
近代文学まで、ソクラテスからニーチェ
まで読破し、十六歳で「花ざかりの森」
を書いた天才。

学習院高等部を首席で卒業し、東大法学
部から大蔵省を経て文壇デビュー。
ノーベル賞候補にもなった作家が、国を
憂いて引き起こした事件である。

この方の生きかたの全てが、作品の全て
が「豊饒の海」であり、私なんぞはその
渚で、波と戯れていたにすぎない。
今になってその事が良く分かる。

今の日本もまた、豊饒の海に羅針盤を失
って漂う小舟なのかもしれない。
奇しくも2020年は、新元号のもとでの
御即位、五輪、大嘗祭、そして五十年の
節目の憂国祭の年である。

日本が、世界の平和を牽引する国として
大きく転生する年になって欲しい。

〈豊饒の 海に溢れよ 憂国忌〉放浪子
季語・憂国忌(冬)

11月25日〔土〕曇り
久々に青春時代に戻って、あれこれ書を
摘み読みした。
あらためて、文章の世界の広大無辺さに
圧倒されて疲れてしまった。
現在午後十一時、漸くブログを書いた。
酒でも飲んで頭をほぐそう。
私は渚で戯れるぐらいが丁度良い。








冬カモメ

2017年11月24日 | 俳句日記

震災後、南相馬から岩手県宮古市までの
海岸線を、一人で旅した事があった。
発災から一年後のことである。

崩壊した防潮堤を乗り越えると、春の波
が穏やかに打ち寄せる渚に、無数のカモ
メが群れていた。
波と、風と、鳴き交わすカモメの声が、
聴こえる音の全てであった。

カモメは、冬の季語である。
夏、シベリアで繁殖した彼らは、冬には
東南アジアまで南下する。
日本にも多くが冬に飛来する。

温帯にある日本列島では、留鳥として棲
み着くものもいる。
それで季語は、わざわざ「冬」を付けて
「冬カモメ」と表記するのである。

あれ以来、カモメは特別な鳥になった。

何時ものように、バンやカモにパンくず
を投げ与えていると、今日は殊の外多く
のカモメが集まって来た。
他の鳥は、なす術も無く餌を盗られる。





連写したらこうなった。
唖然とする他の鳥の表情も撮りたかった
のだが、私の腕では無理だった。

鯉も取り負けていた。
亀は、ここ数日の寒さで冬眠に入ったの
か、姿を見せなかった。
カモメは逞ましい鳥である。

逞ましく活きることは素晴らしい。
我々も力を合せ逞ましく生きて行こう。

〈岸柳 青き水面と 冬カモメ〉放浪子
季語・冬カモメ(冬)

11月24日〔金〕晴れ
昨日の「国民の祝日に関する法律」の
制定年に間違いがありました。
昭和28年ではなく、23年です。
ごめんなさい。
今日は夕方から旧友会です。
楽しんで来ます。






新嘗祭と勤労感謝の日

2017年11月23日 | 俳句日記

日本の伝統行事である「新嘗祭」が突然
「勤労感謝の日」となったのは、昭和28年制定の「国民の祝日に関する法律」に
よる。

当時はまだ米国の占領統治下にあった。
GHQは日本の祝祭日を天皇の国事行為
から切り離すために新嘗祭をアメリカの
感謝祭にならって勤労感謝の日とした。

趣旨は「勤労を尊び、生産を祝い、国民
互いに感謝しあう日」というもの。
それはそれで理に適っているが「神」が
抜け落ちているのである。

「新嘗祭」の本旨は、神に収穫を感謝す
る神事で単に収穫を喜ぶものではない。
米国は、どうしても日本人を神から引き
離したかったのである。

GHQのコミュニストは、信心深い日本
人を神から引き離し、解放することに並
々ならぬ使命を感じていた。
それが、彼らの良心であるかのように。

それでいて、米国の感謝祭でも欧州での
収穫祭でも、キリスト教の神には懇ろに
感謝をするのである。
日本の神に対する偏見以外考えられぬ。

あれからもう70年も経った。
いい加減アメリカさんから解放されて、
新穀を神前に供え、天地の神々に五穀の
実りを感謝するという本来の日本の祭り
を取り戻したらどうだろう。

それにしても、現在世界には27の王室が
あるそうだが、バチカンの法王以外で、
我国のご皇室の様に、専ら祈りを持って
上に立つ国家元首はいるのだろうか。

もともと日本は、祈りによって国の根本
を知らしめす国であった。
世界に誇っても良いのではあるまいか。

〈神さぶる 社や尊し 新嘗祭〉放浪子
季語・新嘗祭(冬)

11月23日〔木〕晴れ
北鮮情勢は、どうやらクリスマス前後が
危ないらしい。
私は日本に留まるが、余裕のある人は海
外旅行にでも行っておいでなさい。
こんな時に‼︎などとは言えない。
手分けして日本の存続を
図らねばならない。
一人ひとりが使命を担うことが大切だ。




「小雪」と「いい夫婦の日」

2017年11月22日 | 俳句日記

今日は、二十四節気のひとつ小雪。
北国からは、既に雪の便りが届いた。
博多の今の雨も本来なら雪なのだろう。
そして、もう一つ新しい記念がある。

11月22日を「いい夫婦」と語呂を合わせ
今世紀から「いい夫婦の日」となった。
日本生産性本部⁈が提唱したようだ。
毎年著名人からベスト夫婦が選ばれる。

実は辞退する方もいらっしゃるらしい。
基準がないのだから、ぬか喜びは出来な
いのが当然だ。畢竟芸能人が選ばれる。
露出が商売だから自然の成り行きだ。

いい夫婦の基準となると、添い遂げるが
キーワードになるのではなかろうか。
修身斉家、五十年・六十年或は百年共に
健康でいることこそ治国の勲功だろう。

そんなご夫婦を、全国民が祝う日にすれ
ば、きっと良い模範となるはずだ。
仁徳円満でなければ、こうは行かないこ
とを誰もが知っている。

〈小雪の 波にも揺るがじ 夫婦岩〉放浪子
季語・小雪(冬)

11月22日〔水〕終日雨
娘達が可愛いがっていた愛犬が死んだ。
人間でいえば八十歳位と言うから大往生
だろう。
線香代を包むから、供養しておきなさい
とメールした。
その昔助けた犬が、私の心臓手術の前の
日に死んだと連絡を受けた事がある。
身代わりになってくれたのか⁉︎と思い、
今でも供養している。
動物と雖も仇疎かにしてはいけない。

鳰(にほ)どり

2017年11月21日 | 俳句日記

今朝の大濠公園の日の出は美しかった。
久々の朝弁である。
鳥たちもたくさん寄ってきた。
真鴨、大バン、カモメ、ヒドリガモ、中
に珍しくカイツブリもいた。


古語で「にほどり」とも言う。
留鳥なのでいつでも見られる水鳥だが、
冬場は独特の鳴き声と相まって目立つ。
従って、冬の季語となっている。

「ケ」とも「キ」ともつかぬ音色で鳴き
上がり、鳴き下がる風情が、冬の湖水の
景色に良く調和している。
どこか寂しげな声だからかも知れない。

肉食であるから巧みに水をくくる。
その時は、人間が伸び上がり大きく息を
吸って頭からダイブするように、思い切
ってクチバシから突っ込んでいく。

一旦潜ると、なかなか上がって来ない。
潜った場所に姿を見せることは、まず有
り得ず、かなり遠い所まで泳ぐ。
執拗に魚を追いかけているのだろう。

〈鳰どりの ひょいと顔出す 水の面〉放浪
子 季語・鳰どり(冬)

11月21日〔火〕快晴
福岡空港への米軍機の離着陸が増えて
いるらしい。
いよいよ緊迫の度が増している。
福島県郡山市では会津からの雪が
しきりに飛来しているようだ。
寒いだろうが、雪ならばまだ良い。