河村龍一の「月の癒し」~銀河鉄道の夜

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「全国犯罪被害者の会『あすの会』6月解散に思う」

2018-05-12 22:34:57 | 日記

今宵、「銀河鉄道の夜」に訪問していただき、ありがとうございます。

現実世界に疲弊した皆さまを、夢とロマンの時空にご招待いたします。

 

 

 

「司法に絶望した、加害者を社会に早く出してもらいたい、そうすれば私が殺す」

 

当時、非常に衝撃的な言葉でした。

死刑を求刑されていた犯人の少年に「無期懲役刑」の判決が下り、納得がいかなかった本村さんは、報道陣の前で無念の涙を浮かべ、わき出る怒りをこらえながら全身を震わせ、しぼり出すような声でコメントしていました。

本村洋さんは「光市母子殺人事件」の被害者遺族でした。

 

このとき、本村さんの悲痛な訴えにより、犯罪被害者と遺族という「特殊な事情」を持った人々の存在が、初めて一般社会に広く知れ渡るようになりました。

 

その後、本村さんは全国犯罪被害者の会「あすの会」(以下、「同会」)の創設に携わるなどして同会幹事に就き、同会代表幹事などを務めてきた元日弁連副会長、岡村勲弁護士(88歳)さんたちとともに、次に記したとおりの様々な活動に尽力してきました。

「犯罪被害者の権利の確立」、「被害回復制度の確立」、「犯罪被害者の支援活動」、「犯罪被害者の法律相談」、「犯罪被害者の法廷への付き添い」、「被害者同士の交流会の開催」、「犯罪被害者の報道被害の救済」、「犯罪被害者のシンポジウムの開催」、「犯罪被害者の会の広報活動」、「死刑制度存置及び早期執行を求めて被害者遺族の『仇討ちという違法行為』の防止」等。

 

あすの会が全国各地での署名活動や国への働きかけなどさまざまな活動に取り組んだ結果、平成16年に被害者の権利の保護を初めてうたった「犯罪被害者基本法」が成立しました。

 

さらに、被害者が加わることができなかった刑事裁判の改革も訴え、平成20年には被害者が法廷で被告に質問したり、検察官とは別に求刑したりできる「被害者参加制度」が実現しました。これによって、事件の内容も知らされず、かやの外に置かれるような状況だった被害者が、法廷の中に入り、被告に直接質問したり、検察官とは別に求刑したりすることができるようになりました。

 

とりわけ、同会の最大の功績としては、2009年、代表幹事の岡本氏と同会会員が千葉景子・法務大臣を訪れ、公訴時効廃止の要望書を提出し、翌2010年に国会において刑事訴訟法が改正され「殺人事件等の公訴時効」が廃止されたことが挙げられます(刑事訴訟法第250条)。これで、凶悪殺人事件の犯人は「逃げ得」することができなくなりました。ざまあみろ! ですね。被害者の無念を晴らしたい犯罪被害者遺族にしてみれば当然の改正でした。

 

全国犯罪被害者の会の通称をあすの会としたのは、今日は苦しいが、「あすはきっとよくなる」という願いを込めているから、との理由だそうです。

 

ある日突然、平穏に暮らしている皆さんの目の前で、見ず知らずの男たちにより最愛の家族が凌辱された挙句、殺害されてしまったとしたら、皆さんはどのような心境になるのか想像してみてください。

皆さんがひとたび、「犯罪被害者や遺族」となってしまった場合、それは大変な災厄が降りかかったことになります。残された皆さん(遺族)にしてみれば、事件があったその日から、「心の底から笑える幸せな日々は永遠に消滅する」ことになるのです。警察当局からの事情聴取に加え、裁判では「忘れたい事実」を何度も聞かされてしまい、マスコミからは興味本位で「取材攻撃」されてしまう始末です。事件の後遺症から仕事などもできず、経済的にも貧窮した生活を過ごすことになってしまうのです。

 

このことは、皆さんにしてみれば「絶対ありえない出来事」ですが、「ありえない犯罪」の被害者や遺族の人々が集まってできたのが「あすの会」でした。

ちなみに、前記本村洋さんや「桶川ストーカー殺人事件」被害者遺族のご両親たちは、「全国犯罪被害者の会『あすの会』」の幹事です。

 

なお、「桶川ストーカー殺人事件」ですが、私は鳥越俊太郎氏の『ザ・スクープ』で同事件の真相を知りました。同報道番組が行った調査報道によると、警察のズサンな対応が原因で事件は発生したそうです(所轄の埼玉県警上尾署が被害者と家族からの被害相談を極めてずさんに扱っていたことが明らかとなり、警察不祥事としても注目され、警察から3人の懲戒免職者を含む15人の処分者を出した)。

同番組視聴後、私は怒りが充満してしまい、埼玉県警本部に直接抗議しようと思い即、電話してみました。しかし、いっこうに相手方は電話に出なかったのです。そうなると、出るまでかけまくってやれ、とますます憤り、私は数十回も電話しましたが結局、その日は「相手方の居留守対応」により抗議できませんでした。

 

現在、あすの会の代表幹事は松村恒夫氏です。私は拙著「真夜中の看守長」、「闇サイト殺人事件の遺言」の執筆に際し、松村氏には大変お世話になりました。

松村氏は犯罪被害者や遺族の心境をこう語っています。

 

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ところで、「あすの会」が、本年6月で解散することになるそうです。

「あすの会」は3月11日、都内で会合を開き、元代表幹事の弁護士岡村勲さんが、これまでの取り組みで成果を得られたとして、活動の期限を今年6月とすることを提案し、了承されたといいます。

 

 

 

「ほっとするのと同時にとてもさみしいです。これからの被害者に自分と同じ苦しい思いをさせたくないという一心で会員たちは全国を飛び回ってきました。これがいろんな人の心を打ったのではないでしょうか」

岡村さんはこれまでの活動を振り返り、このようにコメントしていたそうです。

 

岡村さんは、会を発足させた理由については、

「自分が当事者になり、初めて犯罪被害者に全く権利がないことに気づきました。国は正義のための刑事司法と言いながら、被害者はその刑事司法の犠牲にされているだけでした」と、述べたとのこと。

 

 

 

そして、18年にわたる活動の思いをこう語っていたそうです。

「基本法や基本計画、それに裁判への参加の実現で、犯罪被害者はようやく人として扱われるようになったと思っています。今では行政による支援も増え、被害者の人たちは以前のように私たちの所へ来なくてもよくなりました。私たちの目的は一定程度達成したと思っています」と。

 

「あすの会」の皆さま、本当にお疲れ様でした。

今後、健康に留意して頂き、末永く皆さまの「明日」が続きますよう、心からお祈り申し上げます。

 

ただ、私としましては今回、同会の解散については「犯罪という大海原を巡回中の大型救助船」が突然消失してしまったかな、という不安な思いが払拭できません。

 

連日、このような凶悪犯罪が発生し報じられています。

被害者遺族の方が本当に気の毒です。「絶対ありえない残虐非道な事件」です。

警察当局は一日も早く犯人を逮捕してください。ほかの子どもたちが心配です。

 

国会はいつまでも「モリ・カケ問題」なんかやっていないで、凶悪犯罪の抑止施策(刑法厳罰化、死刑早期執行制度)及び犯罪被害者救済制度の拡充について、今こそ早急に取り組んでほしいものですね。

 

 


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