岩切天平の甍

親愛なる友へ

モウロク

2008年07月18日 | Weblog

 一夜明け、支局のエレベーターの中で支局長のWさんに「お、ブラジル行くんだってな、よろしくなっ。」と威勢良く声をかけられ「はあ。」と生返事。隣に立っていた事情を知るプロデューサー氏がむふふ。

幸い、同業のNさんが最近ブラジルに行った時のビザが残っているので、替わってもらえるとのこと。航空券変更のタイム・リミットは今晩7時と言われた。それまでに見つからなければ、ブラジル行きは交代となる。

タクシー会社からは「見当たりません。」との返事。
そして昨日のバーへ。
金曜日にバーが休みだとは考えにくい。誰かが来るのを待って、もう一度捜させてもらおう。

日系の、通称“おねえちゃんバー”が並ぶ通り。夕方になると彼女達が出勤して来る様子が興味深い。あまり長い時間、そこに立っているので、近所のドアマンがいぶかしそうに見ている。これじゃ、いかにもおねえちゃんをつけ狙うストーカーじゃないか。

これまで物をなくした時は、どうやってなくしたのか見当がついたものだけど、今回は大して飲んでもいないのに全く心当たりがない。
一体オレはそんなにまでモウロクしたのか?
カバンを無くした事よりもそっちの方のショックが大きかった。
もう酒は一切やめたほうかいいかも・・・。

日が暮れて七時を回っても誰も現れない。仕方がないと携帯を取り出す。
「すいません、カバン出て来ないので、航空券を変更してもらえますか。」
八時、やっと従業員が来て、もういちど店の中を見せてもらうも、やはり見当たらず。もし、外から来た誰かに盗まれたのなら、そこら辺の茂みにでも捨てられていないかと、近所をうろうろ、ゴミ箱をあさる。
これを最悪と言わずして何を最悪と言おう・・いやはや情けない・・。

とぼとぼと家に帰り、黙りこくって夕飯を食べていると電話が鳴った。
「あのー、さっきのバーの者なんですけど。昨日来たアメリカ人のお客さんが『知らないカバンがウチにあった』って持って来たんですけどー。」
「オーっ、お・や・じー!!」
あわててプロデューサーに電話をすると「カバンがあっても中身があるとは限りませんよねぇ。」と冷静なお言葉。「うぇーん、ごもっともー。」

ブラジル行きは首の皮一枚で復活した。

支局ではアナウンサーのUさんが「何だか調子に乗って酒飲んでタクシーに忘れたらしいよー。」と、みんなでにやにやしてたらしい。

つまんないオチで恐縮。


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