Yacht TEMARI blog  ヨットてまりのブログ

2011年スペインを出発、3年かけて地中海を一周。その後カリブ海へ渡り、ヨーロッパに戻って航海中のきままなヨットの旅です

10月24日(水)~11月3日(土) 今年最後の航海。クロアチアから再びイタリアへ

2012-11-04 | 旅行

1024() 午前8時前にHVARの岸壁の舫いを解く。イタリアからクロアチアに戻って以降穏やかな風が続いていたが、今日は20ノットを超える向かい風が吹き、てまりのデッキは久しぶりに潮を被った。

 

午後1時過ぎ、LASTOVO島のUBLIに到着。ここは周囲を島に囲まれた天然の良港で、通年出入国管理官が常駐するところだ。てまりは定期船の着く岸壁の一番奥にサイドバイさせてもらったが、着いてみるとUBLIはほんとうに小さな村。ミニスーパーとレストランが1軒ずつあるだけで他に何もない。余ったクロアチア通貨を使ってしまいたかったので、たった一軒のレストランに行く。ママンの素朴な家庭料理と島のローカルワインは美味しかったし、サービスで出してくれた地元の生ハムは抜群だった。そして値段も驚くほど安かった。

クロアチアには、途中のスロベニア・イタリア滞在を挟んで約1か月間滞在したが、まだまだ行ってみたいところは沢山あり心残りな出国だ。大自然の作り出した最高のクルージング環境と、まるで絵に描いたように中世のままの姿を保つ数々の町。それらを見事に維持管理しているクロアチアの人達には敬意を表したい。前に書いたが、クロアチアでのクルージングは何かにつけて金がかかる。しかし、高い金を払っても何処の泊地もきちんと管理され気持ちよく利用できるところは、安くてもひどいマリーナが多いギリシャや、満足な設備が無いのに法外な料金を取るマリーナもあるイタリアと対照的だ。クロアチア人の気質なのか、いやもしかすると歴史的にベネチアの支配が長かった場所柄、ベネチア商法のしたたかさを学んだのかもしれない。

 

4度目のアドリア海横断

1025日(木) まだ夜の明けきらない520UBLIを出航、60マイル離れたイタリア・VIESTEへ向かう。

これで4度目のアドリア海横断になるが、今回が距離は一番短い。朝曇りの中、大型のカツオが立て続けにヒット、今年1番の50㎝クラスが釣れた。今年の釣果で見ると、晴れて海が穏やかなときはほとんどダメだが曇天で波がある時に良く釣れている。やはり、良く見える時は魚君も疑似餌を見破ってしまうようだ。

1026日(金) VIESTEには2泊する予定だったが、週末にかけて南の強風が吹く予報だったので滞在を1日で切り上げて、朝6時過ぎBARIに向かった。再び56マイルの長丁場だ。午後から次第に南寄りの風が強くなる予報どおり次第に風が上がり最後の3時間は20-25ノットの向かい風になったが、午後4時過ぎBARIの港に入航することができた。

BARIの町ははっきりと二つの顔を持っている。ヨーロッパの他の町同様狭い路地が迷路のように交差する旧市街と、ナポレオンの義弟によって区画整理された、札幌のように広い道路が碁盤の目のように整備された新市街。どちらも歩いてみると中々素敵な町だ。旧市街にある、BARIの守護聖人を祀ったSan Nicola教会はその大きさと天井を飾る宗教画に目を見張った。広い教会の敷地には管理事務所や博物館もあり教会そのものも極めてきれいに修復されており、BARI市の力の入れようが感じられる。

 

サマータイム終了を知らず、とんだ大失敗

1028日(日) 独特の円錐形の屋根を持つ家(Trulli)で有名なAlberobelloまでちょっとした小旅行に出かけた。朝8時半のバスに間に合うようにタクシーを予約してもらい、8時少し前に待ち合わせ場所に来たタクシーに乗ってBARI駅のバス乗り場に行った。しかし、8時半を過ぎても一向にバスが来ない。近くにいた人に確認したが、バスの乗り場も出発時刻も間違いない。9時過ぎにタクシーの運転手という男から電話があり、待ち合わせ場所に来て待っているという。どうやら我々は予約したタクシーではなく、たまたま通りかかったのに乗ってしまったらしい。それにしても、なんで1時間も経ってから電話をかけてくるのだろうと思いながら事情を説明し電話を切った。更に10分ほど待ってもバスが来ない。次のバスは12時半まで無いのでAlberobello行を諦めてチケット売り場に払い戻しに行ったのだが、売り場は閉まったまま。ツーリストインフォメーションに助けを求めに行くと、9時から開くはずのオフィスがこれも閉まったままだ。まったくイタリアという国はすべてがいい加減だと腹を立てながら近くのカフェでカプチーノを飲み、バスでマリーナに戻った。丁度マリーナのオーナーが居たので今日のいきさつを話したところ、「サマータイムが昨日で終わったので今日から時計を1時間遅らせないといけないのを知っているか?」と言われた。 その一言で、タクシーの運転手の電話も、バスが来なかったことも、インフォメーションオフィスが閉まっていたこともすべて納得できた。我々が1時間間違えて行動していたのだ。日本でサマータイムという習慣のない我々がまったくそのことに注意を払っていなかった事がすべての原因だった。(-_-;)

 

今年のクルージングをイタリア・BRINDISIで無事終了!

1029日(月)今日が今年のクルージングのラストラン。63マイルの長丁場なので BARIを朝6時出航、冬の間船を置いておくBRINDISIに向かう。予報では風がやや強めだが、オフショアの風でほぼアビーム(横風)となっていた。ほぼ予報通りの風で平均6ノット以上をキープした快適なセーリングで今年を締めくくることができた。

BRINDISI入航直前には今年のクルーズ無事終了を祝福してくれるかのように、完全にアーチになったきれいな虹が迎えてくれた。 午後4時前、Marina Brindisiに舫いを取る。

 

1031日 () 

Marina Brindisiはドライドックが無いため、マリーナでシート類の塩出しや船内の片づけなど一通りの事を済ませ一昨日、今冬船を上架しておくNaval Balsamoに移動した。上架して船を整備するのがメインのNaval Balsamoは広大なBrindisi港の最奥に位置するため、波も風も入らず町まで近くて便利なところにある。ここは昨年船を置いたトルコの広大なDIDIM Marinaとは対照的に、Balsamo兄弟が経営する日本にも良くある程度のちいさなドックだ。二人とも若い頃はヨットレースに夢中だったらしく、ヨットには詳しいので整備も安心して頼めそうだ。今日船をクレーンで吊り上げてドライドックに上架した。

 

113日(土)

半年間生活した、てまりの後片付けと今年の冬にやってもらう整備項目の打ち合わせなどで4日間を過ごした。

Brindisi到着の1日後には真理が、その2日後にはボクが続けて急性腸炎にかかりダウン。せっかくイタリアに来て美味しい食事を楽しみにしていたのだが、のどを通るのはおじやなどの流動食だけ。船の整備中は残った日本食材の整理を兼ねて一切外食しなかった。やはり、溜まっていた疲れがどっと出たのかもしれない。

 

2年目の今年は182日間、3,600マイルをクルーズ

 

51日にトルコ・DIDIMを出航して1029日イタリアのBRINDISIで航海を終了するまで、東地中海を約3,600マイル(約6,000㎞)クルーズした。昨年より400マイルちょっと長い距離を走ったが航海日数も40日ほど長いため、1日平均走行距離は昨年より1割減って約20マイルだった。(航海時の1日平均走行距離は41マイル) 自分たちの辿った航跡を地図で眺めてみると、やはり良く走ったと思う。訪問した国は全部で11か国、訪れた都市は80を超える。それぞれに様々な思い出があるが、EMYR(東地中海ラリー)の参加と、その際に訪問したイスラエルは色々な意味で心に残る旅となった。

2年目の今年は船に慣れたお蔭でトラブルはぐっと減り(笑)、様々な工夫や改良の成果で狭い船でも快適に過ごせるようになったことは特筆できる。

明日から10日間ほどレンタカーでナポリを中心にアルベロベッロ・アマルフィーなど南イタリアを回り11月中旬に帰国予定。

来年は4月から地中海クルーズを再開し、当初の計画では年末に大西洋を横断してカリブ海へ向かう事になっているが、地中海周辺海域があまりにも魅力的なため、更にあと1年延長する可能性も出てきた。それについては日本に戻ってからじっくりと検討するつもりだ。

 

今年の「てまりブログ」はこれで終了します。

皆様からの暖かい励ましの言葉やコメントで、どれほど元気が出たかわかりません。ブログやフォトギャラリーに関するご意見・ご希望などありましたら遠慮なくブログコメントまたはメールでご一報ください。来年4月から再開するまでしばらくお休みさせていただきます。半年間ご愛読ありがとうございました。

 

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2012113日 イタリア・ブリンディシにて

ヨットてまり キャプテン

関山 光二