Yacht TEMARI blog  ヨットてまりのブログ

2011年スペインを出発、3年かけて地中海を一周。その後カリブ海へ渡り、ヨーロッパに戻って航海中のきままなヨットの旅です

7月10日~7月19日 オランダの運河クルーズ

2016-07-18 | 旅行

ベルギーから運河の国オランダへ

7月10日(日)ベルギーのZeebruggeを出航し、約50マイル先のオランダ・Stellendamに向かう。この辺りから水深10m以下の浅い海が続いている。海の色は濁った黄緑色。東京湾のような色だ。ところどころにある浅瀬を避けて水深が確保された航路を、浮標を頼りに進む。

夕方5時ごろ、跳ね橋とロックを通過してStellendamのマリーナに入港。マリーナの中には子育て中の白鳥が泳いでいて、ここが汽水域だということがわかる。周囲を見渡しても、まったく山がない平地が広がっている。ここからしばらくはオランダ運河の旅が始まる。

国中に運河が張り巡らされているオランダやドイツには、Mast stand routeと言われる、マストがあるヨットでも通行可能な運河がある。それらの運河にかけられた橋はすべて跳ね橋で、ヨット通行時には橋を開けてくれることになっている。

最初の運河クルーズはRotterdamまで

7月12日(火)、昨日は終日強風が吹き荒れたため、一日延期して朝8時過ぎにStellendamのマリーナを出港。30分ほど湖のような場所を走ったあと運河に入る。運河から眺める景色は、羊がのんびりと草を食べる牧歌的な風景に始まり、家並みが続き高層マンションが建つ都会の風景に変わった。

その先は連続して2つの大きな橋を通過するため、無線でブリッジコントロールを呼ぶが返事がない。10分近く待っていると突然橋が開き始めた。振り返ると大きな本船が近づいてくる。この船を通過させるために我々は待たされたようだ。2つの橋を通過して、巨大な本船が通れる大きな運河を右折すると間もなくRotterdamの町だ。

マリーナの手前に再び大きな橋があり、トラムや車が頻繁に通っている。午後2時過ぎに到着しブリッジコントロールを無線で呼ぶと、今度は英語で返答があり、次のオープンは午後3時半だという。きちんと橋の開脚時間をチェックして来なかったのが失敗だった。大きな運河のため頻繁に通るはしけや遊覧船の引き波に揺られながら、近くの岸壁に舫いをとり1時間半近くも待つのはしんどかった。

オランダ第二の都市Rotterdam

7月13日(水)、昨日マリーナに入る前に待たされた橋をトラムに乗って渡り、Rotterdamの中心街に出かけた。第二次大戦で大きな被害を受けた町はモダンで洗練された町に生まれ変わった。少し離れた場所に旧市街がある。そこも同様に被害を受けたが旧い街並みを再現し、オランダらしいレンガ造りの家が立ち並んでいる。

しかし町のにぎわいは断然新市街で、旧市街は歩く人も少なく、立ち並ぶお店も安売り店が多い。旧市街の運河には昔荷物を運んでいたはしけが沢山係留されているが、よく見るとそれらの船は「住まい」として利用されているようだ。

国土の四分の一が海よりも低いと言われるオランダは運河と自転車の国だ。一番高い山は標高300mちょっとで、それも隣国と分け合っているという。大きな町でもいたるところに運河があり、跳ね橋が架けられている。また、坂がないためか自転車が非常に多く、都市の主要道路にはゆったりとした自転車専用レーンが設置されており、電車にも自転車の持ち込みは自由だ。マナーは良く、歩行者専用道路では押して歩いているし、道路の逆走行もない。最近日本では自転車の無謀運転による事故が問題になっているが、行政担当者はオランダの自転車通行の実態を少し勉強するべきだと感じた。

Rotterdamからチーズの町Gouda

7月14日(木)Rotterdamを出航、17マイル先のGoudaに向かう。この運河ルートには3つの橋と1つのロックがある。すべて、それほど待ち時間なく通過することができ、Goudaのマリーナに午後1時過ぎに到着。

Goudaは日本でもおなじみゴーダチーズの生まれ故郷。夏場は毎週、今日木曜日にチーズ市が開かれると聞き楽しみにしていたが、午前中で終わってしまい見ることができなかった。しかし町にはチーズ専門店が沢山あり、試食しながら様々なチーズを手軽な値段で買うことができた。

運河に囲まれたGoudaの町はど真ん中の広場に可愛らしい市庁舎がある素敵な町。周囲の運河には沢山ハウスボートが浮かんでいる。電気も水道も引いており、町から正式な許可を得て生活しているようだ。

日本文化ゆかりの地Leidenを訪問

翌日電車に40分ほど乗ってLeidenという町を訪れた。Gouda同様運河と水路に囲まれた町には、日本にゆかりの深いドイツ人医師シーボルトが住んでいた家があり、現在は日本文化センターとして日本を紹介する展示が行われている。入口の表示から案内板、上映されているビデオのテロップまで、すべて英語と共に日本語で表記されているのに驚かされた。

オランダの運河航行は跳ね橋との戦い

7月16日(土)Goudaのマリーナのすぐ先にある、鉄道が走る橋のオープンに合わせて午前8時15分に出航する。

今日の行程には31もの跳ね橋がある。目的地まで31マイル(約55㎞)なので、平均1マイルに1つあることになる。最初のうちは先行するヨットや本船の後ろについて行き、ほとんど待つことなく橋を通過できたが、次第に増えてきたヨットの数に伴って待ち時間が多くなってきた。更に午後からは風も強くなってきたため、狭い運河の中、待機桟橋もない跳ね橋の手前でエンジンのスロットルを調整しながらブリッジの開脚を待つのが一苦労だった。

跳ね橋は、鉄道や高速道路が走る特別なものを除いて、船が近づくと監視員が見ていて開けてくれることになっているのだが、やはり交通量が多い橋はしばらく待たないと開けてくれない。待ち時間が状況によって大きく違うので大変だ。今日の目的地Spaandamのマリーナに舫いを取ることができたのは午後5時15分。出航してから9時間後だった。

オランダの首都Amsterdam

7月17日(日)SpaandamからAmsterdamまではわずか9マイル足らずだが、アムステルダム手前の橋は交通量が多い自動車道路が通っているため開脚時間が決められており、昨日はやむを得ずSpaandamに一泊したのだ。朝9時15分に出航、自動車道路の橋もすんなりと通過してアムステルダム運河に入ると、そこは大型の貨物船が頻繁に通る巨大運河だった。

午前11時過ぎ、大型船の合間を縫って巨大運河を横切り、町の対岸にあるAmsterdam Marinaに舫いを取る。

国際都市アムステルダム

てまりが停泊したマリーナから町に行くには、徒歩5分ほどの場所にある桟橋から、市が運営するアムステルダム中央駅に行く渡し船に乗る。これが早朝から深夜まで30分おきに運行し、しかも無料で市民の足になっている。巨大運河にはほとんど橋がないため、こうした渡し船が必要なのだろう。

そして、町を歩いて改めて自転車の多さに驚く。駅前はもちろんいたるところに自転車置き場があり、そこらじゅう自転車だらけ。そして運河の多さ。さすがに首都アムステルダムの運河には跳ね橋はかけられていないが、運河も重要な交通路になっていることは間違いない。古くから世界最大の港町として発展してきたこの町は国際色豊かな町だ。イスラムの人たちも多く、オランダが宗主国だったインドネシア・アフリカ・カリブの国など様々な人種が生活しているため、町の色彩がそうなってしまうのだろう。

てまりはベルギーからオランダに渡るときに、オートパイロットをコントロールする油圧ポンプのオイル漏れに気が付き、それを修理するためこの町にしばらく滞在せざるを得ないことになった。

これを良い機会として、様々な顔を持つアムステルダムの町を楽しむつもりだ。

てまりの現在地はこちらから、フォトギャラリーはこちらからご覧いただけます。



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