Elbe-Stein canalからMittelland canalへ
6月18日(日) Elbe-Seiten Canalの中間地点にあるUelzenのマリーナを朝7時半に出航する。すぐ先にこの運河2か所目、最後のロックがある。30分ほどでロックに到着し、今度は正しい無線チャンネルでロックキーパーに英語で呼びかける。ドイツ語の会話が聞こえてくるので相手に通じていることは間違いないのだが。何度呼んでも応答がない。しばらくすると、昨日同じマリーナに停泊していたオランダ船籍のプレジャーボートが我々の後ろの待機場所に舫いを取ったので状況を話に行く。昨日同様彼らが我々の代わりにロックコントロールにコンタクトしてくれた。ロックキーパーは英語が話せないようだ。待つこと1時間、その船と一緒にロックに入ることができた。このロックの高低差は30m弱。昨日と合わせて二つのロックで60mちょっとの高度を獲得したことになる。
ヨーロッパ運河通行に欠かせないライセンス
ヨーロッパの運河や川は国境を越えて縦横に結ばれており、今日でも重要な輸送ルートとなっているため、CEVNI(Code Europeen des Voies de la Navigation Interieure)という共通の交通ルールが定められている。運河には様々な標識が設置されており、警笛による信号も色々あるため、それらをしっかりと覚えなければならない。
RYA(伝統あるイギリスのヨット協会)が発行するCEVNIルールブックを購入し必死になって勉強、オンラインテストを受けRYAが発行するCEVNIライセンスを取得した。ドイツの河川はルール違反などに厳しいと聞いているため、これはヨーロッパ運河クルーズには最低必要条件だ。
遅い運搬船の追い越しに冷や汗
ロック通過後、サポートしてくれたオランダ艇は前をゆっくりと進む運搬船をさっさと追い越して行ってしまった。我々はその運搬船の後に付いて行ったがペースが遅すぎたため、途中で追い抜くことを決断、船が運河のほぼ真ん中を走っていたため、警笛で右から追い越すと伝えてスピードを上げた。50mほどの長さがある運搬船は中々追い越せない。そのうち対向する船が見えてきた。エンジンの回転数を4000回転近くまであげてじりじりと前に出て、ぎりぎりのところで追い越すことができた。
対向船が見えていなかったこちらが悪かったのだが冷や汗が出た。
午後3時過ぎ、Mittelland canalに入り西に向かう。午後4時、5㎞ほど行ったところにある小さなマリーナに舫いを取る。マリーナにはほとんど船がいない。それも道理で、水・トイレ・シャワーなし。唯一電気だけがとれるが町も遠く何もないところだった。明日はHannoverという大きな町のマリーナに行く予定なので、今日はここで我慢することにした。
Mittelland canalは全長325㎞、ドイツ北部を横断し西はオランダ・ベルギー、東はベルリンを通りチェコやポーランドに行く重要な交通ルートとなっているため、チェコなど東欧の運搬船も多数運行している。この長い運河にロックは3つしかない。いかにドイツ北部が平坦な地形なのかがわかるが、それにしてもロック間の一番長い距離は200㎞近い。その間運河はわずかな高低差も無く完全に水平に作られているのだから、ドイツの技術力の高さに敬服する。
緑豊かな大都市Hannover
6月19日(月)何もないマリーナを朝7時過ぎ出航、午後2時今日の目的地Hannoverのマリーナに舫いを取る。自らてまりの舫いを取ってくれたマリーナのマネージャーが、我々が日本から来たと知って、マリーナのフラッグの横に日の丸を掲げてくれた。
王家ゆかりの都市Hannoverは緑の多い街だ。第二次大戦の空襲で旧市街の大半は被災したが、元市庁舎や教会と一部の建物が昔のままの姿を残している。
6月21日(水)Hannoverのマリーナを出航、Mittelland canalを西に進む。今日はロックが無いため90㎞近く走り、午後3時20分Lubbeckeのマリーナに入港。運河沿いのマリーナはみな小さく停泊場所の確保が大変だ。運河を通るヨットに出会うことも多いが、ほとんどが倒したマストを船に載せて走っている。てまりの場合マストは船の長さより3mほど長いので、狭い泊地に入港する際やロックでは前後に出っ張っているマストは接触のリスクが大きい。悩んだ末、金はかかるがマストだけ地中海のマリーナまでトラックで運送してもらうことにしたのだ。
6月22日(木)今日も70㎞以上走りReckeのマリーナに舫いを取る。運よくてまりが入れるスペースが一つだけ空いていたためそこへ潜り込む。
Mittelland canalからDortmund Ems canalへ
6月23日(金)朝7時半過ぎに出航。15㎞ほど走ったところでT字型のジャンクションにぶつかる。Dortmund Ems canalだ。そこを左に折れて50㎞ほど行って4日ぶりにロックに出会う。
かなりロックの通過方法も手慣れてきた。ロック手前のウェイティングゾーンで15分ほど待つとロックの信号が赤から青に変わりロックに入る。今日のロックにはオートマチックのボラード(船を繋ぐための杭)があり、そこに船を舫うと水位に応じて上下してくれるので舫いを掛けかえる手間が無く安心だ。
Munsterの土曜市で食料品の仕込み
6月24日(土)昨日Munsterヨットクラブのマリーナにかろうじて船を舫うことができた。小さなマリーナは文字通り満杯状態。火曜日のHannover以来大きな町に寄っていないため、ここで買い出しをする必要がある。ある程度の規模の町では週2回町の広場でオープン市場が開かれる。Munsterでは丁度土曜日の今日市場が開いていた。お店はすべて改造された車両だ。そのまま明日は別の町に行って店を開くのだろう。ドイツらしい機能主義に感心する。市場に並んでいる商品を見ると、その地方の特徴が良くでていて面白い。久しぶりにイカやエビなど種類豊富な魚屋を見つけ購入したが高いのにびっくり。レシートを見ると帆立貝柱が100g700円と日本で買う牛肉並みの値段だった。ドイツに居る間は種類豊富で安いソーセージやハムなどの加工肉を食べていた方が良さそうだ。
6月25日(日)Munsterから56㎞走って、Dortmund-Ems canalの終点、サッカー香川選手で有名なDortmundの入口にあるLunenのマリーナに到着。
近くの町で歯の治療
6月26日(月)数日前歯にかぶせてあった金属が取れてしまったため、マリーナのスタッフに頼んで歯医者の予約をしてもらった。5㎞ほど先のDattelnという小さな町に自転車で行く。町に行く途中では閉鎖されたガソリンスタンドや空き店舗が目立つ通りがあった。自転車屋の店頭にはスポーツ自転車ではなく、お年寄りが乗る電動カートがずらりと陳列されている。こちらでも日本と同様、過疎化・高齢化が急速に進んでいるようだ。
6月27日(火)Rhein-Herne canalをオーストリアに戻るというパワーボートと共に西に向かう。途中5つのロックがあるため、マリーナで出会ったその船ににロックの呼び出しなどについて聞くと、我々も同じ方向だから一緒に行かないか?と言われ、同行させてもらう。てまりの分も一緒に呼んでもらうのでこちらはその船について行けば良いだけだ。どのロックもほぼ待ち時間なく順調に通過することができたが、途中舫いを取ってもらったりロックの中でサイドバイさせてもらったり、すっかりお世話になってしまった。午後2時過ぎ最後のロックを通過し、ライン川を遡るその船と別れ、我々はライン川に入ると右に曲がり下るルートを取る。
ライン川のジャンクションには大きなオレンジ色の目印とその下に無線のコールチャンネルが書いてある。今日は10分ほどライン川を下った右側にあるRuhrorterというマリーナに舫いを取る。このままライン川を下ると2行程めにはオランダに入る。ドイツ滞在も残りわずかだ。
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