Yacht TEMARI blog  ヨットてまりのブログ

2011年スペインを出発、3年かけて地中海を一周。その後カリブ海へ渡り、ヨーロッパに戻って航海中のきままなヨットの旅です

12月8日~12月17日 スペイン領カナリー島からカーボヴェルデへ

2014-12-18 | 旅行

12月8日(月)午前9時45分、グランドカナリー島Las Palmasのマリーナを出航、約900マイル(1,700㎞)南のCape Verde諸島Mindelo島に向かう。6日間ほどの航程なので、それほど長い航海ははじめての真理がどれだけ頑張れるか。もっとも今航程からは、太平洋を一回りしその後も長距離航海をいろいろ経験している長尾さんという頼もしい助っ人が乗ってくれているので、ボクも気持ちの上で随分と楽だ。

マリーナには、Almerimarからモロッコ、カナリーとつかず離れず航程を同じくしているヨットSAHULAのDavidと、現地にお住まいで色々とお世話になった佐藤さんが見送りにきてくれた。楽しい思い出を残してラスパルマスを後にする。

 

Grand Canary島の東側を抜けるまではやや上りの航程だが、それを過ぎると斜め後ろから風を受けるリーチングのレグになった。平均20ノット以上の強い風が吹いているため日没前にメインセールを降ろし、ジブとステースルの観音開きにするが、夜半には更に風が強まり1/3ほどにリーフしたジブ1枚で7ノット以上のスピードで快走し、初日はデイラン(24時間走行距離)170マイルを記録した。

長尾さんに教えてもらい、今回の航程から、SPOTというアメリカ製の位置情報発信器を使い始めた。手のひらに収まる程度の小さなデバイスがすごい機能を持っているのだ。現在の位置情報を自動的にサイトにアップしてくれるので、だれでもそのSPOT所有者の位置が確認でき、更に登録した10件までのメールアドレスにも位置情報を送ってくれる。緊急時はSOSボタンを押すとコーストガードなどに連絡されるのだ。こんなすぐれた道具が2万円弱で買える。通信料金として月1000円程度の支払いが発生するが、命を守る道具と考えれば安いものだ。

ところが、このSPOTは日本での使用は許可されていない。これがあれば、毎年沢山の命が失われる山岳遭難を大幅に減らすことができるし、子供の誘拐防止や徘徊老人の捜索など様々な用途で使えるはずだが。

12月10日(航海3日目)

今日も日中一時風が落ちたが、夜半から再び吹き始め、終始メインは張らずジブとステースル、あるいはリーフしたジブ一枚で快調に距離を稼ぐことができた。カナリー諸島は奄美大島とほぼ同じ緯度に位置する。現在北緯23度付近を南下しているが、明日には北緯21度、ハワイと同じぐらいの緯度まで下がるのでかなり暖かくなるはずだ。

12月12日(航海5日目)

現在位置は北緯22度7分。ほぼハワイ諸島の緯度まで下ってきたが、曇っているせいかあまり気温が上がったようには感じられない。ボクはおとといから喉の痛みがひどくなり咳も出て完全に風邪の症状。昼夜通じて3時間のウォッチ体制を組んでいるので1日15時間のオフタイムがあるが、そのほとんどを寝て過ごしていた。今日になってだるさも取れて熱も少し下がり、ようやくまともに食事をとれるようになってきた。

船は依然として後方からの安定した風を受けて、順調に距離を稼いでいる。 デイラン160マイル。

Cape Verde諸島サンヴィセンテ島をランドホール

12月14日(日) 航海6日目の明け方、前方にうっすらと島影と街の明かりが見えてきた。我々が目指すMindeloまであとわずかだ。明るくなってから入港するようスピードを押さえて走り、現地時間午前7時45分、サンヴィセンテ島のMarina Mindeloに舫いを取った。ラスパルマス出航から5日と22時間での到着。デイラン(24時間の走行距離)平均150マイル。ほとんどエンジンを使わず、リーフしたジブだけで予想を超えた良いスピードでの航海だった。

クレオール文化の国・カーボヴェルデ

1970年代に宗主国ポルトガルからの独立を果たしたCapo Verde。奴隷交易が盛んだった16世紀、ポルトガルがその交易の中継点として利用するようになって島は発展した。その結果、ヨーロッパ人と黒人奴隷の間で生まれた人たちのあいだで広まった、所謂クレオール文化がこの島でも根付いているようで、カナリー諸島とは全く趣が異なり、町を歩いているとむしろカリブ海の島に一足飛びに来てしまったような錯覚に陥ってしまう。天然の良港であるMindeloはその中心地。と言っても30分で歩いて回れるほどの広さだ。

マリーナで船を片付けていると声がかかった。「Davidから聞いているわ。ようこそ。」 同じ桟橋に舫っていたオーストラリア艇KristianeのCarolynは我々より一足先にこちらに到着とPaddyは、てまりがAlmerimarで知り合ったヨットSAFURAのDavidの友人で彼からてまりの事を聞いていたらしい。彼らもDavid同様アジアからスエズ運河を渡りヨーロッパを回ってオーストラリアに戻る途中という。 その日の夜、マリーナの桟橋にあるバーで色々と楽しい話をしながら、ローカル料理を楽しんだ。

風の町Mindelo

12月17日(水)滞在3日目。

毎日風が強い。Mindeloは島の北側にあるため、強い貿易風がほとんどダイレクトで吹き込んでくる。天然の良港ではあるが、マリーナは防波堤が無いのでうねりが強く、桟橋と共に船は大きく左右に揺れてまるで航海中のようだ。雨こそ降らないがほとんど晴もしない。船の整備も終わり、ボクの風邪もようやく回復してきたので、明日いよいよ大西洋横断の旅に出発する。

目指すはGrenada。距離は約2,200マイル(約4,000キロ) 15日間の航程。年越しは海の上になる。皆さん良いお年をお迎えください。

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