7月2日ヨーロッパ標準時12::30、サルディニア島南端にある首都Cagliariのマリーナに舫いを取った。チュニジアのKelibiaから28時間。東寄りの順風に恵まれ予定より早く到着することができた。
Cagliariは丁度2年前、シチリアに向かう前に立ち寄ったことがある。その頃突然のエンジン停止に悩まされ、強風下セーリングでプライベートヨットクラブの桟橋に乗り上げながら着岸した、ほろ苦い思い出の場所だ。あの時もそうだったが、マリーナスタッフはじめ町の人達は皆とても親切で、気持ち良く過ごせるところだ。町には巨大な常設市場があり、特に魚介類はその種類の豊富さで他を圧倒する。今回は、チュニジアに続いてウナギをゲットした。60㎝近くある大ウナギが500円位だった。おまけに小さなウツボを入れてくれようとしたので、慌てて断った。こちらではウナギもウツボも同じ仲間として売られているのだ。
7月3日(水) 現在トルコ沿岸をクルーズ中のヨットCAVOCの松崎さんの友人で、この近くに住んでいるPaoloが訪ねてきてくれた。1週間ほど前からジェネレーターが起動しなくなったため、マリーナからメカニックを手配してもらったが中々来てくれないとこぼしていたら、ちょっと見てあげると言ってすぐに原因を見つけ直してくれた。何らかの原因で燃料が供給されず、エアを噛んでいたようだ。「イタリアでは、大した故障でもないのに大げさに言って高い修理代を請求されることが多いから気を付けた方がいいよ」とアドバイスを受ける。感謝感謝。
7月5日(金) Paoloから夕食の招待を受け、「ボクの家の近くに安全な入り江があるから、そこに船を泊めれば良い」と言われて、Cagliariから14マイルほど南西にあるPulaの入り江に移動した。小さな岬に昔の見張り台があり、ビーチが広がるきれいな湾だ。東側が完全にオープンなのが気になったが、予報では東寄りの風が吹く気配は無く、アンカーはしっかりと砂地に噛んでいるので大丈夫そうだ。
夕方Paoloが泳いで船まで来て、これからサルディニア島の東岸を北に向かう我々に、マリーナやお勧めのアンカレッジなどをアドバイスしてくれた。テンダーで上陸し、車で彼の家に向かう。5kmほど内陸に引っ込んだ山裾のなだらかな傾斜地に広がる瀟洒な住宅街の一角に彼の家があった。そこからは我々が停泊している入り江が遠望できる。 広々とした庭にアウトドアテラスのある家。目の前には木々の緑と地中海の素晴らしい景色が広がり、住宅地の隣にはチャンピオンコースのゴルフ場がある。我々が夢に描いているようなロケーションに建つ素敵な家だ。
サルディニア島ドライブ
7月6日(土) Pulaの入り江からサルディニア島の東岸を44マイルほど北上、Port Coralloに2泊し更に33マイル北にある、Santa Marina Navaresseのマリーナに舫いを取った。丁度サルディニア島の真ん中あたりまで来たことになる。マリーナから10分ほど坂を登った高台にある小さな町は緑が多く気持ちが良い。町から北側には折り重なるように山が連なっていて、そこから見下ろす景色は絶景だった。
サルディニア島に火山は無いが、険しい山が多くほんの少し海岸から離れると、島に居るとは思えない光景が広がる、緑豊かで水も豊富な島だ。
7月9日(火) 1日レンタカーを借りてサルディニア島北部の大都市Olbiaまで150㎞ほどの道のりをドライブした。往路はカーナビが指定したルートを行ったところ、急峻な山の斜面に沿って走る急カーブの連続で、まるで日本の山岳道路を走っているようだった。山岳地帯の景色は見事だったが、途中でタイヤがパンクするアクシデントもあって、1時間半で到着予定が倍の時間がかかってしまい、Olbiaに着いたのは午後1時を回っていた。
OlbiaはCagliariに次ぐサルディニア第2の都市。北の玄関口で、複雑な海岸線が広がる一帯はCosta Smeraldaと呼ばれ、Porto Cervoを筆頭に世界中からセレブが集まる、ヨーロッパでもトップクラスの高級リゾートが点在するサルディニアで人気のエリア。このあたりはどのマリーナも「超」がつく高級マリーナで値段も矢鱈と高い。 Olbiaにもマリーナがいくつかあるが、調べてみたら1泊200?を超えるところばかりだったので、安い停泊場所を探すことも今日のドライブの目的の一つだった。あたりを付けていたマリーナに行ってみると、そこはプライベートヨットクラブで、町にも近く値段は95?だった。ピークシーズンの今頃はこの値段でも仕方がないのだろう。
サルディニア北部の観光地を少し回る予定だったが時間が押してしまったため、もう一つの目的だった日用品の買い物を済ませて帰途に就いた。帰路は少し遠回りだが、南端の首都Cagliariまで結ぶハイゥエイを余分にドライブするルートを選択。山道は最後の10数キロだけで済み、1時間半ほどでSanta Maria Navaresseに戻ることができた。それでも船に帰り着いたのは午後8時近くになっていた。
Costa Smeraldaに入る
7月11日(木) サルディニア島東岸を47マイルほど北上し、Ottioluのマリーナに舫いを取った。
サルディニアの沿岸はシチリアとは全く異なり断崖絶壁が多く、見事な景観が続く。
Costa Smeraldaの南端に位置するOttioluは、やや高級なプチリゾート。マリーナの施設は平均的だが、停泊値段はいきなり100?近くに上がってしまった。これからしばらくはマリーナをなるべく避けて、安全なアンカレッジを中心に停泊していく予定だ。
今年の日本は早々と梅雨が明け猛暑に見舞われているらしいが、ヨーロッパの6月から7月にかけては極めて快適な気候が続く。ほとんど毎日快晴で、最高気温は30℃前後、最低気温は20度前後で湿度が低い。まるで真夏の高原に居るような爽やかさだ。しかも、サマータイムを取り入れているため、午後9時過ぎまで明るいのも気持ち良い。ヨーロッパに旅行するなら日本の梅雨時を狙うのが絶対にお勧めだ。
7月12日(金)はOttioluから6マイルほど北のPort Brandinghiの入り江にアンカリング、13日は更に4マイルほど北にある、そそり立つ断崖の異形が見事なIsora Tavolaraの入り江でのんびりしたあと、すぐ前のPort Tavernaにアンカリングした。Port Tavernaは緑の合間にお洒落な別荘が立ち並ぶ気持ちの良い入り江だ。
7月13日もIsora Tavolaraの対岸にある入り江でアンカリングしてのんびりした後、14日にOlbiaの港に移動した。Olbiaは湾の入り口から奥まで3マイル以上ある天然の良港で、古くから港として利用されていたところ。我々も下見してきた港の奥にあるアンカレッジに投錨した。ここから町の中心部までは数分の距離。極めて便利なところだ。この先しばらく、Costa Smeraldaと国立公園に指定されているMaddalena諸島をのんびりと巡り、コルシカ島の東岸を北上してイタリアのメインランドに向かう。
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