「西遊記」（第七巻：幽霊の国）

今回の「西遊記」は、何かと怪しいお寺を訪れて…、というところから始まる。

今回は「死」というテーマが前面に出ていたように感じた。
妖怪と対決するときに悟空が発した、

命の価値は長さじゃねぇ。
いつかさよならを言う時に泣いてくれるヤツがいるかどうかだ。
いつかさよならを言う時に残されたもののために泣けるかどうかだ。

という台詞が身にしみた。

本編では幽霊の蓮歌（手塚理美）が登場するが、20年間家族を本気で愛してきたからこそ、蓮歌自身が残された家族のために泣く事もできたし、蓮歌の死を悲しむ家族もいて、幸せに天国へと旅立っていけたのだと思う。
私も葬式の時に、自分の遺影を見て、泣いてくれる人(愛する妻や子供、仕事などで知り合った友人や先輩、上司など……)がたくさんいてくれればいいな…、とも思った。

また、本編では国々を渡り歩いて盗みを働く妖怪が登場したり、黄泉の国から戻る時悟空に「天竺なんかない。」という言葉を浴びせるシーンがあった。
これらを見て、「お前はダメだ。」などといった言葉にくじけて、人生をあきらめてダラダラと過ごしていたり、目先の快楽にふけったりして毎日を過ごしたりしていると、自分がある日突然死んだ時に悲しむ人がいないばかりか、むしろ自分が死んだことを喜ぶ人ばかりなのだろう、と私は思った。
（今回登場した妖怪がいい例だけれども。）

自分が死んで、「あの人が死んでしまうのが惜しすぎるよ……。」と周りから言われるか、「アイツが氏んでくれてせいせいするよな。」（あえてそう書きます。）と言われることになるかは、自分次第だな…、と見ていて感じた。

次回は三蔵法師一行が“時の国”を訪れるそうだ。