排他的論理和

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10月15日(日)
故きを温めて新しきを知る (19)  
友人関係から見る大学
 男子大学生の服装を見るとファッションを気にしているグループと特に気にしていないグループに分かれる。前者は黒い帽子と白い長袖の上に白黒の半袖チョッキ,腰に薄物の上着を巻き,黒いズボン,パンダかホルスタインのように白黒が交互に現れるように着こなしている。このスタイルで教室にだいぶ遅れて入ってくる。こういうファッション系は複数で行動していることが多い。あるきっかけで友人になり,互いに影響を受けて,同じような服装にしているのだろう。

 この学生たちの友人関係は行動をともにすることが目的で,授業は出席カードに署名するためにくるがよもやま話が尽きない。途中退場にも絶対服従という感がする。一人が立てば遅れまいと急いでついて行く。密着行動を旨としていて離れてはいけないのである。偶然が友人関係をつくったのであるが,この関係が育っていく過程で興味関心が同じ者同士なので結びきの強さは大きい。学習にプラスに働く関係同士なら同じ教室で席を隣にして座れる幸せは大きい。特に実習の授業など相談しながらできるからついていけなくなることはない。
 一方単独行動の学生もいる。友人を作るきっかけに恵まれなかったのであろう。昼食はコンビニ弁当を屋上へあがる階段の行き止まりへもっていってするという。だれもいないので人目を気にしないでゆっくり食べられる。しかし,たいていの学生は友人と行動を共にしてキャンパスライフを楽しんでいるようであるが,ともに時間を過ごすことがもっとも多い相手といつどこで友人になったか,入学して10ヶ月後に調査をしたことがある。「入学前から知っていた」者同士でずっと友人という発展性のない者が2割いるが,「入学式やオリエンテ-ションで座席が近かった」者同士が最も多く,4割を占める。その他「各種の共有した時間・場所」が4割である。

 この調査結果を半月後に見せて,ここから読み取れる事柄たとえば「出会いとは」,「大学生活とは」などを書かせてみた。友人作りは最初が肝心だと言う。自分から求めなければ友人は作りにくい。会っていて話をしないで別かれると再び話せないとも言う。出会いの不思議さと大切さを熱く語る者もいる。このような調査は10年前のものであるが,今の学生に書かせたら考え込んでしまい,友人のいないことをどう説明するか悩むであろうし,ファション系の学生は友人をどう評価しているのか見当がつかない。もしかしたら「出会いとは」,「大学生活とは」という問題と次元の違う世界で生きているのではないか。自分たち独自の空間を形成し,その一部を大学が占めている。教師と学生との集合は民主党のロゴマークのような排他的論理和を形成している。
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