TAKE-LOG 竹ログ

TCC・竹島クラフトセンター、35年振りの富士登山 その3

山小屋の寝床に着いた。
一畳に2人が寝ることになった。
今夜は寝られるだろうか・・・、
私は山小屋は苦手である。

仕事を持っていると登山が出来る期間は連休になってしまう、
その期間は山が混んでいるのは仕方がないが、
寝床が狭いのが辛い事である。
だからテント泊ばかりだが、富士山は幕営できる所はない。

しかしここは富士山である一枚の敷き布団に孫と2人が寝た。
やはり眠れない、
私の左は夫婦らしき若いカップルで孫の向こう側も同じで、
私と孫は男性に挟まれて寝たのである。

中学生の孫はとびツきり寝相が悪い、足が隣の男性に当たるらしいのだ。
隣の男性は怒ったように身体で表現している、私は孫の足を抱えて寝る羽目になった。
ここは3000mの小屋だ。外は気温5度だろう小屋の中でなかったら
ダウンジャケットでも震え上がるくらいである、それを思えば暖かく
寝られるだけでも良しとせねばならない。
しかし、小屋の中は人の体温で暑くて眠れない。

寝るのはあきらめてトイレに行きながら外に出て見ると、上空は満天の星であった。
下界では見る事の出来ない星達が総出演で輝いていた。
だが雲海に阻まれているのか東京や下界の町の明かりは見えない。

麓から登る人のライトの灯りの列が帯となって見えている。
暗い中を黙々と登り来る人の足下がふらついているのは疲れと
寝不足と高山酔いも重なっているのだろう。

[人は何故山に登るのであろうか] と思いたくなる。

私は寝床に戻り少し寝たが、1時になると

「○○富士ツアーのみなさん午前1時になりましたから起きて出発の準備をして下さい。」

ご来光を頂上で迎える計画のツアーの客であろう。
しばらく話し声とポリ袋のバリバリゴソゴソと音がしていたが
その人達が出て行くと小屋の中は静かになった。

やがて朝になった。

やはり、一睡も出来なかったのである。
小屋の横で御来迎が見える所があるのでそこに宿泊者が集まって
御来迎を待っている。

私たちは昨夜の夕食時にもらった朝食を持って、トイレをすましてから出発だ。
富士山は自然保護の為に糞尿はバイオ技術で処理している為、
山小屋宿泊者以外は有料で1回200円である。



太平洋上に昇る太陽の明かりをバックに登りを開始した。
地球が丸い事を最初に実感したのは富士山からの太平洋である。

天気は良さそうで下界は雲海の下で見えないが上空は晴天である。
いつも見える伊豆半島も箱根も駿河湾も今朝は見る事が出来ないのは
残念であるが、天気よければすべて良しである。



下から半袖シャツ、長袖シャツ、中厚のフリース、その上にレインスーツを
着込んで歩く、暑くなれば順番に脱いでいくのだ。



森林限界も遥かに過ぎて地表に生えた草もまばらになり
地球が誕生して地表に植物が生え始めた頃を想わす光景が続く。

標高3200mだ、日本にはこれ以上高いところは無い。

さすがに孫の足どりもお落ちてきた。
「呼吸する時に空気を吸うよりも 息を深く吐くことを心がけて」
「ゆっくりリズムを刻むつもりで足を出す」
「前の足のつま先に次の足の踵を置くつもりの幅で良いから、ゆっくりと」

相変わらずおじいさんの指導が続く。



先に追い越された人達を追い抜いていく。
同じリズムで黙々と登る。

「今、自分がどこに居てどこへ向かうか、ルートファインテイングをしながら登らないと
道をはずし迷う原因になるから、霧が深い時など特に注意しなければならない」

「急斜面で落石の危険があるときは、下界を見ているよりは上の様子を
常に確認すること」

「落石を起こしたり、見たときは素早く ラク!と叫んで下の人に知らせるのが
登山者の義務である」

目の前に巨大な山と剥き出しの巨岩を見ながら実際に危険に対する話は
孫も真剣に聞いている、いつもの勉強もこのように興味を持って聞けてたら
良いのにと思う私であった。




高度が上がるほど私の呼吸も体力も限界を感じてきた。
心臓にあおりを感じる、深呼吸して炭酸ガスをしっかり吐き出し
呼吸を整えてながら登る、
孫はもう先に登っている。

8合目小屋も目の前に迫ってきた。
富士山に登るたびに標高差100mを登ることが如何に大変なのか身にしみて感じる。

やっと標高3250mの8合目である。


寝不足と酸素不足と戦う(中央付近で小さく見える)


先に着いていた孫がカメラで私を写している。
もう少しであるが空気が薄くて体力的にもなかなか大変である。
富士山登山に35年間の時間を感じながら8合目小屋に到着した。

もう少しがんばって時間を掛ければ頂上へは行ける事は確信できた。


(8合目小屋前)

つづく

蒲郡市の観光の中心地竹島海岸竣成苑内にある竹島クラフトセンターの主人が投稿するブログです。

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