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 藤浪智之の「だんじょん商店会 魔女のお店はじめました」を読了。「だんじょん商店会 伝説の剣はじめました」というプレステのゲームのノベライズらしいのですが、そっちの方は良く知りません。つか、ゲームブックのつもりで購入したのですが、マルチノベルと表記されていますので、あくまでもノベルとして取り扱うのが正解みたいです。

 以下、多少のネタばれがあります。ご注意を。

 主人公は魔女のサララ。魔女は修行を終えると、故郷を離れて自らの魔力を生かした仕事をしなくてはなりません。サララは”どんな道具も名前がわかり使いこなすことができる”力を持っており、それをいかして道具やさんをやっています。さらに、魔女には小さい頃から一緒に過ごしたパートナーの魔法猫がいて、他の人からはただの猫に見えますが、パートナーにだけは言葉がわかるのです。どっかの有名アニメ映画みたいな設定だっていうのは言いっこ無しです。

 本書には「消えた王冠」と「お客さんは幽霊!?」の2話が収録されています。パラグラフ数はそれぞれ90と106で、とても短くなっています。「ゲームブック」ではなく「マルチノベル」と表記されているだけあって、パラグラフの構造もいたってシンプル。プレステ版はやったことありませんが、おそらくそっちの進行の仕方に準拠してると思われます。すなわち、事件がおこって、町で情報収集、仲間を集めて、ダンジョンで事件解決。ゲームとしての難易度も低く、ゲームオーバーもありませんし(死にはするけど)、クリアするだけならすぐできてしまうでしょう。

 この本はクリアすることよりも、その過程を楽しむのがメインだと思います。実際、複数のエンディングがありますが、明確にバッドエンドというのもありませんし、最終パラグラフがトゥルーエンドだとしても、そこに至る道筋はまったく異なるものが複数本存在しています。特に2話目の「お客さんは幽霊!?」の構造は結構面白いなと思いました。私は全部の道筋をほぼ同時進行で読んでいたのでちょっと損したかもしれませんが。

 ノベルなんでゲーム的な不備をつつくのもどうかと思いますが、イマイチだと思うのは町での情報集め。コンピュータでは町にいる人に話を聴いてまわるっていうのはよくある展開なんですが、ゲームブックにそれをそのまま持ち込んだのはちょっと面倒くさかったです。「さあどこへ行く?」の質問のあとに選択肢が実に17。最初見たときはやる気が一気に減少しました。シナリオがもっと沢山あるのならばいろいろ生かせたのかもしれませんが、2話しか収録されていないので煩雑なだけだったと思います。

 それと同様に、本の分量に対して登場キャラが多すぎたかもしれません。ゲームのノベライズなのでとにかくゲームに出てくるキャラを出さなくてはいけなかったのかもしれませんが、ゲームブック版しか知らないにとっては、ただ出ただけの人も多かったのは残念です。しかし、がんばってなるべく多くのキャラを話に絡める工夫はしてありましたので、その辺りは良かったと思います。

 結論ですが、ゲームブックとしては難易度も低く、ゆるゆる。ただし、パラグラフの構造はちょっと面白い面もありました。基本的にはゲームのノベライズ。こういったライトファンタジー(という分類でいいのかな?)を楽しめる人ならいいんじゃないでしょうか。私はこういった雰囲気の話は、中学を出てから10数年間敬遠気味だったのですが、別に問題なく入り込めました。ある程度年を喰って、守備範囲が広がったのかなぁ。深夜にやってるアホアニメとか観てると、脳のタガがはずれてくるのかも。


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