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弁護士試験に見る”実務能力”

2005-10-26 | よもやま話
昨日の話題の続きです。昨日お会いした若手弁護士との話の中で、司法試験の話題が上がりました。

ご存知の方も多いかと存じますが、司法試験は「択一」「論文」「口述」という3つの試験に分かれています。択一で人数を絞り込んで、論文⇒パスすれば口述というステップで進んでいくそうです。だんだんと人数を絞り込んでいき、より深いレベルで”適性”を見ていくことになるのだそうです。

このうち「論文試験」は憲法,民法,商法,刑法,民事訴訟法,刑事訴訟法より各2題ずつ、合計12題のテーマについてA4用紙で3~4ページ程度の論文を作成するそうです(試験日程は2日間)。このうち、概ね7問程度が「ある程度予期できる問題」、5問前後が「全く予想もつかない問題」に分かれるそうです。

例えば、昨日の話の中では「予想もつかない問題」として次のような問題があげられていました。

民事訴訟において手続が公開されない場合について説明せよ。
(筆者注:平成14年論文式試験 民事訴訟法第1問です。)


昨日お会いした彼の話では、「ある程度予期できる問題は、いわゆる『受験ベテラン組』が当然有利。なぜなら時間をかけて何度も何度も答練を重ねており、精度が上がっているから。」「しかし、予期できない問題は、六法全書の中で”アタリ”がつけられる程度に法律の構造が頭の中で組立てられていないと解答ができない。このためには、記憶力ではない本当の意味で”地力”が必要」とのことです。(注:司法試験では六法全書の持込ができるとのことです。)

では、このような「予想もつかないような問題に対応できる”地力”」とはいったい何なのでしょう?それは、「法律の仕組みを構造的に捉え、論理立ててきちんと整理して考える力=”リーガル・マインド”」といえます。つまり、「各法律のどこに何が書いてあるのか」をキチンと構造的に理解することが、実は非常に大切な力となのです。

そうすると、このような力はいったいどのようにすれば身に付くのでしょうか?彼と私で一致した意見は、「試験勉強のテキストを読んでいる時に、何気ない一言からどれだけ六法を引けるか?」ということです。法律というルールが作られるのには、ソコには必ず何らかの理由があります。その一つ一つのことに疑問を持ち、「何故こうなっているのか?」「原則は何か?」「なぜこのような例外が設けられているのか?」「判例ではどのように解釈されているのか?」等を六法全書から深く洞察していくことが、大切になるのです。

プロフェッショナルとしての実務能力とは「何をすれば知ることができるかを知っていること」こと、そして「知ったことをいかに現実にあわせて組み立てられること」です。昨日の話の中で、司法試験でこのような実務能力がきちんと見通されていることを知ることができました。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
旧ブログからの引継ぎコメント(2005/10/26 00:22:05) (katsu)
2005-10-27 08:02:54
いつも為になる内容で,楽しく読んでいます。

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旧ブログからの引継ぎコメント(2005/10/26 01:01:33) (Dakiny)
2005-10-27 08:03:32
すごくらしいので、独り嗤いして読ませていただきました…:-)
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旧ブログからの引継ぎコメント(2005/10/26 13:15:55) (Swind)
2005-10-27 08:04:15
katsu様> お読みいただきましてありがとうございますm(_ _)m

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旧ブログからの引継ぎコメント(2005/10/26 13:17:57) (Swind)
2005-10-27 08:04:44
Dakiny様> ”らしさ”は強く意識しすぎないようにはしていますが、”らしさ”がにじみ出ていればうれしいです(^-^)
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