コンサルタントのネタモト帳+(プラス)

ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

安全確認:「基準」なき行政こそが問題では?

2007-05-08 | マネジメント
GW中に起こってしまったコースター事故。大変痛ましい出来事ではありますが、その後の行政対応に関して、非常に疑問を感じる内容の報道がありました。

コースター事故 風神雷神II事実上の廃止へ 運行再開を吹田市認めず(Yahoo!ニュース-産経新聞)


 エキスポランドのジェットコースター「風神雷神II」の事故を受けて吹田市は8日、エキスポランド社から風神雷神IIの検査報告書が提出されても運行再開を認めない方針を固めた。事実上、風神雷神IIは廃止される。また、他の遊戯施設についても、これまで同社独自で行ってきた検査方法では再開を認めず、第三者機関の審査を課す。同社は「6月1日をめどに営業再開したい」としているが、検査結果によってはさらに先になる可能性もある。

 吹田市都市整備部によると、風神雷神IIについては今後、エキスポ側が検査報告書を提出しても受け付けない。エキスポ側も、運行再開の要請を出す考えはないとみられ、風神雷神IIが再開する可能性はなくなった。

 また、他のジェットコースターを含む28の遊戯施設については、これまで検査報告書の内容を信用して受理してきたが、今後は第三者機関の審査を課す方針。
(以下省略)


この報道について、2つの点において疑問を感じました。まず一つ目は「『風神雷神IIについては今後、検査報告書を提出しても受け付けない』という判断が行政権の行使として認められることなのか」という点です。確かに重大な事故が起こった以上、安全性に対して厳しい目が向けられるのはやむを得ないことではあります。しかし、仮に客観的かつ合理的な基準で十分な安全確保措置がとられた場合においても「行政力による自由への制限」を行うとなれば、これは「越権行為」と取られてかねないのではないかと感じます。(もちろん、お客様がこのコースターに乗りたいと感じるかどうかは別の問題です。)

また、二つ目の疑問は「エキスポランドの施設にのみ、行政裁量で審査要件を加重することは可能なのか?」ということです。従来よりこのようなコースターについては検査報告を受けることとなっているようですが、先の報道によれば、今回の事故を受けて「エキスポランドについては要件を加重」するという措置がとられるとのことです。

しかし、現時点では法律も政省令も変更はありませんので、「法令より委任された権限の範囲」は変わらないはずです。特に、今回行おうとしている「要件加重」は特定の者に対する「営業の自由」への強い制約をもたらすものであり、「行政の裁量」として片付けてよい話しでは済まないと感じます。

結局のところ、これらのいずれについても、法令により委任された権限を行使する機関である行政自身が、判断の基準を「法令」には置かずに「場当たり的対応」に終始してしまっていることを如実に表してしまっているものであると感じざるを得ません。行政が民間の行為にどこまで介入すべきかについては議論すべき点ではありますが、今のような「場当たり的な基準なき行政」は行政が本来果たすべき機能すら果たすことはできないのではないかと私は考えます。


最新の画像もっと見る