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[マネジメント] 憲法改正と定款変更

2005-05-05 | マネジメント
憲法記念日である5月3日付の中日新聞朝刊のコラムに次のような記事がのっていました。

▼「アンシャン・レジーム(旧制度)の死亡証書」。フランス革命初期に採択された「人権宣言」は、そう評される▼近代市民社会の原則、憲法に基づく立憲主義の原理はこの人権宣言が確立したからという。自由と平等の権利、国民主権、表現の自由をうたい、一四条は市民が税の使途を追及する権利も定める。一五条は社会が行政の全職員に報告を求める権利を有するとうたった▼税金の無駄遣い、政治や行政の隠し事が相次ぐ今の時代も鮮やかに映る。権力の逸脱を防ぎ、権力者にできることを限定するのが、近代国家の憲法の原理。それを端的に示す条文である。日本国憲法にも人権宣言の精神が生かされているというが、昨今の改憲論議は本末転倒にも見える▼「国防の責務」、「家庭を保護する責務」に「環境を守る責務」。政治家にはこんな「国民の責務」を憲法に盛り込みたいと考える人たちがいる。憲法はまず政権や権力者にブレーキをかけるのが役割。権力が国民を教え導くための教本ではないのに、勘違いはないだろうか(以下略)


この記事を読み、目からうろこが落ちました。これまで正直言ってあまり憲法について真剣に考えたことがなかったのですが、憲法のもつ重要な役割を再認識しました。

一方、企業において憲法に相当するものは「定款」です。今、上場企業を中心としてこの「定款」を変更しようという動きがみられます。これは、某IT企業と某放送局を主役とした買収騒動がきっかけとなっています。
一連の騒動によって、各企業は「ポイズン・ピル」に代表される敵対的買収への対抗策を強めようとしています。次回の株主総会では、定款の中にポイズン・ピルなどについての条項を盛り込む企業が増えるものと予想されます。

しかし、今の一連の動きを見ると、「経営陣が、現在の経営を維持するために、より強力な権限を得る」ことが目的となっているような印象を受けます。しかし、現経営陣が会社の価値を最大化して将来にわたって株主に利益を提供できるという保証はどこにもありません。もしかしたら、買収された方が株主とってはいい結果となる可能性もあるのです。そのような中で、ポイズン・ピル関連の発動といった株主の利益に直接関わるようなことについて、経営者へ「強力な委任状」を渡すことが良いのかどうか、十分に考えることが必要だと感じます。

上記のコラムの言葉を借りるのであれば、本来「定款」とは「まず経営陣にブレーキをかけるのが役割」であるはずです(だからこそ、定款の変更には株主総会の議決が必要なのです)。もう一度「定款」の持つ役割を見つめなおし、株主の一人一人が、「株主の利益」について真剣に考える時期に来ているのだと感じました。

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