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消費税:仕入れる時は忘れずに。

2006-05-18 | 経営実務
今日は久しぶりに事務所に詰めての仕事。フルに事務所に詰めての業務日は、今月に入って初めてだったりします(もうすっかり後半ですが・・・)。

さて、今日のニュースで気になったトピックスを。報道によると、NHKが消費税の申告漏れを指摘されたそうです。

NHK、制作費領収書20億円不備…税1億申告漏れ(読売新聞)
NHK、消費税2億7000万円申告漏れ(日本経済新聞)
NHK、消費税2億7千万円申告漏れ 領収書保管せず(朝日新聞)

消費税では、「売上等に伴って受け取った(預かった)消費税額」から「仕入れなどに伴って支払った(預けた)消費税額」を差し引いて納税すべき金額を計算します。この方法では「仕入れに伴って支払った消費税額」が多ければ多いほど、実際にの納税時にキャッシュで納める金額が少なくすむことになります。(ちなみに、多額投資を行った等の理由で差し引き額がマイナスになると、消費税が還付されることになります。)

しかし、消費税の場合には事業活動でのすべての支出が「仕入れ税額」の計算基礎となる「仕入れ額」とできるわけでは有りません。企業が行った支出のうち、一定の要件を満たすものを「課税仕入れ」として認識し、「仕入れ税額」の計算に算入できるということになります。(ちなみに、非課税取引、不課税取引等はそもそも取引行為の中で消費税が発生していませんので、全体で見れば損得は生じません。)

今回のNHKで問題となったのは、この「課税仕入れ」に関する「経理書類の保管」についてです。消費税法では「課税仕入れについては、一定事項を記入した帳簿を作成し、かつ、請求書や領収書等を保管しなければならない」となっています。そして、仮にこれらの帳簿や請求書等が保管されてない場合には、「その分については、控除(差し引き)の対象としない」というように定められています。今回のケースはまさにこの部分に引っかかったということです。

ただ、個人的には今回のケースではわずかながら同情すべき向きもあるんじゃないかな・・・と感じています。というのも、そもそも「請求書や領収書等の作成は、相手方が行うこと」であるからです。特に、芸能界の場合には「芸能界というところは、口頭ベースで仕事が進んでいく」といった印象があり、「請求書・領収書」をつくるという慣習が薄いんじゃないかな・・と感じています。(読売新聞の報道ベースでは「領収書の発行を拒まれるケースもあった」とのことです)

また、現在の取引慣行で考えると、「銀行振込」の際には口座に記録が残るので、領収書を発行しないケースが大勢を占めていると考えられます。このとき、継続的な取引を行っている等の理由がある場合には、「契約書」はつくっていても「請求書」の作成までは行っていないケースというのは、案外多くみられます。

この場合、「口座の記録」では、消費税法が求める「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」や「課税資産の譲渡等を行つた年月日又は期間」がありませんので、「請求書・領収書等」とは認められませんので、このままでは「課税仕入れ」として認められない=余分な消費税を払わなければならなくなります。

これに対しては、消費税法の施行令では「一定額(30,000円)未満の場合」又は「請求書等をもらえなかったやむを得ない理由があるときで、帳簿に相手方の住所か所在地を記入している場合」には、請求書等がなくても課税仕入れを認めるということとして、商慣習に対する手当てを行っています。

ただ、この「やむをえない理由がある時」というのは何とも曖昧な表現です。今回のNHKのケースでは細かな状況まで明らかになっていないので分かりませんが、もしこの「やむをえない理由がある時」の範囲について限定的な解釈が行われたとすれば、若干NHKに同情できる余地はあるのかな?と感じました。

いずれにせよ、相手方がある話なので難しい状況はあるかもしれませんが、無用なトラブルを避けるには「仕入れる時は、(請求書や領収書の受領を)忘れずに」が一番かもしれません。

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