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ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

[経営実務] 敵対的買収防衛策と株主利益(1)

2005-06-30 | 経営実務
昨日は株主総会の集中日でした。今年の株主総会での注目テーマといえばライブドアVSフジテレビに端を発した「敵対的買収防衛策」の導入の是非でしょう。多くの上場企業が敵対的買収の防衛策を提案しましたが、外国人株主が多い企業を中心に否決された事例も数社出ています。

このような中、注目すべき動きがあります。日本で代表的な「株主(ファンド)」の一つである「厚生年金基金連合会」の議決権行使状況について、同会Webサイトで公表されています。

それによると、敵対的買収防衛策に対して、次のとおり議決権行使を行ったとのことです。
【企業買収防衛策への対応状況】
   議案内容     提案件数 反対件数
株式発行授権枠の拡大   154   146
権利確定日の柔軟化    110   107
新株予約権発行※     7 3

※新株予約権発行については、NHK報道による。
※その他は連合会Webサイトより引用


これは、各企業が提案した敵対的買収防衛策が、「株主」の立場から見れば受け入れがたいものであったことを如実に表しています。すなわち、今回提案された敵対的買収防衛策は、「現在の経営者(≒社内取締役)」の地位を防衛するに過ぎず、株主利益を損なう恐れがあるものであると判断されたということです。

もちろん、厚生年金基金連合会が反対したからといって、全ての議決が否決されたわけではありません。しかし、「株主」の代表格の一つであって、かつ、長期保有を中心とした運用を行っている(=企業の中長期的な成長発展によって運用益を確保することを前提としている)厚年基金連合会が今回の提案にNoを突きつけたことをは、今後の敵対的買収防衛策の導入にあたって非常に重い意味を持つものであると私は考えます。

このテーマは今後しばらく深堀りしていきたいと思います。ご期待ください。

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