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ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

会計士逮捕と”専門的助言”

2005-09-15 | よもやま話
カネボウ粉飾事件に絡んで、とうとう会計士まで逮捕されてしまいました。コンサルタントというある意味”近い業界”に身をおき、会計士の知り合いもたくさんいる私としては、いろんな面での今回の事件に非常に強い驚きを感じています。

さて、今回の報道で気になるのが「(逮捕された)会計士が粉飾に絡んで専門的な助言をしていた」というものです。新聞各社の報道から、そのときの「発言の様子」を伺うことができる記事をまとめてみました。


一部の子会社については「これでは連結対象から外れていない。この会社の持ち株比率を20%未満にする必要がある」などと専門的な助言をしていたことがこれまでに判明している。
(日本経済新聞Web版 09/15 07:00)

このうち興洋染織については、同社関連で休眠中だった毛布販売代理店「マーキュリ」(大阪市西区)に、ダミー会社として興洋染織の株式を持たせることで、カネボウとの資本関係を断ち切ることを宮村容疑者が助言。株式のパーセンテージを示しながら「これ以上持たせるとまずい」「これだと(連結から)外れませんよ」などと具体的にアドバイスしたという。
(毎日新聞Web版 9/14 3:00)

特捜部の調べでは、会計監査を担当していた佐藤容疑者らは制度が変わる00年3月期の決算にあたって、こうした赤字子会社の存在をカネボウから告げられた。佐藤容疑者らはその際、赤字子会社を不正に決算からはずすことを承認した。

 さらに、カネボウの持ち株比率をどれだけ減らせばよいかの具体的な数字を挙げるなどして、専門家の立場から「隠すならこうしないと隠せない」などと説明。役員を派遣して人的支配をしている場合などは持ち株が少なくても決算から外してはいけないことになっているが、佐藤容疑者らはルールをかいくぐってグループの赤字を隠すための効果的な方法を助言していたという。
(朝日新聞Web版 9/14 9:11)


さて、以上の記事を並べてみると、今回問題になっている会計士の”専門的な助言”とは「カネボウが狙う(赤字隠しに繋がる)経済行為に対して、会計士として会計の見地から判断を示す」ものであるといえるかと思います。

そうすると、例えば、次のようなやり取りが行われていたのではないかと容易に想像が出来ます

(カ:カネボウ、会:会計士です)
カ:先生!これなら、この赤字子会社は連結対象になりませんよね?
会:うーん、これだとまだ連結からはずすことはできませんよ。
カ:だったら、どうすればいいんですか?
会:会計基準に照らせば、カネボウの持株比率を20%未満にしないと、とうてい無理ですねぇ。
カ:だったら、そうなるようにすれば、連結からははずれるということですよね?
会:まぁ、そういうことになりますね。
カ:分かりました、では改めて検討します!

(注:あくまでも筆者の想像に過ぎません、ご注意ください!)


”仮に”このようなやり取りが行われていたとしたら、「会計士が連結外しに専門的助言を与えた」といわれてしまうのでしょうか?ぜひコメントをお寄せいただければと思います。

さて、今回の事件を目にして、「会計士のお仕事」に対していくつか疑問が浮かびました。

企業側が「これから行おうとしている経済行為」に対して、会計士が会計基準等に基づいた「リーガルジャッジメント(結果が適法かどうか?意図した結果が得られるか?等)」を行うことは「専門的な助言を与える」ことになるのか?
企業側からの相談に応じて、「会計の見地から適切と考えられる方法や手法(事例、アイデア等も含む)」を示すことは「専門的な助言を与える」ことになるのか?
そもそも、会計士は「事前に助言を与える」ことが出来るのか?
この話題、今後も考えていきたいと思います。

朝日の記事には「ウソ」がある!


さて、朝日新聞の記事から1行だけ抜粋します。

佐藤容疑者らはその際、赤字子会社を不正に決算からはずすことを承認した。


この文章、ほんの少しでも会計を勉強した人であれば、「なに言ってるんだ?」って話ではないでしょうか?だって、「会計士が決算を承認することはありえない」ですよね~。正直、寝言は寝てから言えという話です。

もう少し、記者の方には勉強して頂きたいと痛切に感じました。

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