ギリギリ探偵白書・170




 ギリギリ探偵白書
 「遺伝DV・第3話」



 家庭内での暴力ドメスティックバイオレンスの証拠を撮り
 依頼者を安全なところをへ逃がすための作業に取り掛かった。
 しかし、依頼者の治療などで時間がかかり過ぎていた。 




それから、2時間後。田中が依頼者さんを連れて、現地に戻ってきた。
トラックはすでに、末○と共に、緊急避難先に移動を開始している。


田中    「大丈夫みたいですが、一応、安静っていう事で・・・」

依頼者さん 「すみません、確認したい事があったので・・・家に・・・」

サザビー  「あんまり時間がないので、手短にお願いしますね」


依頼者さんが部屋に入って少し経った頃、タクシーがマンションの前に停車した。


サザビー  「おっと、電話、電話・・・・」


タクシーから降りてきたのは、暴力夫ではなかった。
彼はタクシーから降りると、駆け足でマンションの中に入っていってしまった。


サザビー  「ん?違うな」

阿部    「みたいだな」

サザビー  「まっ、とりあえず、確認だけ・・・あっ、ブーちゃん?」

※「ブーちゃん」・・・部屋に同行している主任調査スタッフ田中の愛称

サザビー  「あれ?今、ピンポン鳴らなかった?え?
       その部屋の前に誰かいるぅ?」

私とサザビーは依頼者さん宅へ向かった。

(んん?だれだ?)

玄関先にいたのは、先ほど、タクシーを降りた男だった。
この男は、暴力夫の父親であった。
どうやら近所の同僚宅から暴力夫に電話があったらしい。

通常なら、10分とかからない緊急避難が3時間以上かかっているのだ。
関係者が察知して、訪れるのも無理はない。


父親   「どういうことだ!!」

依頼者さん「○○さん(暴力夫)の暴力が酷いので、私は家を出ます」

父親   「それなら、○○×(幼児の名前)だけは置いて行きなさい」

依頼者さん「嫌です」

父親   「それなら、力ずくでも行かせない」

依頼者さん「嫌です。○○×も私も家を出ます」


父親は依頼者さん目掛けて拳を上げた。

(マズイッ!!)

私は父親と依頼者さん間に割って入った。

(ゴンッ)

私の背中に父親の拳が当たった。

(いってーえな・・・)


サザビー  「今のシーン、バッチリ写真撮ったぜ」

阿部    「DVは遺伝するって言うけど、お前ら親子の暴力が
       遺伝したら大変だからな」

父親    「なんだ、貴様ら!!」

サザビー  「ジョニーデップです」

父親    「ジョ、ジョニーだとっ、ふざけるな!!警察呼ぶぞ」

阿部    「勝手に呼べよ。俺はアンタに殴られたって訴えるぜ」

父親    「なっ、なっ」

阿部    「俺は、弱くねぇーぜ。殴るなら、殴れよ。
       その代わり、たっぷりお返しするけどな」


依頼者さんは、その後、父親に離婚届を渡し、無事、避難先に向かった。

その日、父親と遭遇した事からか、依頼者さんの元に暴力夫から
今回の件に関わった連中も覚悟しておけという脅迫めいたメールが来た。


田中    「そう、依頼者さんから連絡が来ているんですが、どうしましょう」


もちろん、喧嘩ならいくらでも買う。
彼が自分の輝かしい人生と私の人生を賭けて本気で勝負するつもりなら。


サザビー  「証拠の映像を切り抜いて、送ってやれよ。きっと
       頭がいい人だから、その意味を理解するはずだぜ」


それから、2週間後、依頼者さんは莫大な慰謝料をもらって離婚した。




        完



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


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