つぶつぶタンタン 臼村さおりの物語

身体の健康と無意識のパワーへ 癒しの旅~Have a Beautiful Day.~

読書日記:桂望実著『県庁の星』 ビジネス書好きにもお勧めの小説

2018-07-25 23:24:28 | 本の感想/読書日記

桂望実さんの小説、『県庁の星』を読みました。漫画家されたり、織田裕二さん主演で映画化されたりしているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。面白かったです。

県庁の星 (幻冬舎文庫)
桂 望実
幻冬舎



主人公は県庁の職員。年齢はおそらく20代(あるいはアラサーな)男性。舞台は県庁ではなく、職員が出向した地元スーパーです。研修企画として、1年間職員が出向することになっているという設定で、職員がスーパーの人たちと繰り広げるヒューマンドラマ。なんとその職員のあだ名も「ケンチョーサン」。

形式や書類を重んじるケンチョウさんと、現場の経験をすべてと考えるスーパー。その二つが触れ合うことで化学反応を起こし、お互いがどう変化するかという物語です。
実社会にもすぐさま応用できそうなこと満載で、普段は「どちらかというと実用書が好きで小説はあまり読まないよ」という方にもおすすめです。


最初は杓子定規な対応をして売り場でお客様を怒らせてしまったケンチョウさん(これ、学生のときにアルバイトしていた自分のことをおもいだしました)。わかります~~~。

あたしは大学を卒業したあと、一番最初にやっていた職業はウェイトレスでした。配膳係としてあちらこちらのホテル、レストラン、社員食堂など訪問していました。・・・諸事情もありましたが、結局のところとがっていて、就職したくなかったのでしょう。もっともいまこうやって一人で事業をしていておもうのは、一番役に立っている職務経験って接客です。だからその意味ではよかったのかもしれません。

とはいえ、この小説のなかでケンチョウさんが物事を俯瞰した提案をしたりしている様子を見て、ちょっとほかの経験にも目を向けてみようかと考えながら読んでおりました。あたしのインテリちっくなところも活かせるとよりよいなと。占い師やヒーラーとしてもそうですが、とりわけ絵についてそうおもいながら読んでおりました。
なんていうか、ずっと絵を描いてきた方とあたしとは違うわけであって、結局そのなかで頭角をあらわすには、ほかの自身の経験も生かせるように発想を変えていかないとなーと。がんばりますのでどうぞ応援してやってください☆

小説はエンタメとして面白いのと同時に、いろいろな着眼点をくれるので好きです。


文章は非常にリズミカルで読みやすい。ひとりひとりの人物が個性的で、多様な階層や背景の方が描かれているので、誰もが自分や身近な人を連想するのではないでしょうか。ひとりの人物ではなくも、「あ、あたしは〇〇さんと△△さんのミックスだな」みたいな感じ。

普段、自分というフィルターを通して接していると、ついついみなを同じようにとらえてしまいがちですが、「なるほど、なるほど、この人は知っている◇◇さんと似ている」とあらたな発見にもなりました。

あとスーパーのパート女性でもあり、一児の母でもある女性の描かれ方が個人的には好きでした。俳句を上手に読めなくて、気にされているのですが、それをがんばっているからだこそ、と種明かしする著者に一本取られた感じです。

ではまた~~

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月2回、東京都豊島区池袋で、読書交換会をやっています。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
東京読書交換会ウェブサイト

臼村さおり twitter @saori_u
思考していることを投稿しています。


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