たんべぇ山から

山歩きの記録、出会った植物を紹介します。

厳冬期の燕岳 【北アルプス】 2010年1月3日~5日 <その2>

2010-01-08 | 北アルプスとその周辺の山

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<その1>からの続きです。

合戦沢の頭に立つと、目指す燕岳が堂々たる姿で迎えてくれました。
わぁ~~あんな所まで行けるかな…?

【中央のピークが燕岳】


合戦尾根からはっきり見える燕山荘、これがまた思いのほか遠く、なかなか近づきません。それでも、この青空です。
左手に大天井岳、槍ヶ岳、右手に餓鬼岳を眺めながらの贅沢な尾根歩き、何度も何度も立ち止まっては幸せを噛みしめます


【合戦尾根に等間隔で立つ赤布】

幅40センチほどのトレースは締まっているのですが、外すとズボッと足を取られるので慎重に歩きます。


【餓鬼岳方面を望む】




会う人ごとに今日の幸運を分かち合います。

しかし、この時も穂高方面からはヘリコプターの音が聞こえていました。
私たちも浮かれることなく、事故のないように気を引き締めなければなりません!!


【右上のてっぺんに見えるのが燕山荘】


風もなく穏やかな日和、まるで春山のようです。

【中央てっぺんに見えるのが燕山荘】



やはり、予想どおり、時間の経過とともに槍ケ岳方面にはガスが湧きあがり、ぼんやりと霞んできました。


【大天井岳と槍ヶ岳】




ここで見た槍ヶ岳が最後で、この後はすっかりお隠れ遊ばしました。ザ・ン・ネ・ン!!

【表銀座縦走路に上がると突然の烈風にたじろぐ…】



【新年1月5日まで営業している「燕山荘」】




【燕山荘から見た燕岳】

山荘前のベンチで身支度を整えます。

山頂までは往復1時間ほど、空身で行くか迷いましたが、背中が寒いし(?)途中で何が起きるか分からないのでザックは背負っていくことにしました。
ただし、ワカンは必要ないので、置いていきます。

西側から吹きつける風は相当に強く、油断はできません。

昨年1月、八ヶ岳で軽い凍傷を負った右手指先が心配なので、手袋には特に気を使います。
シルク、毛、オーバーミトンと三枚重ね、さらにミトンの中にカイロを貼りました。
これで、完璧!!
そして、顔は…こんな感じ(笑)

「ここは、ヒマラヤか

山頂までは短い距離ですが、万全を期して臨みました。


【いるか岩と燕岳】


歩くこと30分後、ようやく燕岳山頂に到着です。



【11:25 燕岳山頂】
あと一時間早ければ、後立山連峰もくっきり見えていたかもしれません。



【餓鬼岳方面を望む】

 まさに感激のひとときです。
思えば、一昨年の蝶ケ岳、昨年の赤岳も途中敗退でした。
今回も、合戦の頭あたりまで上がることができれば、上出来と考えていただけに、言葉では言い尽くせないほどの満ち足りた気分でした。

とはいえ、とりあえず寒いので写真を撮ったら、そそくさと下山にかかります。

燕山荘が近くなると、5人の登山者とすれ違いましたが全員空身でした。
私たちも、山荘にザックを置いていけば、もっと楽に登ることができたかもしれないとちょっぴり後悔…
でも、ま、いっか!!

さて、山荘に戻ってゆっくり休憩するとしましょう!
アイゼンを取るのが面倒だから、外のベンチで休もうかとも考えたのですが、やはり“寒い!!”
入口の扉を開けたら「アイゼンのままでどうぞ」と言ってくださいました。
な、なんと、燕山荘はアイゼンを付けたままで暖かい小屋に入れてくれたのでした。
有難い!!
暖かい小屋の中で、ゆっくり休憩させていただきました。
丁度、お昼時で奥のテレビから「午前10時30分、奥穂高で一人の遺体を収容した」というニュースが流れていました。
先ほど、ヘリはそのためだったのですね!ご冥福をお祈りいたします。

山荘のスッタフの方から「日帰りですか?」と聞かれたので、
状況次第では小屋泊まりも考えていたけれど、まだ12時過ぎなので、このまま下山するつもりだと伝えました。

天気が安定していたのは、1月4日の午前中のみだったので、この判断は正しかったようです。

さて、そろそろ下山するとしますか!



外に出ると、午前中の晴天が嘘のように、空の色も鉛色に変わり、風はさらに強まっていました。
これから、どんどん悪化する模様、早く下山した方が良さそうです。


合戦尾根からの展望は、すでに望めなくなっていました。



あれほどクッキリしていたトレースはほとんどが風でかき消され見えにくくなっていました。
目印の赤布に沿って急ぎ足で下ります。


【合戦沢の頭】

合戦小屋に着いたのは13:00丁度。
合戦小屋~燕山荘間は登り1時間30分、下りは30分でしたので、
わずか3分の1の時間。
合戦小屋から中房温泉までも1時間30分で下りきりました。

燕山荘までの登りは5時間もかかったというのに、下りは2時間というのは雪道ならではですね(^-^)v




【テントが2張になっていました】

 さて、お楽しみの温泉に入って今夜は登頂成功の祝杯を…とあれこれ考えていたら、中房温泉のスタッフの方が「あれ~ここに張ったの?あっちならホカホカと暖かいのに」と道路の反対側を指差しています。

引越しは面倒だけれど、床暖の誘惑には勝てません。
さっそく大移動を開始、モクモクと蒸気が上がる立ち入り禁止区域から少し離れた場所に張りました。


でも、やっぱし…あまり暖かくはありませんでした。
もしかすると、この日はあまり気温が下がらなかったので暖かさを実感できなかったのかもしれません。
いずれにしろ、大声で話をしてもお隣さんにご迷惑をかけることがないので、引越しは大正解でした。

あっ、そうそう、引越し後に入った中房温泉のお湯はといえば、それはもう最高でした!!
私たちが入浴した3時過ぎは、露天は男子用、内風呂女子用となっていたので、一応女性の私たちは内風呂に入りました。
惜しげもなく流れる豊富なお湯、少しヌメリがあるまろやかな温泉でした。

体の芯から温まったので、その後も足先が冷えることはなく快適でした。




1月5日

5時半アラーム、6時起床

昨夜は、随分雪が降りました。
テントに積もった雪が、時折ザザァーーと滑り落ちる音で何度も目が覚めました。
さぞかし、外は降り積もっているだろうと想像していたのですが、積雪は20cmほどで大したことはありませんでした。

8時には撤収も終え、長い林道歩きの始まりです。

すでに3人分の足跡があり、歩きやすくなっています。





のんびり歩いていると、男性二人に抜かされました。
彼らは、昨日中房温泉に来たのですが、悪天のため今日の燕岳登頂を断念、諦めて下っているのだそうです。

私たちも一日ずれていたら、同じように諦めざるを得なかったことでしょう!

中房温泉から3kmの地点にある信濃坂を登りきったら、あとはひたすら下るだけです。



【苔の味がするツララ】


3時間30分かけて宮城ゲートまで戻ってきました。

【やりました!!】


という訳で冬の燕岳の登頂に成功しました。バンザ~イ!!
それもこれも、お天気が見方してくれたことと、山女 モ~リさん のお陰と心から感謝しています。

ありがとうございました





























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8 コメント

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晴れ女に乾杯ですね (みかん)
2010-01-09 12:00:22
冬山はやはり何よりも天候に左右されます。
お正月を山で過ごすことが恒例になっていましたが、いつの間にか(年齢とともに)平地でのお正月が普通になりました。
それにしても、なんともラッキーでしたね。トレースがついていれば、冬山は夏道よりも歩きやすい場所がたくさんあります。
女2人のテント泊というのがスゴイ。
先ずはお二人に乾杯です。
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みかんさん (fu-co)
2010-01-09 22:11:02
みかんさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!

入山するまでは心配していた燕岳でしたが、トレースもお天気もハナマルでした。

あまりにラッキー過ぎて、今年の運は使い果たしたのでは…との噂あり(笑)

>女2人のテント泊というのがスゴイ。
テント装備は重いけど、担ぎ上げた分楽しみも大きいですね!

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す、すごい! (アッキーマッキー)
2010-01-09 23:01:56
fucoさん、こんにちは
更新がないと思っていたら、雪山に登ってたんですか?すごいですねえ。林の合間からとはいえ、日の出がきれいですね。
僕は怖くて、とうよりも寒いのは苦手で絶対ムリ。
全身覆われたお顔を見ると、スターウォーズのダーズベーダーの曲が流れてきそうですね。
無事で何よりです。
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アッキーマッキーさん (fu-co)
2010-01-11 23:10:36
アッキーマッキーさん、こんばんは!

>全身覆われたお顔を見ると、
私も写真を見てあまりの滑稽さにびっくり
でも、山中では、どなたも似たり寄ったりでそれほど奇異には映ってないと信じています(笑)
雪山は、それはそれは素晴らしい景色が広がっているのでけっこうハマります。
晴れればの話ですが…

やはり私は、どちらかと言えば花の山の方が好きかな…
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Unknown ( カモシカ)
2010-01-12 19:53:42
雪いっぱいの燕岳、いいですね!
体調はよく候補ではありましたが、今年は最悪のカレンダー並び。4日仕事始めではと諦めました。
fu-coさんの素晴らしい山行と雪オンナっぷりに乾杯!
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Unknown (さなえ(花の庵))
2010-01-13 15:09:19
おめでとう!

なんともすごいです。

こちらの今日は、予報どうり白銀の世界でした。
しかしこれを見ると、雪が降って動きにくいのなんのと言っているものではないと、軟弱さが悲しいです。

こんな雪の山に登れる女性もいるのだと感心仕切りで、1部2部一気に読ませていただきました。
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カモシカさん (fu-co)
2010-01-13 20:04:13
カモシカさん、こんばんは!

燕岳、候補だったのですかぁ~?
晴男のカモシカさんが来てくれたら、4日は一日中太陽が拝めたかも…
でも、半日でも私にとっては、大大大満足の雪山でした。
今年は、カモシカさんに負けない晴オンナになれそうな予感…うんうん^^
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さなえ(花の庵)さん (fu-co)
2010-01-13 20:12:24
さなえさん、こんばんは。

そちらは大雪が降っているようですね!
関東も底冷えのブルブルの一日でしたよ。

軟弱さは負けていませんよ~~
山より下界の方が寒く感じ、暖房した部屋で背中をまるくして震え上がっているのはなぜでしょう…??
早く、この寒波が過ぎ去るのを祈るばかりです。
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