もう15年程前のこと
母が、ガラスの容器を抱えやってきて
30年くらい前の梅干が出てきたと言う
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食べられるのか
その梅干をよく見る
水分は微妙に残っているようだ
その回りは、うっすら白くなっている
カビかと疑ったが、塩分の結晶のようだ
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色も、鮮やかさは無く
渋い紫蘇の色に変わっている
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なんとか食べられそう
食べてみようとなった
だれが最初に食べるかは
じゃんけんで決めた
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俺だ
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恐る恐る、指の先で一個つまみ
口に運ぶ
いきなり、がぶりとはいかず
口の歯の先で、すこし削るようにする
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口の中に梅のしょっぱさが広がる
と思っていたが
以外に甘い味だ
むしろ、塩の味はしない
30年の歳月は、
しょっぱさも、甘さに変えたのだ
水分がほどほど残ってはいるが
中途半端な残り方だ
お世辞に美味しいとはいえない
まあ、期待ほどの美味しさではなかったが
食べることは出来そう
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俺の様子を見守っていた
嫁や母も
大丈夫と解ると
次々に食べ始めた
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しかしまあ
そんなに沢山食べる物でもなく
俺は2個で、もう結構
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100個近くあった残りの梅干の残りは
母が、近所の人か、友人におすそ分けした
たしか・・・・
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後で聞いた話では
場合によっては
1個数百円くらいで
売れたのでは とのこと
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ああいやだ
そんな、梅干くらいにお金を
からませるなんて
・・・・・・・
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と、その頃はおもったのだが
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今になると、惜しかったなあ
どこかの造り酒屋さんとタイアップして
新酒と古梅干の試飲会でも
企画すればよかった
もちろん、会費をいただいて(笑)
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なんて、春の陽気に
またまた、妄想してしまう
私tananobuであった
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