滅多に飲んだことのないブルーマウンテン、これを頼んだ。
先週、星乃珈琲店に入った。目につくようにラミネート加工したパネルがテーブルの上に置いてあった。10周年記念特別メニューというキャッチの下にコーヒーの写真が大きく載っている。更にその脇にブルーマウンテンが通常1200円を特別価格550円。カフェインレスもありますと書いてあった。
コーヒーにカフェインは付きものという先入観のある僕には少々異に思え、一瞬動きを止め考えた。カフェインレス、カフェイン抜きのコーヒー。そういえば紅茶でもそういうメニューがあったのを思い出した。最近コーヒーにもこういったものが出回っているのか。なるほど、僕の時代遅れを反省する瞬間だった。
ずいぶん前にもアルコールの入らないノンアルコールがある。ノンアルコールビール、なるほどと思って決めた。
「すいません」近くを通りかかったウエイターに声をかけた。初々しい若いスタッフ、おそらく新人アルバイトなのだろう。
「はい」
「あの、このブルーマウンテンのノンカフェインレス、これをください」
「はい、ブルーマウンテンのノンカフェ……」ウエイターは手にしたハンディターミナルを前にフリーズしてしまった。
「あのお、すいません。ノンカフェインレスは置いてないんですが……」
「……」ない? パネルを指さして「ほら、これだよ」としたり顔で言う。
「あの、カフェインレスコーヒーでよろしいですか?」
「……? うん……そう、それ。じゃ、頼むね」
気まずさを押し隠すように笑った。
若い子をオモチャにしてはいけないよ。
翌日から、彼女は出勤拒否したかもしれない。
しかし、カフェインレスにするなら、わざわざ珈琲を飲まなくてもいいと思うのだが・・・。
この「珈琲」という字、好きだな。
一味違っておいしそうに感じる。
「蘭」の珈琲は、その厚口のマグカップともあいまって、濃くておいしかった。
逆に薄くておいしかったのは、米軍キャンプにおいてあった「飲み放題」のアメリカンコーヒー。
「ん?これは紅茶か?」と思ったほど薄かった。
クラシカルで焦げ茶色をイメージさせる。同時にコーヒーが香ってくる感じになる。
カフェインレスというのはどうやら今の流行りのようだ。眠り足りない人にはきっといいんだろうな。
ところで歌舞伎町の欄も珈琲の活字がついていたっけ?
立川の米軍基地のアメリカン。飲み放題だったけど、一杯しか飲まなかったよ。(笑)